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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、クリーンルームに紙を持ち込みたいが
光沢コート紙は大丈夫かというお話。
管理人はクリーンルームに
入ったことがあります。
実はクリーンルームもピンきりで
半導体を作るようなレベルもあれば
光学フィルムを作るようなレベルまで
さまざまなレベルがあるんですね。
よく聞くのがクラス1とかクラス100とか
そういうクラスで示されるレベル。
クラスの定義がこんな感じ。
==ここから==
「クラス分けの基準」とは、まず
空気1立方f(フィート)
=30 b 立方体
=約28リットル
=1cf
を単位とします。
そしてこの1cfに含まれる
粒経0.5b 以上の微粒子(チリ・ゴミ)
の数によってクラス分けをしています。
よって、空気1 立方(f フィート)=1 cfの
中に粒経0.5b 以上のチリやゴミが
100個以内であれば、ISO5(クラス100)
となります。
1,000個以内であれば、
ISO6(クラス1,000)となります。
==ここまで==
半導体はクラス100だそうです。
管理人が入ったことのあるのは
もっとレベルが低いところ。
光学フィルムの製造設備なので
クラス10000程度ですね。
このレベルなら防塵服を着て
エアーシャワーを浴びればOK。
半導体の設備のように身体も洗うとか
そんなのはありませんでした。
名前は同じクリーンルームですが
レベルは全く違うということです。
とはいえ、事務所はクラス百万。
クラス10000は甘いと言っても
クリーンルームには違いない。
ではここに紙を持ち込んでいいのか?
ということで。
この記事では、クリーンルームに紙を
持ち込みたいが光沢コートは大丈夫か、
管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。
クリーンルームに紙を持ち込んでいい紙は決まっている
結論からクリーンルームに
光沢コート紙を持ち込むのはNGです。
先程お話したとおりクリーンルームは
極端にコンタミを嫌いますから。
まず、光沢コート紙がNGの理由ですが。
光沢コート紙は塗料が塗工されています。
この塗料がダメです。
塗料の成分は炭酸カルシウムとか
クレーといった微粉末。
これらが剥がれたらコンタミになります。
塗料は特に折り曲げに弱いので
紙が折れたら最悪ですよね。
それに、切断面もよくありません。
端面は塗料が剥がれやすいし
パルプ繊維も落ちやすい。
単純に断裁しただけでは端面から
出るホコリは防げないわけです。
ましてやカッターで紙を
切ったりしたら最悪です。
クリーンルームが台無しですから。
これについては光沢コート紙というより
紙類全般でダメということです。
ノートやメモ帳、コピー用紙なども本来NG。
だからクリーンルームに紙なんて
絶対にダメということになります。
どうしてもメモを取りたいときは
クリーンルーム内のタブレットなど
ホコリの出ない機械を使って
メモを取ることになると思います。
管理人が見た工場は色々で
意識の低いところも多かったですが。
ではクリーンルームへの紙の持ち込み
絶対できないかと言うとそうではないです。
クリーンルーム用に開発された
「無塵紙」と呼ばれる紙があります。
この紙は通常の紙に樹脂を含浸させて
チリを抑えた紙ということだそうです。
パルプ繊維は長繊維を使い、含浸樹脂は
アクリル樹脂を使っているようですね。
紙としては普通に書けるしコピーも出来る。
クリーンルーム内でコピーが必要な場合
便利だということなんでしょう。
ただ、鉛筆は黒鉛の粉が気になるし
ボールペンもインクが気になる。
コピーはトナーが気になるし
インクジェットはインク飛沫が気になる。
まあ、人間が入れるレベルの
クリーン度ならその程度は
大丈夫なんでしょうけど
あまりいいとは言えないですね。
ちなみに。
無塵紙は「クリーンペーパー」という
商品名で販売されています。
特殊な紙なので通常のコピー用紙の
10倍位の価格になってますね。
とはいえ250枚で2000円弱ですから
買えない価格ではありませんが。
それでも使うのはどうしても
というときだけになると思います。
クリーンルームに入ったときのこと
ここからは余談です。
先程もお話しましたが、管理人は
クリーンルームに入ったことがあります。
クリーンルームと言っても
レベルの低いところでしたが。
実はクリーンルーム、意外に色々あって
半導体みたいなところばかりじゃない。
管理人が最初に入ったのは
フィルム系ラベル製造工場でした。
紙のシールではなくてフィルムの
シールを製造している工場です。
フィルムのシールで身近なのは
透明なオーバーラミネートでしょうか。
透明なフィルムはホコリが目立つので
クリーンルームでやってましたね。
透明じゃなくてもフィルムは静電気を
帯びてホコリがつきやすいので
クリーンルームで製造しないと
欠陥品が増えてしまうんですけど。
ただ、剥離紙は紙でしたからクリーン度は
大したことなかったですけどね。
紙以外だと光学フィルムですね。
拡散フィルムの製造工場とか
AGフィルムの製造工場とか。
ホコリが付くと液晶画面に悪影響が
出るのでクリーンルームでしたね。
ただ、ここも微粒子の入った塗料を
塗工してましたからそれほどでもない。
海外のフィルム塗工設備だと部屋に
アリが入ってたりしてましたから
見た目はクリーンルームでも管理は
ザルだったというのがありましたね。
今はそんなことはないでしょうけど
昔はレベルの差を感じたものです。
いずれにしてもクリーンルームは
清潔感のない人には管理できない。
嫁をいびる姑のような
人じゃないとダメなんでしょう。
管理人には無理そうですけど。
管理人のまとめ
今回は、クリーンルームに紙を
持ち込みたいが光沢コート紙は
持ち込んでも大丈夫か
というお話でした。
結論から言うとNGです。
特にコート紙は塗工層から
コンタミが出るので良くない。
一般の紙でもコート紙でも
折り曲げるとホコリが出るし
断裁した端面もパルプとか
塗料とかがホコリになる。
だから基本的に紙の
持ち込みは禁止ですね。
ただ、ホコリが出ない紙として
無塵紙があるのでこれはOK。
それ以外はダメということでした。
また、クリーンルームにもレベルが
あるということもお話しました。
クリーンルーム、設備は建設できても
その運営が出来るかどうかは別問題。
管理者はよほど気をつけていないと
すぐにクリーン度は落ちてしまいます。
緩めるとあっという間に不良品が
出来てしまうということですね。
この記事が、クリーンルームで紙を
使うときの参考になればと思います。
クリーンルームに持ち込むものには
十分に気をつけて下さいね!