青味付けとは?紙の黄味を補色で打ち消してより白く見せる!

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青味付け

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、青味付けとは?
紙の黄味を補色で打ち消してより白く見せる!
というお話。

今回はちょっと専門的なお話。

管理人は元製紙会社社員。

技術部とか開発部にも在籍しました。

そのなかで紙の開発に
関わったこともあります。

でですね。

紙は少しでも白く見せたい。

そういう要求があるんですよね~

しかし。

物体が「白色」の場合はできるだけ
何も添加しないのが一番いい。

染料を入れると物体の明るさは
低下してしまいますので。

ところが。

同じ明るさでも黄色っぽいと
黄ばんで見えて印象が悪い。

じゃあどうするか?

ここで青色を添加して黄色を
打ち消そうじゃないかとなる。

ということで。

この記事では、青味付けとは?
紙の黄味を補色で打ち消して
より白く見せる!について

管理人が調べたところを
お伝えしたいと思います。

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青味付けで黄ばみをごまかして白く見せる

まず前提条件なんですが。

紙を製造するときに使うパルプの種類。

クラフトパルプや古紙パルプ、
機械パルプなどがあります。

この中でクラフトパルプや機械パルプは
漂白しても若干黄色味が残ります。

ですが白色度としてはこの状態が一番高い。

古紙パルプは黒いインクの影響で
ねずみ色のものが多かったですね。

で、白く見せたい場合なんですが。

そういう要求をされる紙に
古紙パルプは使いにくい。

基本は漂白したバージンパルプで
製造される紙ということになります。

具体的には上質紙とか上質系コート紙。

それでこの上質紙なんですが。

染料を何も添加せずに生産するのが
白色度としては一番高いんです。

しかしそれでは黄ばんで見える。

困ったことに物が黄ばむのは
劣化した場合なんですよね。

バージンパルプで製造しているのに
古くなったように見えるのは心外。

なので、この黄ばみを消す必要がある。

その時に取る方法が青味付けというわけ。

一般的に染料というのは特定の光を吸収して
見せたい光を反射するという機能になります。

つまりは染料を添加するほど
光は吸収されてしまう。

見た目に暗く感じるんですよね。

それでも黄ばんで見えるよりはいい、
と言う場合青色染料を使います。

ちなみに。

青色染料を使う理由なんですが
それは黄色の補色になるから。

たとえば12色相環。

こんなやつですが。

 

日本色研 配色パネル 中級用 (マグネット式)

 

この環の向かい合った色は
互いに打ち消し合う補色。

黄色に対しては青色なんですよね。

なので黄色く見える場合は
青色を入れて打ち消す。

実際には白くなるのではなくて
彩度が消えてねずみ色になる感じ。

なのでこの理屈でいうとパルプが
赤ければ緑色を添加するし、

緑っぽければ赤色を添加する
と言う感じになります。

実際に現場で作業していたときには
ブルーとローズを添加してました。

黄色や緑を消して紫色の方向に
したほうがいい紙に見えるので。

白色と言ってもなかなか微妙なんですよね~

青味付け以外で白く見せるには蛍光染料

ここまで青味付けのお話をしました。

ただこの方法、やり過ぎると暗くなる。

十分に明るいバージンパルプだから
うまくいくわけでパルプ自体の

白色度が低い場合には
あまりうまく行きません。

でももっと白くしてほしい
というときには蛍光染料。

紫外線が当たると青い色を反射する。

赤とか紫っぽいのもありますが。

まあそういう染料のことを言います。

この染料なんですがコート紙は
ほとんど入っていると思います。

一般的な上質紙には入ってませんが
一部の上質紙には入ってます。

管理人が知っているのは
駅で売ってる競馬新聞。

明らかに青いんですけど
あれは蛍光染料入りです。

ただ、蛍光染料は難しいところがあって
光が当たらないと役に立たないんです。

競馬新聞のように昼間に競馬場で
新聞を広げれば白く見えますが

あれを暗いところで見ても
そんなに白くは感じません。

蛍光染料の性質として紫外線を
吸収して青色を放射するので

強い光が当たらなければ
青色の放射も出来ないわけ。

それとあまり長持ちはしません。

新聞のように1日とか2日で
捨てられるならいいんですが

長時間光に当たると蛍光染料が
壊れて役に立たなくなります。

蛍光染料自体の元々の色は赤とか
黄色なので青味はつかない。

つまりは紙が基盤で見えます。

なので使用用途を考えて使わないと
逆効果になることがあるんですよね。

それからもう一つ重要なことは
発がん物質疑惑があったこと。

今は問題ないということなんですが
かつては発がん物質ではと疑われた。

それが今でも尾を引いています。

なので食品に触れる紙に使うのは
問題になることが多いんですよね。

一度出来たイメージはそう簡単には消えない。

これも難しい問題です。

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管理人のまとめ

今回は青味付けとは?
紙の黄味を補色で打ち消してより白く見せる!
というお話でした。

管理人が製紙会社に居た頃も
この青味付けはよくやりました。

白色度としては下がっても
見た目はごまかせるんですよね。

黄ばんだ色がスッキリした白になる。

既存品はもちろんのこと開発品でも
こういう細工はよくやった気がします。

ただ、やり過ぎると暗くなるので
その加減は難しいですけど。

そうそう。

この青味付けは紙に限らず布とか
プラスチックでもなんとなく

白く見せる方法として
よく使われるそうです。

それから蛍光染料についても
少しお話させていただきました。

蛍光染料は上手く使えばかなり
白く見せるには有効なんですが

使い所を間違えると逆効果に
なるのでそこがなかなか難しい。

紙を白く見せるというのは白いものを
より白く見せるということになるので、

その工夫もなかなか簡単では
無いのかなと思いますね~

この記事が、青味付けの
参考になればと思います。

青味付け、少し気にしてみてください!

(参考)
こんな記事も読まれています。

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