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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、シール台紙で
はがせるものは何というお話。
管理人、元製紙会社社員ですが
シールの関係もちょっとやりました。
あのシール台紙ではがせるものは
剥離紙というんですよね。
読んで字のごとく剥離できる紙ということ。
この紙、捨てる紙なのに手間がかかる。
でも、剥離紙のおかげでシールが
便利なんだというのもあります。
では剥離紙とはどういうものなのか?
ということで。
この記事ではシール台紙で
はがせるもの、剥離紙について
管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。
シール台紙ではがせるもの、剥離紙の構造
シール台紙ではがせるものは
剥離紙と言うんですけど。
その構造はどうなっているのか?
管理人の経験から少しお話させて下さい。
まず、よく見かけるのは黄色と青色の紙。
剥離紙はセパレーターとも呼ばれますので
黄色い剥離紙は黄セパ、と言ってましたね。
青い方はグラシン紙なので青グラシン。
なぜこの色が選ばれているのかは
管理人には分かりません。
また、黄セパ、青グラシンなんですが
実はシールのメーカーで微妙に色が違う。
同じ黄セパでも濃いやつとちょっと薄めとか
同じ青グラシンも若干緑がかっているとか。
これはシールの会社によって
使っている原紙が違うから。
なかなか微妙なんですよね。
シールを作る会社からすると
剥離紙は購入するもの。
だから安くて品質が良ければ
簡単に乗り換えるんですよね。
自社や関連会社で作っている場合でも
品質が悪ければ他社から購入する。
そういうことが普通にあります。
実は管理人もそういう経験あります。
青グラシンを海外から購入したら
品質が今ひとつだった。
なので、結局国産品に切り替えたとか。
それはそうとして。
まず剥離紙の構造なんですが。
これ結構複雑です。
基本構造はこんな感じ。
剥離剤(シリコーン) |
剥離原紙 |
これで剥離紙にラミネートしてから
シリコーンを塗工したり
裏側にカール防止のためのラミネートや
樹脂塗工をしたりするんですが
結局のところの基本構造は
これだけのことです。
それで。
剥離剤にはシリコーンを使います。
シャンプーでツヤツヤとか逆に
非シリコン系とかいいますけど
主成分はだいたいあれと同じ
という感じですかね。
粘着剤がくっついても剥がれるのは
このシリコーンのおかげなんです。
黄セパとかグラシン紙とかにラミネートして
その上にシリコーンを塗工する。
黄セパは上質紙なのでラミネートしないと
シリコーンが紙に浸透してしまいますが
グラシン紙の場合はラミネートする場合と
直接塗工する場合の2種類がありました。
このシリコーンにも色々種類があります。
作っている会社は主に2社で信越と
東芝シリコーンでしたね。
東芝シリコーンは今はモメンティブでしたか。
管理人は信越を使ってましたね~
このシリコーンの種類は何十種類もあったと
思いますが剥離性で2つに分けてました。
これもややこしいんですけど
ちょっと説明してみます。
まず、剥離性というのは剥離が重いとか
剥離が軽いとかそんな表現してました。
剥離が重いというのは剥がし
にくいということなんですね。
専門的に言うと剥離力が大きい。
逆に剥離が軽いというのは簡単に
剥がれるということで剥離力が低い。
ややこしいのはこれに速度依存性が
加わることなんですけど、
たとえばシールを素早く剥がすときとゆっくり
剥がすときでは剥がれ方が違いますよね。
剥離が重くても素早く剥がすとスグ剥がれる
というのもあれば軽くても素早く剥がすと
抵抗があって剥がれにくいという
そういうシリコーンの種類があります。
かなりややこしいですね。
なんでそんなにややこしいかと言うと
使用用途が色々あるからなんです。
たとえば。
そうですね、手貼りシールを考えます。
これって人間の手で剥がすので
剥離が軽いとポロポロ落ちますよね。
できれば剥がすまではしっかりと
剥離紙にくっついていて欲しい。
剥離速度についてはあまり気にしません。
人間の剥がす速度なんで
バラバラだしそんなに速くないし。
しかし、機械だとどうか。
これはかなりシビアなんですよね。
たとえばスーパーで夕方半額の
シールを貼ったりしますけど。
あれって機械でもやりますよね?
