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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、合成紙の耐熱性。
主成分がポリプロピレンなので
紙より低いのか、というお話。
管理人、合成紙の開発には
関わったことはないんです。
しかし、それなりに勉強はしました。
見た目は紙なんですが
全然別物なんですよね。
その種類はいくつかあるんですが
現段階だと事実上ユポになります。
それで。
このユポの耐熱性はどうなのか?
紙と比べていいのか悪いのか?
なんでこんな事を言うかというと
レーザープリンタで使えるか?
というところが関わるから。
そのあたり、お話したいと思います。
ということで。
この記事では、合成紙の耐熱性は
紙より低いのかということについて
管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。
合成紙の耐熱性は紙より低い
結論から言うと合成紙の
耐熱性は紙より低いです。
合成紙にもいくつか種類がありますが
事実上は合成紙といえばユポになります。
ユポの主成分はポリプロピレン(PP)。
PPってプラスチックなので
発火温度を確認してみます。
ユポそのものの発火点は
見つからなかったので
とりあえず主成分のPPと
紙の発火温度を比較。
==ここから==
上質紙:約450℃
新聞紙:約290℃
ポリプロピレン(PP):330-440℃
==ここまで==
ということだそうです。
PPの発火温度は分子量や
密度によって違うのでしょう。
コピー用紙としての比較を考えると
上質紙とPPフィルムになるので
若干上質紙のほうが耐熱性が
あるかなという感じですね。
思ったほど差がないな~
では次に軟化点の比較。
紙は温度をかけて柔らかく
なる事はありません。
ではPPは?
樹脂だけだと69-77℃だそうです。
これはかなり低いですね~
実は管理人はPPの軟化温度の
低さを経験したことがあります。
それはこんな感じ。
昔会社に勤務していたときに実験で
PPカップというのを使ってました。
使い捨てのビーカーみたいなものです。
この中に水を入れて120℃くらいの
乾燥機に入れたんですよね。
そうすると数分のうちにフニャフニャに
なって慌てたという経験があるんです。
中身が水というか水溶液でしたから
大したことにはなりませんでしたが
もしも可燃性の有機溶剤だったら
ちょっとヒヤッとしますよね~
そのときにPPってこんなに耐熱性
低かったんだと思いました。
データとして知っていましたけど
実際にやって初めて分かるという。
ちょっと恥ずかしいお話です。
それはともかく。
PPは軟化点が80℃以下ということです。
そして、融点は約168℃だそうです。
これも分子量で変わってきます。
まあだいたいこれくらいということですね。
つまり、200℃以下でドロドロになる。
もちろん、PPも樹脂単体ではなくて
色々薬品を加えたりフィラーを入れたら
その温度はもっと高くなると思いますが
じゃあ軟化点を200℃以上にできるか
と言われるとそれは無理というか
もう汎用のPPじゃないでしょう。
ここまで色々お話してきましたが
結論としてはPPは紙より軟化点が低い。
つまり耐熱性は低いということ。
合成紙、この場合はユポですが
これは主成分がPPですから
やはり紙よりも耐熱性が
低いということになります。
合成紙は耐熱性が必要なプリンタでは使えない
ここまで合成紙は耐熱性が
低いことをお話してきました。
では合成紙はプリンタでは使えないのか?
これはプリンタの印刷方式によります。
たとえば。
インクジェットのように熱が
かからないものであればOK。
このとき、ユポの表面にはインクジェット用の
塗料を塗工するとかの加工は必要です。
さすがに普通のユポだとインクを
吸収しないので無理なんで。
ただ、耐熱性を必要としませんから
インクジェット印刷は可能なんです。
もちろん普通のオフセット印刷でも
枚葉印刷なら特に問題ない。
それからUVインキを使うなら
UV照射でインキを乾燥させるので
熱風乾燥のような熱はかからず
大丈夫ということみたいですね。
実際にはUV照射器も熱を持つんですが
この場合は紙面を冷やしてもインキは乾く。
こういうタイプなら問題ないんでしょう。
一方、オフ輪のように熱風乾燥機を
使うタイプはちょっと厳しいみたいです。
グラビア印刷は出来るようですが
乾燥温度は80℃以下推奨ですね。
やはり軟化点の問題があるので
そういうことになっているようです。
あと、身近な印刷といえば
レーザープリンタでしょうか。
コピー機もそうですね。
これらはユポは使いにくい。
レーザープリンタやコピー機の場合
トナーを定着させるためにドラムで
熱をかけるんですがその温度が
約200℃と言われています。
つまりPPの軟化温度より高い。
接触時間は短いので大丈夫
かも知れませんがかなり危険。
管理人なら怖くて使えません。
最悪、プリンタのドラムにユポが
巻き付いてくっついて故障します。
それは嫌ですからね~
なので基本的には合成紙は
熱がかからない印刷のみ。
普通の紙とはかなり違うんですね~
管理人のまとめ
今回は合成紙の耐熱性
についてのお話でした。
結論から言うと合成紙は耐熱性が低い。
もうちょっと正確には
軟化点が低いということ。
なので、印刷については熱の
かかる印刷は基本的にNG。
理由は主成分がポリプロピレン(PP)だから。
ということでした。
一般の紙の場合はセルロースが
主成分で加熱で軟化はしないです。
ここが合成紙と大きく違いますね。
もうちょっと厳密に言うと合成紙には
PETフィルムベースのものもあります。
PETというのはペットボトルにも
使われている樹脂のことです。
ポリエチレンフタレートといいますね。
こちらはPPと比較すれば
軟化点は高いです。
だいたい200℃程度みたいですね。
これはちょっとややこしくて
フィルムでも延伸していると
軟化点が高くなって無延伸だと
軟化点は70℃程度のようです。
いずれにしても合成紙の場合
フィルムにするときに延伸するので
耐熱温度は200℃程度
ということになるようです。
ただ、このPETベースの合成紙は
あまり一般的ではありません。
透明なPETフィルムに白い塗料を塗って
合成紙ですと言ってることもあるので。
やっぱり合成紙はユポになるんでしょう。
で、結局は合成紙は紙よりも
耐熱性が低いということになる。
合成紙には水濡れに強いとか
折り曲げても戻るとか一般の
紙とは違う面白い性質があるので
それぞれの特徴を生かして使いたい。
棲み分けが重要なんでしょうね~
この記事が、合成紙の耐熱性
の参考になればと思います。
合成紙、うまく使ってくださいね!