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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、紙の大量生産はいつから?
1798年フランスのルイ・ロベール
というお話。
現代社会において紙はあまりにも
身近な存在ですが、その生産方法が
どのように発展してきたのかを知る
人は意外と少ないかもしれません。
現在のように安価で大量に供給できる
紙の製造方法が確立されたのは、
18世紀末のフランスにおける
技術革新がきっかけでした。
その中心人物が「ルイ・ロベール
(Louis-Nicolas Robert)」
という青年です。
彼の発明によって、手作業による紙漉きから
機械による連続生産へと、紙の歴史が
大きく変わっていきました。
ということで。
この記事では、紙の大量生産はいつから?
1798年フランスのルイ・ロベールについて
管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。
それまでの紙の製造方法
紙の歴史は古く、紀元前2世紀ごろの中国で
蔡倫(さいりん)によって初めて発明された
とされています。
以来、紙はアジアからイスラム圏、
さらにヨーロッパへと伝播して
いきました。
中世ヨーロッパでは、紙は主に
綿や麻などの布くず(ボロ布)を原料とし、
手漉きで一枚一枚作られていました。
この手漉きの方法では、紙漉き職人が
木製の枠(簀桁)に原料を流し込み、
水を切ってから乾燥させるという、
極めて労働集約的な作業が必要でした。
一人の職人が一日に生産できるのは
わずか数百枚であり、非常に手間が
かかっていました。
そのため、当時の紙は高価であり、
書物や契約書など限られた用途にしか
使用されていませんでした。
ルイ・ロベールと世界初の紙の連続生産機
そんな中、紙の需要は急増していました。
18世紀後半のヨーロッパでは啓蒙思想の
広がりや印刷物の普及により、紙の需要が
爆発的に増加していたのです。
この問題を解決すべく、1798年に
フランスのルイ・ロベールが
画期的な発明を成し遂げました。
それが「連続紙製造機
(Fourdrinier machine)」の
原型です。
ロベールは、フランスの製紙工場で
事務員として働いていましたが、
日々の観察と研究の結果、
紙を一枚一枚ではなく、
連続的に製造する機械の
構想を思いつきました。
彼の設計では、パルプを網目状の
ベルトに流し込み、連続的に
水を切っていくことで、
紙をロール状に生産する
というものでした。
この発明によって、紙の製造は
一大転機を迎えることになります。
ロベールは同年に特許を取得しましたが、
当時のフランスは革命の影響で混乱しており、
製品化には困難が伴いました。
そこで、彼はこの技術をイギリスに持ち込み、
フォードリニエ兄弟
(Henry and Sealy Fourdrinier)に
引き継がれ、改良を加えた
「フォードリニエ機」が1803年に
完成しました。
フォードリニエ機の完成と産業革命への貢献
ロベールのアイデアを元に完成した
フォードリニエ機は、紙を無限に近い
長さで連続的に製造できる機械として、
世界の製紙業界に革命を起こしました。
これまでの手漉きに比べ、数十倍の
スピードで紙を生産できるようになり、
大量生産が一気に現実のものと
なったのです。
この技術革新は、産業革命の文脈においても
極めて重要な意味を持ちます。
蒸気機関や機械工業が発展する中で、
紙の大量供給は新聞や書籍の普及を支え、
識字率の向上や情報の流通を
大きく後押ししました。
また、行政や教育機関、商業活動など、
紙が使用される場面は急速に
拡大していきました。
19世紀には、さらなる改良が加えられ、
乾燥工程の自動化やパルプ処理の
効率化などが進みました。
原料も、布くずに代わって木材パルプが
主流となり、コストの低下と供給の安定が
実現されました。
こうして、現在のように誰でも手軽に
紙を使える時代が到来したのです。
ロベールの功績とその後の製紙技術の発展
ルイ・ロベールは、その後も製紙業界に
携わりながら技術の改良に尽力しましたが、
フォードリニエ兄弟に技術が
引き継がれたことで、彼自身の名は
しばらくの間、歴史の表舞台から
姿を消していました。
しかし近年、彼の先見性と技術力が改めて
評価されるようになり、製紙業界では
「機械漉き紙の父」としてその功績が
再認識されています。
現在では、デジタル化の波により
紙の消費量は減少傾向にあるとはいえ、
依然として製造現場ではロベールの
アイデアを原型とする連続紙製造の
技術が使われています。
新聞用紙、段ボール、コピー用紙など、
多様な用途に応じて改良が加えられた
機械が稼働し続けているのです。
また、環境問題への関心が高まる中で、
再生紙や森林認証紙といった持続可能な
紙の製造方法も模索されています。
こうした現代の課題に向き合う中でも、
紙の大量生産というロベールの技術的遺産は、
大きな意味を持ち続けています。
管理人のまとめ
今回は、紙の大量生産はいつから?
1798年フランスのルイ・ロベール
というお話でした。
紙の大量生産は1798年、フランスの青年
ルイ・ロベールによる連続紙製造機の
発明から始まりました。
彼の革新的なアイデアは、やがてイギリスで
改良されてフォードリニエ機として完成し、
世界の製紙業に革命をもたらしました。
この技術は産業革命を後押しし、紙が
大衆に普及する原動力となったのです。
ロベールの功績は、現代に至るまで
その影響を色濃く残しており、
今なお紙という素材の基盤を
支え続けています。
この記事が紙の大量生産がいつからかの
参考になればと思います。
紙の大量生産、面白いですね!
(参考)
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