感熱紙は再生紙に使えない!その当然すぎる驚きの理由とは?

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感熱紙 再生紙 使えない

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、感熱紙は再生紙に使えないお話。

感熱紙って昔は一般家庭でも
結構使われました。

管理人の自宅でも使ってました。

FAX用紙として。

今はどうでしょうか。

もう、FAXを通信手段にしているのは
ほんの一部の人になったと思います。

だいたい、メールとかLINEですから。

かつては聴覚障害の通信手段が
FAXだったんですが今では高齢者でも

LINEやってたりしますから
時代は変わったと思います。

管理人の自宅にもFAXはありますが
リボンを使った普通紙タイプ。

しかも、印刷する前に液晶画面で
内容が確認できるので紙はいらない。

FAX送付するときは上質紙。

こんな感じで一般家庭で感熱紙
ほとんど見ることはなくなりました。

では感熱紙がなくなったのか
と言うとそんな事はありません。

実はコンビニやスーパーなどの
レシートはほとんど感熱紙。

数量的にどうかは分かりませんが
大量に使用されているはずです。

しかし。

これら感熱紙は再生紙には出来ません。

その理由は?

ということで。

この記事では、感熱紙が
再生紙に使えない理由について

管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。

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感熱紙が再生紙に使えない理由

では感熱紙が再生紙に使えない理由を
パルプ工程からお話します。

パルプ工程

結論から言うと、当然すぎる話です。

古紙パルプを製造するとき、
最初に紙を溶かす工程があるんですが

そこではアルカリ水溶液の中に
紙を放り込んで溶かしていくんですね。

溶かすと言っても、正確には水に溶けている
というのではなくて、バラバラになった

パルプが水に分散している状態なんですが
便宜上溶けていると言っています。

離解工程という方が正しいですけどね。

それはともかく。

集められた古紙はパルプに再生するため
アルカリ水の中に溶かされる。

まずはここで問題が発生します。

この場合アルカリというのは苛性ソーダ、
学校では水酸化ナトリウムと習いますが

かなり強力なアルカリで、PHは14とか
まあだいたい最強なわけですよ。

工業的にやってますから実験室よりは
適当でしょうけど濃度が48wt%とか

それはもう強いやつをガンガン入れて水で
薄めてタンクに古紙を放り込むわけです。

苛性ソーダの濃いやつは本当に危険で、
なんだか煙も出てますから側に行けない。

なんだか薬品に危険だから来るなと
言われているような気分になりますね。

そんなのをガンガンタンクで混ぜて
古紙を投入していますけど、

何もしなくても発熱するんですよね
そういう状況で操業していると。

苛性ソーダを水に溶かすと発熱する
というのは教科書にも書いてるようですが。

wikiによると

また、水に溶かす際に激しく発熱し
(溶解熱は 44.5 kJ/mol)

と書かれてますね。

ここに感熱紙を投入するとどうなるか?

まずタンク内は溶解熱で温度が
上がってますから感熱紙は発色します。

しかも、感熱紙に使われるロイコ染料は
アルカリでも発色することがある。

そうなるとダブルの理由で
発色するわけです。

それでもロイコ染料がうまく
洗い流されたらいいんでしょうが

パルプに残れば黒い斑点として
出てくることになるんですよね。

古紙パルプの場合はそもそもインクが
付いていますからその後脱墨といって

インクを取り除いて夾雑物を減らす
という工程があるんですが

感熱紙が入っているとその負担が
増えるし取り除けないこともある。

インクにも色んな種類があって
取り除きやすいものとそうでないものがある。

特に分子レベルの染料は取り除きにくい。

インクがパルプから剥がれるから
夾雑物として除去できるわけで

パルプが染色されていたらインクと
パルプの分離は無理なんです。

こんな感じで感熱紙がはいると
古紙パルプの品質が落ちる。

しかも、感熱紙の場合は
ロイコ染料が全面塗工されている。

もう、インクを撒き散らしているようなもの。

数量的に少なければいいんでしょうが
量が多かったらもうだめですよね。

抄紙工程

古紙パルプ工程で運良く発色しなくても
抄紙工程ではまた危険があります。

それは乾燥工程。

ここでは最終的に200℃程度の
温度がかかるんですよね。

感熱紙はだいたい55-60℃
くらいから発色するわけです。

当然発色しますよね。

そうすると欠陥になる。

その部分は紙として使えないので
ロスになるということです。

だからそんな原料はいらない。

紙の色が真っ黒でもいい、
というなら感熱紙も使えます。

しかし、普通は紙は白いのがいい。

だからどうしても感熱紙は
再生紙として使えないわけです。

管理人のまとめ

今回は、感熱紙は再生紙に
使えないというお話でした。

感熱紙ですから熱で発色する。

そして古紙パルプ製造工程では
最初の離解工程で発熱しています。

強アルカリ水に感熱紙を投入するので
そのときにすでに高温になるんですね。

また、場合によっては感熱紙の
ロイコ染料がアルカリで発色する。

製紙会社としては黒くなる
原料なんていらないわけです。

また、抄紙工程では特に乾燥工程で
200℃近い高熱がかかりますから

感熱紙が入っていると発色して
その部分は欠陥になります。

現実には少々感熱紙が混入しも
そんなに大きなトラブルには

ならないとは思いますが
トラブルになるかも知れない

原料をわざわざお金を出して
購入する人はいないわけです。

こんな理由で感熱紙は再生紙には
使えない禁忌品なんですね。

この記事が、感熱紙は再生紙に
使えないという参考になればと思います。

でもゴミの分別は各自治体の
ルールに従って下さいね!

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