ボール紙と画用紙。どちらも厚紙だが何がどう違うのか?

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ボール紙 画用紙

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

ボール紙と画用紙は同じものなのか?

紙のことを多少なりとも知っている自分からするとそれは全然別物ですよと回答します。

確かにどちらも厚紙には違いありません。

wikiによると、

厚紙(あつがみ)とは、一般に用いられる紙よりも厚手もの。

その多くは紙透きの段階でより多くの紙を重ねて作る積層構造である。

ということですから。

しかし、そもそも用途を考えれば白いボール紙(白ボール)は紙の箱、画用紙は絵画用と全然違います。

また断面を比較すれば画用紙は白色ですが白ボールはネズミ色をしています。

白ボールも画用紙もどちらも白くて厚い紙なのにこのような違いが出るのは何故か、ということをこの記事で説明したいと思います。

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ボール紙と画用紙の製造方法と原料配合の違い

ボール紙と画用紙のひとつの目の違いは製造方法です。

ボール紙は多層抄き、画用紙は単層抄きなんです。

多層抄きというのは一枚の紙が3層とか5層とかいうように多層から出来ているということです。

なぜそんなことをするかというと原料コストを安くするためです。

人の目に触れる表層は晒クラフトパルプのような白いパルプを使い、それ以外の部分では安くて漂白していない古紙パルプを使う。

こうすることでトータルの原料コストは安くなります。

一方画用紙は使用用途が画材ですから紙としては高級品なんです。

だから品質重視で晒クラフトパルプ100%で抄造されますし無理に多層抄きにする必要もないといえます。

それぞれ白ボールは段ボールが高級になった感じ、画用紙は上質紙が厚くなった感じです。

出発点が安くて丈夫な段ボールと品質が重要な上質紙になるわけで全く違うと言えると思います。

ボール紙と画用紙の印刷適性、筆記適性

ボール紙は紙の箱に使われますし表面に色々な形式で印刷もされます。

紙の箱ですから紙の強度や加工適性が重要ですし印刷されますから表面強度やサイズ度など印刷適性も重要です。

しかし、筆記適性はそれほど重要ではありません。

画用紙の場合は絵画を描くわけですから水彩絵の具などで絵が描けるかどうかが重要です。

万年筆やボールペンで書く時の筆記特性とは若干違いますが、絵を描くという観点からの表面強度や平滑度、サイズ度などの管理が必要になります。

しかし紙の強度や加工適性などはそれほど考慮する必要がありません。

このように品質管理の部分でもボール紙と画用紙では全く違うということです。

ボール紙と画用紙の違い 製造現場

ここからは元製紙会社社員としての体験をお話させてください。

自分は白ボールや画用紙の製造に関係したことはありませんがライナー(ボール紙の一種)や厚物上質紙の製造現場を見学したことはあります。

ライナーというのはボール紙の一種で段ボールの表層になる紙のこと、厚物上質紙というのは画用紙の米坪(紙の重さ)が低い紙というイメージです。

この2つの製造現場はかなり違います。

まず原料が違いますからマシンの汚れ方や排水が全く違うんですね。

ライナーを抄造しているマシンは古紙パルプがメインですからとても汚れやすいんです。

排水も真っ黒で泡だらけという感じになるんですね。

白ボールも表層こそ晒クラフトパルプなどのきれいなパルプが使われていますが中層は古紙パルプでしかも漂白などはしていませんからかなり汚いのではないかと思います。

一方上質紙は古紙パルプは使いませんしきれいな晒クラフトパルプ100%ですからそんなにマシンは汚れませんし、排水も白い排水になります。

原料の違いで工場の環境が全く違うんですね。

また当時、ライナーは酸性抄紙でしたが上質紙はすでに中性抄紙になってました。

今はライナーも中性抄紙化されているのかもしれませんが当時は酸性抄紙でした。

良し悪しは別として抄紙工程の管理のシビアさという点では上質紙の方がシビアだったと思います。

イメージとしてはライナーは安い紙を大量に作るということで豪快な感じ、厚物上質紙は高級な紙を丁寧に作るという感じでしょうか。

それから試験項目も違いますね。

先程も書きましたが、ライナーは箱になるので強度がなにより重要ですから引張強度とか引裂強度とか圧縮強度とかそういう紙の強度試験を細かくやっていたように思います。

あとは表面の耐摩耗試験とかですかね。段ボールが擦れて紙ムケが起こったらクレームになりますから。

一方上質紙は強度なんかも測定はしますけどそれなりに基準に入っていればOKという感じでした。

紙の基本物性としての米坪、紙厚、平滑度、色調、それからインクがにじむかどうかの目安としてのサイズ度なんかは当然管理項目でしたが、それ以外にも黒点なんかの夾雑物については細かくチェックしていたかなと。

画用紙は見た目が重要ですから。

そもそもボール紙と画用紙ではコンセプトが違うということなんですよね。

管理人のまとめ

ここまでボール紙と画用紙の違いについて色々お伝えしてきました。

自分の場合こういう現場を見ているのでボール紙と画用紙は同じですか?というような質問があると、全然違いますと回答したくなるんです。

しかし、ボール紙も技術が進化して白ボールなら表層も白くてきれいだし画用紙のように使えるのではないかと頭の中で考える人がいても不思議ではありません。

実際に白ボールと画用紙を並べて比較すればボール紙の断面はネズミ色だし表面の感じとか全然違うじゃないかと分かるんですがわざわざそんなことはしないでしょうし。

ここでの結論としてはボール紙と画用紙は別物ですので、工作するならボール紙、絵を描くなら画用紙を使ってくださいということです。

紙は用途別に正しく使ってもらいたい、と言うのが元製紙会社社員の本音なのです。

紙の種類
プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

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