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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は紙成分にカルシウムは含まれる?
印刷用紙以外はそうでもないというお話。
紙成分にカルシウムが含まれるのか?
紙は元々木材なのだから
カルシウムがなんで?
そう思うのではないでしょうか。
管理人も元製紙会社社員でなければ
紙にカルシウムなんて思いません。
ところが。
実際には紙成分にカルシウム
印刷用紙はかなり入ってます。
でもそれ以外の紙だとそれほどでもない。
それはどういうことなのか?
ということで。
この記事では、紙成分にカルシウムは
含まれる?印刷用紙以外はそうでもない
について
管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。
紙成分にカルシウムが含まれるのは中性紙
結論から言うと。
紙の成分にカルシウムが
含まれるのは中性紙。
それから古紙を使う紙ですね。
では順番に説明してみます。
まずカルシウムなんですが。
紙に使われるのは炭酸カルシウム。
炭カル、CaCO3になります。
分かりやすく言うと石灰石です。
生物なら貝殻やサンゴ、
高級品なら大理石。
紙に使うのは白い粉ですね。
それで。
これがなぜ中性紙に使われるのか?
なぜ酸性紙では使われないのか?
ご存じの方も多いと思いますが
炭カルって酸性で反応するんです。
昔の紙の場合、サイズ剤の定着に
硫酸バンドを使ってました。
硫酸バンドは硫酸アルミです。
これは酸性なんですよね。
なにしろ「硫酸」ですから。
なのでこの中に炭カルを入れると
反応して硫酸カルシウムになる。
硫酸カルシウムは石膏のことです。
こんなのが出来てしまうと
紙では異物になるんですよね。
意図して添加してるならいいんですが
勝手な反応はコントロール出来ません。
実際にこの反応が抄紙系内で発生すると
スケールとなってマシンを汚すわけです。
それでは生産にならない。
なので昔の紙で炭カルは使えなかった。
しかし。
紙が長期保存できない問題で
中性紙が開発されました。
炭カルは中性なら大丈夫。
紙にも使えるというわけです。
実際のところ、炭カルは白いし
合成すれば色んな形状にもなる。
内添填料には優秀なんですよね。
そして何よりも安い。
日本の場合はほとんどの原材料を
輸入しているのに炭カルだけは国産。
石灰石なら国内で十分ある。
これも魅力的なんですよね~
カントリーリスクを考えずに
安定供給出来ますから。
まあそんなわけで中性紙には炭カルを使う。
紙のPHを弱アルカリにする意味でも
炭カルを入れておくのがいいですし。
あと重要なのは塗料です。
コート紙に使ってる塗料。
あれはかなり炭カルが使われます。
管理人の記憶では半分くらい炭カルかな?
配合比率は紙によって違いますが
炭カルとクレーが主成分になる。
微塗工紙ではクレーが多くて
マット紙では炭カルが多い感じ。
いずれにしてもコート紙には
多量の炭カルが含まれています。
折込チラシにもかなり入ってますね。
実は、このコート紙に多量の炭カルが
入っているというのも結構重要です。
なぜなら古紙を使う場合、
チラシもかなり入るので。
そういうことで古紙入り〇〇という
紙には炭カルが入ることが多い。
酸性紙には炭カルは入れられませんから
事前に硫酸で中和たりしてましたが
中性紙なら炭カルが入っても特に
問題はないのでそのまま使える。
新聞紙が中性紙になりましたけど
そういう背景があるんですよね。
今だったら。
中質紙や更紙は酸性のものもあるでしょうが
かなり中性紙に変わっていると思います。
なので、多くの印刷用紙には
カルシウムが入っている。
そういうことになると思いますね~
紙成分にカルシウムが含まれな紙は?
ここまで印刷用紙にはカルシウムが
含まれるというお話をしました。
カルシウムといっても炭カルですけど。
それで。
では印刷用紙以外はどうなのか?
まず包装用紙なんですけど。
特にクラフト紙。
米袋とかセメント袋に使われるやつ。
これはほとんど入らないはず。
というのも、そもそも紙力重視なので
内添填料をそんなに入れないんですよね。
紙に塗料を塗ることもないし。
なのでこういう紙には炭カルは
ほとんど入ってないと思います。
では段ボールはどうか?
これは微妙なんですよね~
段ボールってほとんど古紙なので。
昔のものは酸性紙で炭カルなんて
含有されてないんですけど
最近は中性紙も増えて炭カルが
そこそこ入っているかも知れません。
ただし、印刷用紙のように内添填料として
添加することはないのでそこまで多くない。
古紙由来の炭カルが入る程度でしょうね。
ただし。
白いコートボールのような紙は
塗料を塗るので入っています。
白色顔料として炭カルは優秀ですからね~
紙の種類は他にも色々ありますが
特殊紙には入らないことも多いです。
ここは是々非々で機能が発現するときに
炭カルが邪魔なら入れられませんから。
グラシン紙のように半透明にする紙とか
内添填料自体入れられませんので。
そうそう。
コピー用紙には炭カル入ってます。
中性紙ですからね~
管理人のまとめ
今回は紙成分にカルシウムは含まれる?
印刷用紙以外はそうでもない、という
お話でした。
紙に炭酸カルシウム。
中性紙が開発されて積極的に
使うようになりました。
かつて酸性紙では炭カルは硫酸バンドと
反応して石膏になってマシンを汚す。
だから使えなかったんです。
しかし今は違う。
新聞紙でも中性紙になりましたから
かなりの紙に炭カルが入っています。
しかし印刷用紙以外だと
そんなに使われていません。
というか強度重視の紙の場合
内添填料を使うと強度が落ちるので
炭カルに限らず内添填料を
使わないんですよね。
あとグラシン紙のように半透明の紙は
内添填料を使うと不透明度が上がるので
品質上問題があるので
内添填料は使わない。
段ボールの場合は意図的には入れませんが
古紙として入ってくるのが多いですね。
結局、紙成分にカルシウムが含まれるのか?
というのは品種によってかなり違うということ。
ただ、炭カルは安いので品質的に
使えるならなるべく使いたい。
そういう感じになりますね~
この記事が、紙の成分にカルシウムが
含まれるかの参考になればと思います。
白い紙に炭カルが入ることが多いですよ!
(参考)
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