紙のカールはなぜ起こる?繊維の配向性と表裏差が主な原因!

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、紙のカールは
なぜ起こるというお話。

紙はカールする。

紙に限らずシートはカールするもの。

それで、これが厄介なんですよね~

管理人は元製紙会社社員ですから
このカールにはずいぶん悩みました。

出来ることは少ないんですけどね。

それで、カールと言っても
原因はひとつではありません。

管理人が知っているだけでも
4つくらいはあるように思います。

ではそのカールの原因はなにか?

ということで。

この記事では紙のカールは
なぜ起こるということについて

管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。

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紙のカールの原因は表裏の伸び方の違い

結論から言うと紙のカールの原因は
紙の表裏の伸び方の違いによります。

紙というかシートには
表と裏があるわけで、

これが同じように伸びれば
カールは起こらないわけです。

しかし残念ながらそうはならない。

ではこの表裏差を生むものはなにか?

これを少しお話してみます。

繊維配向性の表裏差によるカール

ひとつは繊維配向性の
表裏差によるカールです。

ちょっと何言ってるか分かりませんね。

繊維配向性というのは細長いパルプが
どんな風に並んでいるかということ。

紙の流れに沿って縦長に並ぶか
それとも横向きに並ぶ割合が多いか。

完全に縦向きだけというのも
横向きだけというのも出来ません。

製造する側としてはそこはなるべく
バランス良くなるように調整します。

ただこれ、どんなにバランスをとっても
表側と裏側では差ができてしまう。

一般的には裏側をワイヤー側
表側をフェルト側と呼ぶんですが、

ワイヤー側の方が繊維は縦に
並びやすいというのがあります。

こうなると裏側が横向きに伸びやすい。

なので、縦方向を軸として
表側に持ち上がるカールになる。

多かれ少なかれ一般の紙では
こういう傾向が見られます。

ただ、最近はツインワイヤーマシンも
増えて表裏差はほぼなくなりました。

だからこういうカールも減りました。

ツインワイヤーマシンというのは
ワイヤーが両面にあるマシンのこと。

そもそもワイヤーというのは
脱水のためにあるんですが、

マシンが高速化するに伴って
脱水も効果的にする必要があり

両面から脱水することで製造
効率を上げているんですよね。

また、両面ともワイヤーなら
表も裏も脱水のされ方は同じ。

だから表裏差はなくなるということ。

まあ、理屈ではそういうことです。

現実にはそのバランスが難しい、
ですが改善されているのは確か。

ただし。

今でも古いシングルワイヤーマシンは
カールの改善は難しいと思います。

カールは結局マシン特性で
どれだけ表裏差とか繊維配向性の

バランスがとれるのか
というのが問題になる。

もちろん、完璧というのはないので
あとはどこまで許容するかになります。

塗工紙の表裏差によるカール

ここまでは非塗工紙のお話です。

ではチラシのような塗工紙はどうか。

管理人の経験では薄いコート紙で
カールは問題になりません。

まず、用途的にカールが問題に
なるような用途がないからでしょう。

これはあくまでも両面塗工した
チラシのような紙の場合です。

印刷もほとんどが巻取りですから
カールするにしても印刷後の話。

それに。

塗工紙の場合は表裏に塗料を
塗っていますから表裏差が少ない。

原紙で表裏差が大きければ別ですが
それほどでもなければ隠れてしまう。

また、光沢のある紙の場合は
スーパーカレンダーという機械で

圧縮してこすって光沢を出すので
カールがあっても矯正される面もある。

むりやり紙をしごいている感じですね。

そういうことで、薄いコート紙で
カールが問題になることは少ない。

ただし。

厚手のコート紙、特に片面コート紙は
カール対策が非常に難しいです。

代表的なのはキャストコート紙。

キャストコート紙は基本的に
片面塗工なんですよね。

片面塗工ということは
表裏差が大きいということ。

何が大きく違うのかというと。

塗料を塗工している側と反対側では
水分の吸湿の仕方が違うわけです。

塗料が塗工している方が
吸湿が少なくなるんです。

そうすると、塗工面は伸びずに
反対面が伸びてカールする。

この対策がかなり厄介でした。

反対面にも塗料を塗工する
品種ならそれなりになるんですが

反対面がただの上質紙のような
