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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回のお話は紙と板紙の違いについて。
紙も板紙も身近なものですが
何が違うかご存知でしょうか?
気になって調べている人も
いるんじゃないかと思います。
実はこの違いJIS規格があります。
ちょっと引用してみます。
==ここから==
JIS P 0001(番号4004)
の一部抜粋
目的によっては,坪量225g/m2未満を紙,
225g/m2以上を板紙とみなすことがある。
しかしながら,紙と板紙の区分は,
主としてその材料の特質,
場合によっては用途に
基づいて行っている。
折畳み箱用板紙及び段ボール原紙と言った
材料の多くは、坪量が225g/m2未満でも
“板紙”とみなされているし,
225g/m2以上でも,吸取紙,
フェルト紙及び図画用紙は,
一般的には“紙”とみなされている。
==ここまで==
一応は坪量225g/㎡が境目のようです。
ここで言う坪量は、
1㎡あたりの紙の重さのこと。
米坪とも言います。
これでいいんじゃないか、
と思うんですがそう簡単ではない。
この後に注意書きが入ってますから。
では現実にはどうなのか?
この記事では紙と板紙の違いについて
管理人なりに調べたことや
実際に見聞きしたことも交えて
お伝えしたいと思います。
紙と板紙の違い。紙より薄い板紙もある
JISの規格では坪量225g/㎡未満を紙、
それ以上を板紙になっていました。
しかし、その後にこんな文章があります。
しかしながら,紙と板紙の区分は,
主としてその材料の特質,
場合によっては用途に
基づいて行っている。
折畳み箱用板紙及び段ボール原紙と言った
材料の多くは、坪量が225g/m2未満でも
“板紙”とみなされているし,
225g/m2以上でも,吸取紙,
フェルト紙及び図画用紙は,
一般的には“紙”とみなされている。
この部分ですね。
画用紙は誰でも知っていると思います。
かなり厚手ですがあれは「紙」。
材質が晒クラフトパルプ100%ですから
これは米坪とは関係なく材質で紙。
アート紙なんかでも厚い紙がありますが
これらも同じことです。
一方で板紙でも米坪225g/㎡より
薄いものもあります。
管理人が関わったものでは
炭酸飲料を入れる箱に使う紙が
米坪160g/㎡くらいだったと
思いますが分類は板紙でした。
実際に製造していた板紙は
230g/㎡くらいが多かったですね。
180g/㎡を「薄物」と言ってましたが
この場合も米坪ではなくて
材質や用途で板紙に
分類されていたということなんでしょう。
紙と板紙の違いが明確でないのは板紙が薄くなってきているから
ここからは元製紙会社社員として
本音をお話させて下さい。
紙と板紙の違いは米坪による。
昔はJIS基準ように225g/㎡あたりが
本当に境目だったと思います。
しかしながら板紙も徐々に
薄物化が進んでるんですよね。
これは板紙に限らず紙全体で
そういう傾向があります。
管理人が勤務していた頃は
間違いなくそうでした。
今も傾向は変わっていないと思います。
これには明確な理由があります。
紙の売買は重量で取引しますが
使用するときは枚数とか面積。
そうなると購買側は同じ面積で
少しでも軽くしたいわけです。
kg単価としては同じでも
支払い総額は少なくなりますから。
しかし板紙に限らず米坪が
軽くなれば強度が落ちます。
特に強度が必要とされる板紙で対応は難しい。
しかし、段ボール箱を製造するときに
板紙の強度が低くても大丈夫な設計を
することが出来れば薄い板紙に
変更できるわけです。
極端に言えば箱の強度を
ギリギリまで落として紙を薄くする。
こういうことを徐々にやるわけですね。
そうやって米坪180g/㎡の板紙が
170㎡→160g/㎡、となって行くわけです。
炭酸飲料なんかだと
内部から圧力がかかりますから
外側の強度がそこまで必要ないとかで
米坪がどんどん下がってました。
米坪160g/㎡ともなれば
もはや厚物も印刷用紙の米坪。
用途が箱で原料がほぼ古紙パルプだから
板紙でしたがこれを板紙と呼べるのか?
そもそもそんな米坪で生産できるように
マシンが出来ていないだろう?
担当しているときは結構
そういう疑問がありましたね。
ちなみに。
重さで売買して面積で使う場合ですが。
板紙以外でも同じ理屈で
コストダウンが要求されます。
管理人が関係したことで言うと
出版用紙ですね。
本のページ数と厚みは同じで
紙の米坪だけ下げてくれとか。
パルプ配合を変更したりして
結構苦労したことを覚えています。
多分他の分野でも似たようなことは
起こっているんじゃないかと思います。
合理的ではないようにも思いますが
商習慣は変わらないんですよね。
管理人のまとめ
今回は紙と板紙の違いについて
お話させていただきました。
紙と板紙は基本的には
米坪225g/㎡が境界になる。
しかし、実際には材質や用途で
変わってくるということでした。
画用紙を板紙と言う人はいませんし、
炭酸飲料が入っている箱に使われている
紙はそんなに厚くなくても
板紙と呼ばれるわけです。
この記事が紙と板紙の違いの
参考になればと思います。
たまには紙と板紙の違い、
思い出して下さいね!
(参考)
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