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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、コピー用紙の表裏について。
会社でコピーをしていて、
この紙の表裏ってあるんだろうか?
というような疑問を持ったことは
ありませんか?
管理人は元製紙会社社員ですから
紙には表裏があることは知っています。
片面印刷なら平滑度が高くて
ツルツルしている表側に印刷する。
それがセオリーでした。
といってももう30年以上昔の話。
今では紙の表裏差というのは
かなりなくなってきています。
コピー用紙でも昔は表裏差が
ありましたが今ではほとんどありません。
コピー機が出てきた頃には
ザラつきのある裏面で印刷したほうが
トナーがキチンと乗るということも
あったようですが
最近はコピー機やプリンタも
進化しているのであまり関係ない。
むしろある程度平滑な方がいいようです。
結局、最近のコピー用紙はどちらの面でも
キチンとコピーできるということのようです。
しかし表裏、というのはありますので
一応見分け方はあります。
ということで。
この記事では、コピー用紙の表裏の見分け方と
紙の表裏差が発生する理由について
管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。
コピー用紙の表裏の見分け方
コピー用紙に限らず紙は表側が
ツルツルしていて裏側がザラザラ。
これが一番一般的な見分け方なんですが
最近はこの表裏差がなくなっています。
理由はマシンの進化になるんですが、
これはややこしいので後でお話します。
それ以外では1円玉でこする
というのがあります。
表側の方が濃い色が付きますが、
これも最近では分かりにくくなっています。
あとは包装形態から判断する方法。
大抵の場合糊付けしてある部分の
ある面が表であることが多いです。
なおこれについては、製造工程で
必然というわけではありません。
ユーザーからの指定で決まることです。
ただし、巻きぐせカールのことを考えると
糊付け部分が表の方が都合がいいです。
理由は紙の場合、ロールに巻く時には
表面を内側に巻く事が多いのです。
それは表面が内側なら巻き取る方向が
下から上に巻き上げるようになるので
製造作業が比較的安全になる
というのがあります。
表面に印刷するので表を保護するように
巻き取るという話もあるのでしょうが
両面印刷になる場合、
それは理由になりません。
どちらかというと製造マシンの都合
という方が正しいと思います。
それで、表面を内側に巻くわけですが、
この状態で巻きぐせがついた紙は
表面を上にするとお椀状にカールします。
この巻きぐせを軽減するには
裏返して陳列する方が都合がいい。
ということで包装の糊がついた部分の
ある面が表面になるというわけです。
ただ、この説明若干無理があって、
実はコピー用紙の仕上げ基準というのは
とても厳しくて、カールについても
ほとんどカールしない状態で出荷します。
それに、箱に5冊入りで販売されるなら
きちきちに入ってますから
カールとかそういうことは
あまり関係ないですね。
包装形態による表裏の見分け方は
一般論としては正しいと思うんですが
実は単なる製造上の都合で
そうなることが多いということです。
コピー用紙の表裏が見分けにくくなった理由
ここからは元製紙会社社員として
本音をお話させて下さい。
昔、コピー用紙は長網マシンと呼ばれる
抄紙機で製造されていました。
しかしながら、最近はただの長網マシンは
減っていて多くはツインワイヤーです。
ツインワイヤーというのは
両面から脱水するマシンのこと。
ただの長網マシンは片面がワイヤーで
裏側からのみ脱水するんですが
ツインワイヤーというのは
両面脱水なんですね。
これの何が問題かというと、
ワイヤーのある面はバキュームで
強制的に脱水しているので
パルプの中の微細繊維や
配合されている填料も
吸い取ってしまうということ。
昔のただの長網マシンなら
表側からの強制脱水はないので
微細繊維や填料が表面に
残っていたんですね。
表面に細かいものが残っていたから
手触りがツルツルしている。
反対面の裏面は細かいものが
強制脱水で残らない。
だから手触りがザラザラしている。
そういう違いがあったわけです。
それから、先程1円玉でこすると
色がつくという話をしました。
これは炭酸カルシウムがあるとアルミの
1円玉が削れて色がつくんですね。
それで強制脱水されたワイヤー面の場合、
その面に炭酸カルシウムが少なくて
強制脱水されていない表面には
炭酸カルシウムが多いから表裏が分かる
ということだったのですが、
最近はツインワイヤーで両面脱水なので
炭酸カルシウム分の表裏差も少ないので
1円玉でチェックするのも難しいわけです。
なお、平滑度そのものはカレンダーで
圧力をかければ高くなるんですが
紙表面を構成している物が違えば
感触が変わるのは当然なんですね。
いくら数値的に平滑度を上げて
両面を同じ平滑度に調整しても
そう簡単に感触までは同じに出来ない
ということなんです。
ちなみに。
管理人のいた製紙会社では表面をフェルト面、
裏面をワイヤー面と呼んでいました。
それで、ワイヤー面はワイヤーマークというのが
出ることが多かったんです。
それは強制脱水しているから
そのマークがでるということ。
またフェルト面にはフェルトマークという
フェルトの模様が出ることがありました。
ワイヤーとかフェルトというのは
抄紙機の用具になるんですが
これらの用具マークも紙の表裏を
見分ける材料になってたんですね。
しかしながら。
最近はツインワイヤーが主流となり
両面から脱水されるので表裏差は無くなり、
用具も改善されてワイヤーマークや
フェルトマークというものも減りました。
コピー用紙はほとんどが輸入紙で
インドネシアなどが多くなりました。
これらは世界的にみても最新鋭の
マシンで大量生産しています。
当然品質が良くて安い紙になっています。
そして、表裏は見分けにくく
なっていくというわけです。
管理人のまとめ
今回は、コピー用紙の表裏の
見分け方についてというお話でした。
昔のコピー用紙は表裏差がありましたが
最近のコピー用紙は表裏差はなくなっている。
それはマシンの改善によるもので
特にツインワイヤー化が進んだのが大きい。
なお、包装形態から糊付け部分のある面が
表面のことが多いともお伝えしました。
理由は色々あると思いますが製造の
都合上そうなることが多いと思います。
この記事がコピー用紙の表裏を
見分ける参考になればと思います。
コピー用紙は正しく使って下さいね!