普通紙と中性紙は違うのか?そもそもカテゴリが異なります!

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普通紙 中性紙 違う

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回のお話は、普通紙と中性紙は違うのか?

管理人はときどいこういう質問を
受けることがあるんですが。

正直言うと見当違いなんですよね。

それは元製紙会社社員だから
そう思うわけなんですけど。

専門家からすると何言ってるんだ?
となるんですが一般の人には分からない。

仕方のないことだと思います。

それで、結論から言うとこれは同じとか
違うとか比較する対象ではありません。

普通紙というのは品種というか品名、
中性紙というのは中性という性質。

車で例えるなら、そうですね、
普通紙は、クラウンとかカローラ

というような車種のようなもので、
中性紙というのはハイブリッドとか

ディーゼルとかそういう性能的な
ものを示す感じになるでしょうか。

だから、普通紙の中性紙があれば
普通紙の酸性紙もあるし、

コート紙の中性紙もあるし、
新聞紙の中性紙もある。

ただ、一般的にはプリンタ用紙の
普通紙は中性紙が多いということです。

この記事では、普通紙と中性紙が
違うかどうかということについて

管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。

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普通紙と中性紙は違うが両立するもの

すでにお話したように、普通紙と
中性紙は品種と性質のようなもの。

だから一つの紙で両立します。

通常、プリンタ用紙の普通紙は中性紙です。

基本的に普通紙は上質紙ということで
その原料は晒クラフトパルプなんです。

パルプとしては白い化学パルプです。

それで、このパルプを使った紙の
ほとんどは中性紙になっています。

昔、といって30年くらい前はまだ酸性紙も
あったんですが、今はほぼ中性紙。

理由は、酸性紙は保存性が悪く、
経時変化で紙がボロボロになるから。

コピー用紙やプリンタ用紙が出た頃は
酸性紙もありましたが、今は中性紙。

コピー用紙の場合は長期保管されることが
ありますから中性紙化は必要でしょう。

これは再生紙上質紙でも同じことで
やっぱり中性紙が多いです。

上質紙で再生というのは変なんですが
もうこういう言い方が定着したようですね。

そもそも、上質紙というのは
晒化学パルプ100%の紙だったのに。

ここは、技術者としてなんだか定義を
ねじ曲げられたようで抵抗あるんですけど。

それはともかく。

プリンタ用の普通紙はほとんど中性紙なので
「この普通紙は中性紙ですか?」と聞かれたら

多分そうだと思いますよ、
という回答になると思います。

しかし、普通紙と中性紙は違うのですか?
と聞かれたら、それは見当違いです

品種と性質の違いのようなものなので
比較になりませんということになります。

普通紙の中性紙が増えた経済的な理由

ここからは余談です。

紙が長期保存出来るかどうかは
文書を保管するときには重要。

日本では江戸時代以前の和紙は
いまでも残っていますが

明治以降、洋紙が入ってからは
紙の劣化が激しいんですよね。

その違いは、和紙は中性からアルカリ性で
硫酸バンドを使っていないのですが、

洋紙は硫酸バンドを使っているから酸性で
硫酸がセルロースを劣化させるという部分。

硫酸バンドというのは抄紙薬品。

にじみ防止薬品であるサイズ剤を
定着させるために使われます。

これが安価で優秀なんですよね。

だから魔法の薬品のように使われました。

しかしそれが仇となって、
長期保管した紙がボロボロになる。

なんとも皮肉なものです。

だから今ではあまり使われなくなりました。

しかし、それは品質の問題。

普通紙や古紙入り品の中性紙化が
進んだのは経済的な理由もあります。

これは結構ややこしいんですが
何が関係しているかというと、

塗工紙が増えたことと、
リサイクルが促進されたこと。

そして、塗工紙の塗料には
炭酸カルシウム(炭カル)が使われること。

このあたりが絡まっています。

まず、リサイクルが促進されて
古紙を使うのは良いことだとなった。

次に、その古紙にはコート紙が増えた。

昔は、コート紙が少なかったんですね。

そして、コート紙には炭カルが含まれるが
炭カルは酸性だと泡を出して溶けてしまう。

だから、、炭カルの入ったコート紙は
希硫酸などで炭カルを潰してから

紙に配合するというようなことも
やっていた記憶があります。

しかしこの工程、とてももったいない。

なにも炭カルを潰さなくても
そのまま使えばいいのに。

ということで出てきたのが中性紙。

抄紙工程を中性紙化すれば
炭カルはそのまま使えますから。

実は紙には数%~10%程度の
内添填料というのが使われます。

これは紙のしなやかさとか表面平滑性、
不透明度対策などで添加されます。

その成分が、炭カル、タルク、
クレーなどの粘土なんですね。

炭カルはこういう薬品になるので
有効利用したいということなんです。

正直言うと、酸性抄紙の方が
中性抄紙より操業性はいいんですが

コート紙を前処理するのは無駄な工程だし、
古紙を大量に配合しても中性抄紙が

出来る技術が確立したというのが
大きいんだろうと思います。

社会的にもリサイクルに積極的なのは
企業イメージが良くなりますし。

本音を言うと紙の保管期間が伸びるとか
企業イメージとかは二次的なもので

古紙にコート紙が増えてきてその対応で
中性紙化が進んだということでしょう。

企業は利益を追求するもの。

利益を得ながら社会貢献もできる
というのでなければ技術は進まない。

中性紙化では特にそう思いましたね。

管理人のまとめ

今回は、普通紙と中性紙は違うのか?
ということについてお話しました。

結論から言うとこの質問は見当違い。

本来比較すべきものではありません。

普通紙は品種だし中性紙は性質。

だから、一般的には普通紙は中性紙が
多いですという回答になります。

特にコピー用紙やプリンタ用紙は
長期保管される可能性があるので

中性紙になっていることが多い
ということですね。

あとは、普通紙の中性紙が増えた
理由についてもお話しました。

利益と社会貢献がマッチしないと
技術は進まないものだと思います。

この記事が普通紙と中性紙について
考える参考になればと思います。

たまにはプリンタ用紙のことも
考えて下さいね!

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