管理人の紙コンサルこと、
べぎやすです。
このカテゴリのお話は
紙とインクジェットについて。
インクジェット印刷には専用紙を使う。
専用紙を使わなければ
にじんで印刷できませんから、
無理してコート紙などを
使っても上手く出来ません。
さて、そんな専用紙の中でも
用途によって様々な種類があります。
大きく3つ。
普通紙タイプ
マット調インクジェット用紙
光沢インクジェット用紙
だと思います。
それぞれ厚手、薄手などの紙厚や
片面タイプ、両面タイプがあるし、
A4、写真、ハガキ、名刺など
用紙のサイズや大きさも色々ある。
さらに裏面に粘着剤がついている
ラベル用があったりして、
数え上げてみると
かなりの種類があります。
このカテゴリでは、
紙にインクジェッ印刷するとき、
どんな紙を選ぶべきか、
管理人の考えをお伝えします。
【紙とインクジェット印刷 紙を選ぶときの注意点】
インクジェットの場合
紙は専用紙を使うんですが、
その専用紙も用途に合わせるために
種類を増やしてきました。
どんな用途にどの種類の紙を使うのか?
管理人の考えは以下の通り。
まず、文字がほとんどの文書。
これは普通紙タイプで十分です。
最近はプリンタが良くなっているので
モードさえ間違えなければ
文字がにじんで潰れて読めない、
ということはありません。
フォントが限界まで小さいとか
そういうのは無理かもしれませんが。
なお普通紙タイプで両面印刷する場合、
できれば厚手を使って欲しい。
薄いタイプはインクの裏抜けが
気になるんですよね。
厚さが表示されていれば確認して、
できれば紙厚120μm以上を選んで欲しい。
紙厚90μmで両面に印刷すると
裏抜けする気がします。
どういうことか。
インクジェットインクの成分は
約80%が水なんですが、
普通紙だとこの水を
紙だけで吸収しなければならない。
片面印刷なら問題なくても
両面印刷となると
片面印刷の2倍の水を
吸収しなければならないので
紙が薄いと水が十分吸収できなかったり
インクが裏まで通り抜けたりする。
もちろん紙が薄いのですから
単純に不透明度が低くて
裏面の印刷が透けて見える
ということもあります。
これが普通紙を両面印刷する場合は、
厚手のものを使ってほしい理由です。
試しに出力して自分だけが見るなら
気を使わなくてもいいですが、
提出用の書類なら
注意すべき点だと思います。
次にカラーで文字と
グラフなどの図解が入る場合。
そういう資料を提出するときなどは
マット調インクジェット用紙がおすすめ。
一般のコート紙でもそうですが、
文字が多い資料や印刷物のときに
光沢のある紙を使うと
読みにくいので向いていません。
そういう場合には
マットコート紙を使いますがそれと同じです。
なおマット調インクジェット用紙の場合は
片面印刷か両面印刷か明示されています。
だからそれに従って使用して下さいね。
それから光沢インクジェット用紙。
これは写真の入った印刷用です。
顔写真入りの名刺とか
コスプレ写真とか。
アルバムを自作する時に
両面光沢インクジェット用紙とか。
ビジネスシーンなら
何かの分析データや顕微鏡写真など
カラーでキレイに印刷して
提示する場合に使う感じでしょうか。
いずれにしても
ここぞという時に使うべき。
文字の多い文書には不向きですし、
値段が高いのでもったいない。
なお、光沢インクジェット用紙も
片面用と両面用があります。
片面用の裏面は
通常印刷できませんから
両面印刷するなら両面用、
ここは正しく使って下さい。
それ以外では、
ラベルを作るならラベル用。
普通紙タイプなら糊で貼れますが、
光沢インクジェット用紙だと
裏面にラミ加工していることがあり、
その場合糊がくっつかない。
だからラベルを作るなら
ラベル用を使うほうが無難です。
あとは飲食店で使うメニューなどを
インクジェット用紙で作るとき。
メニューはラミ加工することが多いので、
その場合はマット調インクジェットでいい。
マット調インクジェットでも
クリアラミネート加工をすると
光沢インクジェット用紙のような
仕上がりになります。
なので高価な光沢インクジェット用紙を
無理に使う必要はありません。
このように
それぞれの紙には特徴がありますから、
TPOを考えて
上手く使ってもらえればと思います。
【インクジェット印刷用紙
両面タイプの製造は難しいのか?】
ここからは元製紙会社社員の本音を
お話させて下さい。
ここまでインクジェット用紙が
それぞれどのような用途に使えるか
ということをお伝えしましたが、
技術的なこともお話させて下さい。
両面印刷できる紙は
製造が難しいのか?というお話です。
これは同じインクジェット用紙でも
品種によって違っています。
普通紙の場合は、
表面でも裏面でも印刷できますから
両面印刷への対応は
米坪や紙厚を厚くする程度なので
技術的には
そんなに難しくはありません。
マット調インクジェット用紙の場合も
普通に塗料が塗工できればいいので
そんなに特殊なことをすることもなく、
技術的に難しいということはありません。
しかし光沢インクジェット用紙の場合は
光沢を出すためにキャストコーターという
特殊な塗工機を使っていましたので、
これが技術的に難しかった。
管理人が開発に
関係していたときの話なので
現在の製造方法とは
違うかも知れませんが、
いずれにしても、
両面とも鏡面仕上げにするというのは、
製造という意味では
かなり難しいことだと思います。
特に収率という点で難しい。
片面が上手く行っても
反対面で失敗したらNGなわけで、
しかも鏡面仕上げなので
マット調より欠陥になりやすい。
塗料のコストは高いし、
工程は複雑になるから収率は落ちる。
紙厚が厚いほど塗料が乾燥しにくくなり
塗工速度は落ちるのでなおさら。
こういうことで
光沢インクジェット用紙は値段が高い。
コピー用紙と兼用の
普通紙は気軽に使えますが
光沢紙は考えて使わないと
もったいないということです。
【管理人のまとめ】
今回お伝えしたのは
紙とインクジェットについてでした。
インクジェット印刷には専用紙。
それもTPOを考えて使って欲しい。
特に光沢インクジェット用紙は
高価ですから考えて使って欲しい。
管理人はインクジェット用紙の開発に
関係したことがありますから、
用途に合わせて
品種を拡大してきた苦労も分かります。
それだけに使い所を理解して
効果的に使ってほしいと思います。
この記事を参考に
目的に合った紙を選んで下さいね!