合成紙の性質!合成樹脂を主原料とし耐久性や耐水性に優れる

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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、合成紙の性質!
合成樹脂を主原料とし耐久性や
耐水性に優れるというお話。

紙といえば木材パルプを原料とするものが
一般的ですが、実は「合成紙」という
特殊な紙も存在します。

合成紙は、合成樹脂を主原料として作られた紙。

耐水性や耐久性に優れ、さまざまな
用途に使用されています。

例えば、屋外で使われるポスターやラベル、
防水マップさらには高級感のある印刷物にも
利用されることが多いです。

ということで。

この記事では合成紙の性質!
合成樹脂を主原料とし耐久性や
耐水性に優れるについて

管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。

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合成紙とは?

合成紙は、一般的な紙とは異なる構造と特性を持つ素材であり、その製造において木材パルプを一切使用せず、代わりに合成樹脂(主にポリプロピレンやポリエチレンなど)を主原料として作られているのが大きな特徴です。

このように、石油由来の合成材料から作られることで、従来の紙にはない機能性を持つ点が、さまざまな分野で注目されています。

合成紙の製造方法には、大きく分けて「押し出し成形方式」と「塗工方式」の2種類があり、それぞれに異なる特性と適用分野があります。

  • 押し出し成形方式:この方法は、合成樹脂を熱で溶かしフィルム状に押し出してから、微細な気泡を含ませる処理を行い、紙に似た質感と外観を実現する技術です。引っ張り強度が非常に高く、繰り返し折り曲げても裂けにくいのが特長です。軽量で扱いやすく、特に屋外使用や長期間の使用に向いています。
  • 塗工方式:こちらは、ベースとなるプラスチックフィルムの表面に、インクの吸収性や筆記性を高めるための特殊な塗料を塗布する方法です。この方式では非常に鮮やかで高精細な印刷が可能となり、美術印刷やパッケージデザインなどに多く用いられています。印刷適性が求められる用途に最適です。

さらに、合成紙は構造や目的に応じていくつかのタイプに分類されており、それぞれに特有の用途があります。

  • 多層構造タイプ:異なる合成樹脂を重ねることで、強度だけでなく、耐薬品性や耐候性も高めたタイプ。ラベルや耐久性の求められる包装に利用されます。
  • 発泡タイプ:内部に細かい気泡を含ませた構造で、軽さとクッション性が両立されています。梱包材やPOP資材などに向いています。
  • 透明・半透明タイプ:光を通す性質を活かし、デザイン性や視認性が求められる商品パッケージやラベルに最適。美術用途でも重宝されます。

見た目や手触りはまるで通常の紙のように感じられますが、合成紙の魅力はそれ以上に、水に強く、破れにくく、耐候性に優れるという点にあります。

その結果、雨や湿気、日光などの過酷な条件下でも劣化しにくく、非常に長持ちする素材として、印刷業界や産業用途での信頼性が高いのです。

また、印刷の発色性が非常に優れており、インクの滲みもほとんどないため、美しい仕上がりが期待できるという点でも高評価を得ています。

合成紙の主な特徴

合成紙は、通常の紙とは異なる構造を持っているため、以下のような独自の機能や特性を備えています。

耐水性に優れる

原料が合成樹脂であるため、水を吸収することがありません。よって、濡れてもふやけたり、破れたりといったトラブルが起こりにくく、非常に高い耐水性を発揮します。

この特性は、水に触れる場面が多い飲食店のメニューや、屋外での地図、ポスターなどの印刷物にとっては非常に大きなメリットで、利用範囲を広げています。

耐久性が高い

物理的な衝撃や摩擦に強く、簡単には破れません。折り曲げても裂けにくく、耐摩耗性にも優れているため、頻繁に取り扱う書類やラベル、屋外使用に適しています。

建設現場や工場で使用される重要書類、繰り返し使用するタグやマニュアルなどにはまさに理想的な素材です。

印刷適性が良い

表面の塗工処理により、インクの吸収が安定していて滲みにくく、特に写真やカラフルなグラフィックの印刷では高品質な仕上がりが得られます。

オフセット印刷、レーザー印刷、インクジェット印刷など、多様な印刷方式に対応している製品も増えており、柔軟な活用が可能です。

耐薬品性・耐油性

特定の合成紙は、化学薬品や油に対しても強い耐性を持っています。これにより、医療ラベルや工場用ラベル、食品包装など、化学物質との接触が避けられない環境でも安心して使用できます。

特に油脂成分の多い食品のパッケージには、油による染みや破損の心配がなく、安心です。

環境への配慮

合成紙にも環境への配慮が求められており、一部にはリサイクル可能な素材も存在しますが、一般の紙のように水で離解して再生する方式とは異なります。

そのため、専用の回収・再利用システムが必要であり、実際には数量が少ないと回収効率が悪く、経済的な課題もあります。

ただし、森林資源を消費しないという観点では、FSC認証を取得した合成紙も存在し、資源保護の一環として評価される面もあります。

本来、紙の消費による森林破壊を抑えることを目的として開発されたのが合成紙であり、持続可能性の一環として見直されつつあります。

とはいえ、個人的な意見としては、回収しやすく再生が容易な通常の紙の方が、循環型資源としては依然として優れている面があるとも感じます。

合成紙の主な用途

合成紙は、その優れた特性を活かして、様々な分野で活躍しています。以下は代表的な用途です。

屋外・耐水性が求められる用途

  • 地図(登山・ハイキング・アウトドアで使用される耐水性の高いマップ類)
  • メニュー(飲食店でのラミネート不要の防水メニュー、テイクアウト用の紙)
  • ポスター(屋外に掲示する広告ポスター、案内板、選挙ポスターなど)
  • ラベル(耐候性を必要とする工場や製品管理用のラベル、防水ボトル用のラベル)

工業・ビジネス用途

  • タグ(衣類タグ、工業製品の識別タグ、紫外線や摩耗に耐えるタグ)
  • 重要書類(破損しにくく保存性の高い契約書、証明書、医療現場で使われる識別バンド)
  • マニュアル(作業現場や屋外作業向けの防水マニュアル、耐久性の高い操作説明書)
  • チケット・パス(雨天イベントやアウトドア施設などで使われる耐水入場券やパス)

パッケージ・デザイン関連

  • 高級感のある印刷物(耐久性と美しさを両立した名刺やパンフレット、アート印刷)
  • 食品包装(油や水の浸透を防ぐパッケージ、冷蔵・冷凍食品にも対応可能な素材)
  • シール・ステッカー(耐候性・UVカット機能付きで、屋外や長期掲示に適したシール)

管理人のまとめ

今回は合成紙の特性について紹介しました。合成樹脂を主成分としており、耐水性、耐久性、印刷適性の面で非常に優れている点が分かっていただけたかと思います。

紙のようでありながら、紙以上の強度や機能を備えたこの素材は、地図や広告、工業用資料など、多種多様な用途で活躍しており、今後の需要増加が期待されます。

合成紙を適切に活用することで、印刷物や製品の品質向上に繋がり、コストパフォーマンスや環境対応にも一役買う可能性を秘めています。

時代とともに求められる性能も多様化していますが、その変化に対応できる素材として、合成紙のポテンシャルは今後も注目されるでしょう。

この記事が合成紙についての理解を深める手助けになれば幸いです。ぜひ、用途に応じて合成紙を上手に使い分けてみてくださいね!

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プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

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