大きなスーパーなら機械じゃないと
あんなに大量に貼れませんし。
そのときに、あの機械がきっちり
シールを剥がせないといけない。
つまり、剥離が重すぎるとアウト。
シールが剥離紙に残ってしまうわけです。
そして、あの速度で剥がせないといけない。
つまり、機械に会うように適度な剥離力
適度な剥離速度に調整が必要。
そのためにシリコーンの
種類がいくつもあります。
この条件、決めるのはなかなか難しい。
今はもう規格があると思いますけど。
ややこしいのは、機械が同じでも
シールの面積が変わると条件が変わる。
段ボール箱に貼る3cm四角のシールと
ボールペンに貼るような1cmくらいの
小さな丸いシールでは同じような
剥離力では上手く行かないわけです。
もちろん粘着剤によって変わるし
上紙によっても変わってきます。
シリコーンの塗工量が変わっても
剥離力は変わってきます。
機械で貼るときに使われるのは
主にグラシン紙ですけど
結構個別の対応が
面倒なものなんですよね。
捨てる紙なのに面倒なんです。
剥離紙の代替品
剥離紙は結構ややこしい紙ですが
とりあえずシールを仮置する
程度の代替品としてなら
クッキングシートが使えます。
こういうやつですね。
実はクッキングシートも食品が
くっつかないシリコーン加工してます。
もちろん剥離紙のシリコーンとは
違いますけど主成分は同じ。
なのである程度の代替になるというわけ。
これ以外だとクラフトテープの
背が使えますかね。
あれもツルツルしてますから。
これは覚えておくとなにかと
便利かもしれませんね。
剥離紙の製造について
ここからは余談です。
管理人は元製紙会社社員で
剥離紙の製造も関わりました。
先程もお話したようにこれって
捨てる紙なのに面倒なんです。
たとえば。
黄セパというのは原紙が色上質紙で
その上にラミネートしてシリコーン塗工。
こっちはそこまで面倒じゃない。
しかしグラシンはかなり面倒。
特に透明フィルムに使うものは厄介でした。
紙として数値がOKだったとしても
欠陥があるとダメなんですよね。
上紙が紙だったら剥離紙の表面は
見えませんけど透明フィルムは
剥離紙の表面がそのまま
見えてしまうわけです。
いくら透明フィルムに問題がなくても
剥離紙の表面に黒点が見えるとNG。
シール自体がクレームになります。
捨てる方の紙の欠陥で
シール全体が駄目になる。
怖いですよね~
最初の方でお話した剥離紙の変更は
これが大きな原因でした。
管理人のいた会社はグラシン紙は作って
いなかったので輸入してたんですよね。
その紙は数値的な品質はOK
でしたが欠陥が多かった。
その欠陥の個数、普通の紙なら
問題ない範囲なんです。
しかし、透明フィルムの剥離紙に
使うには甘かった・・・
ユーザーに出てしまって見つかると
クレームになるから除去しますよね。
だから仕上げ段階で欠陥除去
するんですがそれがとても多い。
ついに操業員からこんなに欠陥を除去
していたら仕事にならないと言われる始末。
まあそれで仕方なく自社で剥離紙を
作るより品質の良いのを買うことにした。
製紙会社としては情けないことです。
しかし、その方が結果的には良かった。
コストは大切ですけどトータルで
考えないといけない。
部分的にコストダウンできても
最終的にロスが出ては意味がない。
ただ、これって当然のことながら
剥離紙購入先はライバル会社。
シールを作るために剥離紙を
作っているわけですからね。
ということは、いつでもこちらの
ラインを止めることが出来るわけです。
商道徳というのがありますから
契約すれば売ってくれるんですけど
事業を継続するつもりなら内製化
出来るように研究が必要だし
相手のご機嫌を損なわないように
いい関係で商売しないといけない。
これは経営の問題ですけど外注化は
先のことまでよく考えないと怖い。
国内ではひどいことはしないでしょうけど
海外だと十分あり得る話です。
ライバルであっても協力的な関係を
作るのは重要なんでしょうね~
管理人のまとめ
今回は、シール台紙ではがせる
ものは何というお話でした。
これの名前は剥離紙。
紙に剥離剤としてシリコーンを
塗工したものです。
この剥離紙についても少し
お話させていただきました。
捨てる紙なのに面倒なんですよね~
シリコーンと言っても結構種類があるし
シールとしての使い方も問題だし。
実は技術力が問われる紙だったりします。
剥離紙、侮れません。
この記事が、シール台紙ではがせる
ものの参考になればと思います。
剥離紙、結構重要ですからね!
(参考)
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