紙の品質設計はなにが重要なのか?チェックポイントはココ!

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紙 品質設計

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、紙の品質設計はなにが
重要なのかというお話。

管理人は元製紙会社社員。

技術者で紙の品質設計もやってました。

品質設計なんて言うと偉そうですが
基本的な指標を決める感じですね。

管理人自体はレベルは低いので
他社のマネばかりしてましたね~

他社品と似た紙を作ってくれと
言われたら分析して真似する。

それも、自社内のよく似た紙を
ベースにちょっと変えるだけとか。

それで色々変更したときの変化を
予想をする程度のことです。

管理人が製紙会社にいた頃はなんと
エクセルがまだなかったんですよね。

ワープロは一太郎、表計算は
ロータス123、という時代です。

そんんなレベルでも類似品を作る
程度の計算はできたんですよね~

だいたい、計算式もほとんど比例計算。

あとは実際にやって結果オーライ、
みたいなことばっかりでした。

今はどうなってるのか分かりませんが
基本的なところは同じでしょう。

パソコンの性能が上がっても
紙の品質は変わりませんから。

それはそうとして。

この紙の品質設計重要な
品質項目は何でしょうか?

もちろん品種によって違うんですが
基本的に決めるべきことはあります。

ということで。

この記事では紙の品質設計は
なにが重要なのかについて

管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。

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紙の品質設計で重要なこと。1番は米坪

管理人は紙の品質設計をしてましたが
そのときは印刷用紙がメインでした。

重要な項目としては、米坪、紙厚、
平滑度、白色度、不透明度、色差。

あとは表面強度ですかね。

それぞれ紙の重さ、厚さ、表面性
白さ、裏抜け、色調ということです。

とりあえずこのくらいのパラメーターを
決めてどうやって実現するか考える。

そういう感じでやってました。

それで。

この中の最重要項目は?

管理人の考えでは紙の品質設計で
最も重要なのは米坪だと思います。

米坪というのは1㎡あたりの紙の重さ。

単位はg/㎡になります。

1㎡あたり何グラムということですね。

品質設計を考えるならまずは米坪です。

これが決まらないと他の品質が
決まらなんですから。

極端に言うとどのマシンで
抄造するかさえ決まりません。

紙を製造する抄紙機は何でも
製造できるわけではないんです。

新聞紙を製造するなら新聞用、
上質紙を製造するなら上質紙用、

ライナーを製造するなら板紙用
中質紙を製造するなら中質紙用

ティッシュペーパーを製造するなら
ティッシュペーパー用など、

製造する品種によって製造できる
マシンが違うんですよね。

ほとんどの場合が専用マシンです。

なかには新聞も上質も中質も
微塗工紙もクラフト紙も生産します

というマシンもあるんでしょうが
そういう調整は普通はできない。

実際にはあるんですけど
相当無理してるってことです。

米坪についても同じことがあって、
米坪40g/㎡が得意なマシンで

米坪157g/㎡を抄造しようとしても
流石にそれは無理となるわけ。

どのマシンでも得意な米坪がある。

なので、米坪を確認しなければ
どのマシンで作るかさえ決まらない。

それに、生産を考えた場合は
米坪によって原料使用量が変わるし

取引を考えた場合は重量で取引に
なるわけですから重要なんです。

とりあえず、米坪が決まるとあとは
バランスになってきます。

単純なところでは紙厚。

これは米坪が増えれば紙厚も増える。

狭い範囲であればほぼ比例します。

なので、必要とされる紙厚になるように
実際の米坪を調整する感じです。

それから白色度。

上質紙の場合は基本的に
使うパルプは晒クラフトパルプ。

最近は古紙も使いますが。

ただ、白色度はあまり調整できません。

たとえばLBKP100%
(針葉樹晒クラフトパルプ100%)

だったらそれ以上白くするのは
パルプ自体が白くならないと無理。

白色度の調整はできません。

黒くするのは出来ますけどね。

しかし中質紙の場合はLBKP以外に
機械パルプや古紙パルプも使う。

白色度自体があまり高くないので
パルプ配合を色々変更できるんです。

そうなると何が変わるのか?