品種だとちょっと面倒でしたね。

対応方法としては水を塗ってました。

無理矢理な感じでしたけど
生産直後はなんとかなる。

ごまかし程度ですけどね。

この片面コート紙のカール
対策は相当難しいんです。

特に高級品になるほど難しい。

そうですね、たとえばインクジェットの
写真光沢用紙なんかがありますけど、

あれの高級品は裏側に
ラミしているものがあります。

わざわざ裏側にラミネートするんです。

カール対策のために。

光沢インクジェットの場合は印刷面が
ガチガチに塗工していますから

裏面もそれに見合ったバリヤをしないと
吸水してカールするんですよね。

この対策は本当に面倒で
色々薬品を塗ったりしました。

でも結局、裏面にもラミネートして
吸水を抑えるのが一番簡単。

そしてコストも安い。

管理人の経験ではそうでしたね~

まあ、リサイクルには向きませんけど。

貼り合わせの表裏差によるカール

これは塗工と意味は同じです。

たとえばシールですね。

これは紙を貼り合わせています。

このとき、両面の紙が同じように
伸びるならいいんですけど

そうでないときには
カールするというわけ。

管理人の経験ではシールでも
上紙がフィルムのときに困りました。

このとき上紙はフィルムで吸湿しない。

しかし、剥離紙は紙ですから吸湿して伸びる。

当然ながらカールするわけです。

これを抑えるために
色々やってみました。

上紙は変えられないので剥離紙の
裏にアクリル樹脂を塗ってましたね。

コストがかかる上に性能が悪い。

しかも、そのアクリル樹脂が擦れて
シールが汚れるとか散々でした。

一応はアクリル樹脂塗工なら
リサイクルしやすいということで

そういう開発をしていたんですが
かなり無理があったと思います。

そもそも剥離紙なんてだいたいが
焼却処分されるんですから

ラミネートでもやっておけば
良かったと思うんですけどね。

それはそれで問題ありましたけど。

巻グセカール

表裏差には違いないんですが繊維
配向性とは違うのが巻きぐせカール。

これはパルプ繊維がどうのこうのと
言うのではなくて単純にクセがつくこと。

賞状なんかを丸めて保管していたら
くるくるに丸まってるやつですね。

これは画用紙みたいな厚紙で
起こることが多いです。

対応策は単純で、巻グセとは
反対方向に紙をしごく。

それ以外だと、巻いている紙管の
直径を大きくすることですかね。

結局、強く巻くからカールするのであまり
曲がらないように紙管を大きくするわけです。

管理人の経験では通常の3インチ
紙管だとどうしても巻きグセがつくので

厚手の上質紙はジャンボ紙管と呼ばれる
直径の大きな紙管で仕上げてました。

紙以外の厚手のフィルムでも
似たようなことをしてましたね~

こんな単純なことでも知らなかったら
クレームが来て大変なんです。

プリンタ用紙なんかだと
カールは致命傷ですから。

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管理人のまとめ

今回は、紙のカールは
なぜ起こるというお話でした。

結論は表裏差があるとカールする。

その表裏差の原因として繊維配向性、
塗工や貼り合わせによる吸湿性の違い

巻グセのような物理的なもの
があるということでした。

繊維配向性はマシン特性なので
小手先ではどうにもなりません。

できるだけバランスの良いポイントを
探して安定させるのが操業員の腕。

それ以上はマシンの改造でも
しないと改善はしません。

管理人がいた頃はシングルワイヤーと
ツインワイヤー両方ありましたが

今はワイヤーパートもツインワイヤーが
主流で表裏差も少なくなっているはず。

カールも改善されていると思います。

その他の原因の塗工や貼り合わせは
品質に合わせて対応しているでしょう。

裏面水塗工で良い品種もあれば
ラミネートしないといけない品種もある。

シールの紙のように貼り合わせるものも
剥離紙側でどこまでやるかが問題。

ここはコストとの兼ね合いで
ケースバイケースでしょうね。

あと、巻グセカールはジャンボ紙管のような
直径の大きな紙管で仕上げていました。

多分これは今でも同じだと思います。

紙のカールはゼロにはならないので
どこまで許容するかというのもあります。

クレームになるかどうかは
用途によってもかなり違う。

管理人としては緩めて
ほしいなと思っていたものです。

この記事が、紙のカールの
原因の参考になればと思います。

コピー用紙がカールしないように
保管にも注意してくださいね!

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