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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、誓約書・念書と覚書の違いとは?
一方的な約束事か双方合意かというお話。
ビジネスや日常生活で、誓約書・念書、
そして覚書といった書類を目にすることは
意外と多いものです。
しかし、これらの違いを正確に
理解している人は少ないかも。
「なんとなく誓約書は固そう」
「覚書はメモみたいなもの?」
といった曖昧なイメージが
先行しがちです。
実際には、それぞれの書類には明確な
違いがあり、法的な効力も異なります。
ということで。
この記事では誓約書・念書と覚書の違いとは?
一方的な約束事か双方合意かについて
管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。
誓約書・念書とは?
一方的な約束を記す書類
誓約書や念書は、一般的に一方の当事者が特定の約束や義務を履行することを記載した文書です。これらは契約とは異なり、相手方の署名や同意が必ずしも必要とされないケースも多く、自己の意思に基づく約束を明文化する形になります。
たとえば、企業に雇用されている社員が「会社の営業秘密や顧客情報を第三者に漏らさない」といった内容を自ら誓う文書が誓約書です。また、知人や親族などから金銭を借りた場合に、その返済について「いつまでに返す」と明記した念書などもこの類型にあたります。
このように、誓約書や念書は、特定の行動や義務に対して自ら責任を持って履行することを明確にする役割を担っており、信頼関係を補完する重要なツールでもあります。
誓約書と念書の違い
- 誓約書:より形式的で厳粛な印象を持つ文書であり、法的な効力を意識した内容が多く含まれます。特に企業などが使用する場合には、就業規則や契約条件を補完する意味合いで用いられることが一般的です。署名や押印が必須であることが多く、違反があった場合には民事上の責任や懲戒処分につながることもあります。
- 念書:誓約書よりもややカジュアルな印象があるものの、重要な事実や意思表示を明文化する点では同様です。多くの場合、当事者の一方がもう一方に向けて行動を約束したり、過去の事実を確認するために用いられます。禁止事項や注意事項を記載する場面にも適しており、念書であっても証拠資料として裁判で用いられることがあります。
法的効力について
誓約書や念書には一定の法的効力がありますが、その効力が認められるにはいくつかの条件を満たす必要があります。まず第一に、文書の内容が日本の法律や公序良俗に反していないことが前提となります。たとえば、違法な目的や不当な拘束を伴う内容は無効とされる可能性があります。
また、文書の作成においては当事者が自発的かつ自由意思に基づいて署名・押印していることが求められます。さらに、記載されている文言が曖昧だったり抽象的である場合には、後々トラブルに発展した際にその効力が否定されるおそれがあります。
したがって、誓約書や念書を作成する際は、できるだけ具体的で明確な表現を用いることが望ましいといえます。必要に応じて専門家の助言を得ることも、有効な文書作成の一助になります。
覚書とは?
双方の合意を確認する書類
覚書は、誓約書や念書と異なり、双方の合意内容を確認し、それを文書として記録しておくものです。契約書のように形式が厳密である必要はないものの、合意した事実を明文化することで、将来的な誤解や争いを未然に防ぐ効果があります。
たとえば、業務委託に関する合意内容や、売買条件、または離婚に伴う養育費や財産分与の取り決めなど、さまざまな場面で覚書が活用されています。特に、正式な契約に至る前段階での確認文書として用いられることが多く、契約書への移行のための橋渡しとして重要な役割を果たします。
また、覚書は当事者双方が署名・押印することで法的効力を持ちます。形式よりも実質を重視する文書であるため、信頼関係に基づいた合意内容を記録する手段として非常に有効です。
契約書との違い
契約書と覚書の最大の違いは、文書の厳格さと詳細さにあります。契約書は法的義務や条件、解除要件、損害賠償などを詳細に定める必要があり、契約書単独でそのまま法的な強制力を持ちます。
一方、覚書は「合意の存在」を証明する補助的な文書であり、契約関係の確認や補足、または変更を記録する際に活用されます。覚書によって明文化された合意内容は、裁判などで証拠として使用されることも多く、契約書と同様に重要な役割を果たすことがあります。
また、覚書は相手方との関係性を保ちつつ柔軟な合意を行うための文書としても機能し、特にビジネスシーンでは頻繁に利用されます。
具体例
- 業務委託に関する覚書:業務内容や成果物、報酬額、納品日などを確認し、誤解が生じないように明文化しておく文書。
- 売買に関する覚書:商品やサービスの仕様、納期、支払方法、保証内容など、売買契約に至る前に双方で確認しておくための文書。
- 離婚時の覚書:養育費や親権、面会交流の頻度など、離婚協議書の前段階として合意した内容を記録する文書。
一方的な約束事か、双方合意か
一方的な約束事:誓約書・念書
誓約書や念書は、基本的に当事者の一方が「自分はこうする」と誓う文書であり、その内容に対して相手方が義務を負うことはありません。つまり、誓約や約束の内容は自己完結型であり、あくまでも署名者自身の意思表示によって成立します。
このような文書は、義務の履行を明確にし、自らの責任を明文化することで、後にトラブルになった場合の証拠として活用されます。たとえば、退職者が機密保持を誓う、借入者が返済を誓うといった状況で多用されます。
双方合意:覚書
覚書は、二者以上の当事者が合意した内容を文書として確認するものであり、片方の意思表示だけでは成立しません。両者が合意して署名・押印することで初めて文書としての効力を持ちます。
また、覚書には通常、当事者双方の権利および義務が記載されており、たとえば代償や対価を伴う取り決めが含まれることが多いです。契約の補足や、今後の取り決めの前提条件を確認するためにも、覚書は有効に機能します。
一度合意された内容を変更したい場合には、再度両者の同意が必要となるため、覚書は非常に重要な合意文書といえます。
具体例での比較
- 誓約書の例:「退職後2年間は競業避止義務を守ります」→ 一方的に誓う形で、自身の行動を制限する内容です。相手側が報酬を支払うなどの見返りがない場合も多いです。
- 覚書の例:「退職後2年間は競業避止義務を守る代わりに、〇〇の手当を支給する」→ 雇用主と従業員双方が合意し、それぞれに義務と権利が生じる内容になります。
管理人のまとめ
今回は誓約書・念書と覚書の違いとは?
一方的な約束事か双方合意かという
お話でした。
誓約書・念書と覚書の違いをまとめると、
以下のようになります。
- 誓約書・念書:一方的な約束事を記す文書。署名者のみが義務を負う。
- 覚書:双方合意の内容を確認する文書。双方が義務を負う場合がある。
誓約書・念書は「誓う」「約束する」
といった一方的な意思表示が基本ですが、
覚書は「確認する」「取り決める」という
双方の合意を文書化するものです。
これらの違いを理解して
適切に使い分けることで、
ビジネスやプライベートでの
トラブルを未然に防ぐことができます。
この記事が誓約書・念書と覚書の
違いの参考になればと思います。
誓約書・念書や覚書、
正しく使ってくださいね!
(参考)
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