実はパルプ配合を変更すると
紙厚が変わってきます。

たとえば機械パルプを多く
使うと紙厚が厚くなる。

そういう調整が出来るわけです。

結局、白色度によってパルプ配合が
変わるし紙厚にも影響が出る。

米坪も低く出来るかも知れない。

そういうバランスがあるんですね。

これは平滑度にも関わります。

平滑度は紙の表面性ですが
触ってツルツルしてるかどうか。

製造としてはカレンダーという機械で
紙を圧縮してこするわけです。

具体的には金属ロールの間を通す。

金属とプラスチックとかコットンロールとか
熱をかけるとか蒸気を吹き付けるとか

材質や方法は色々ありますが
まあ紙を潰すわけですよ。

つまり、平滑を上げれば紙厚は下がる。

もしも高平滑で紙厚も厚くとなると
米坪をあげないといけないかも。

そういう調整が必要になるんですね。

あと、不透明度は米坪と関係する。

単純に米坪が上がると不透明度も上がる。

それから白色度が低いと
不透明度は高くなる。

白い紙より黒い紙のほうが
光を吸収して通しませから。

これは誰でも分かることです。

それで。

薄い紙ではこれが問題になる。

特に難しいのは通販の紙。

最近は減っていると思いますが
通販の紙は米坪に制限がある。

裏抜け対策だからといって
米坪を上げると紙が重くなる。

そうすると郵便料金が上がる。

紙代よりも運賃の方がコストがかかる。

そういう事が起こるわけです。

これは単純にはいかないんですよね~

新聞紙も同じようなものですが
新聞紙は色が黒い分まだマシ。

白い紙で見栄えがするけど裏抜けは
ダメで紙は軽くして欲しいという要求。

相当無理があるんです。

製造側としては酸化チタンを入れたり
色々やってみてうまくいくときもあれば

どうしても顧客の要求には
届かないという事もある。

うまくいかないときはお客さんがどこで
妥協するかという政治的判断になる。

そのあたりはもう営業の仕事ですけど。

折り合いがつかずに話が
なくなることもありましたね。

そういうときは結構ホッとしたりしてました。

あと面倒だったのは色調ですね。

色合わせ、と言ってましたけど
他社品と同じ色にしてくれとかです。

これ、全く同じというのは無理なので
どこで妥協するか、になります。

どういうことかというと光線の具合で
紙の色って変わるんですよね。

太陽光の下で見るのと
蛍光灯の下では違う。

今だとLEDライトでしょうけど。

極端な話部屋のどこで見るか
というのでも見た目は違います。

困ったのは現場の試験室では
OKだったのに部長席だと違うとか。

工場ではOKだったのにユーザーの
応接室で顧客とみると違うとか。

本音を言うと抄造するマシンが
違うと色調は合いません。

使っているパルプ、染料の種類
そして何より水が違います。

影響する要因が複数あって
それがどうしようもない。

実機テストなんかで顧客が立会に
来て色を見ているときには勢いで

これでいいですよね!
みたいなこともやりました。

押しに弱い人もいましたから。

それは技術者のやることかと
いわれると困りますけどね。

管理人のまとめ

今回は、紙の品質設計はなにが
重要なのかというお話でした。

管理人は米坪だと思います。

これが決まらないと何も
始まらないですからね。

それ以外の項目として
紙厚、平滑度、白色度、

不透明度、色差、表面強度
なんかがあるんですけど

色差、表面強度以外は
米坪の影響が大きいです。

最終的には優先項目を決めて
どうやってバランスをとるか。

そういう感じでパラメーターを
決めてましたね~

品質設計なんていうとすごいこと
みたいに思いますがそうでもない。

知っている人が見ればちょっと
計算をやってるだけですから。

とはいえ。

こういうことは紙の製造には
どうしても必要なこと。

それなりにはやらないといけない。

それでも結局、品質設計やるだけ
やって予想大外れもありました。

そういうときは、奥が深いなんて
言って失敗をごまかしてましたけど。

この記事が、紙の品質設計の
参考になればと思います。

紙も結構奥が深いんですよ!

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プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
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