万年筆のインクと紙について。にじまないものの方が少ない?

記事内に広告が含まれています。

この記事は約 8 分で読めます。

万年筆 インク 紙

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は万年筆のインクと紙ではにじまない
紙の方が少ないのではないかというお話。

管理人は普段万年筆は使いませんが
万年筆を使っていたこともあります。

実際のところノートなら問題ないですが
それ以外の紙に書くとにじみます。

それまで鉛筆やボールペンを使っていて
万年筆を使い始めた人なら

どうしてこんなに紙を選ぶ筆記用具を
使わないといけないのかと思うはず。

この疑問はよく分かるんですよね。

管理人は元製紙会社社員ですから
筆記用紙のことも少しは分かります。

なぜそうなるのかも。

ということで。

この記事では、万年筆のインクと紙で、
にじむ紙の方が多いことについて

管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

万年筆のインクがほとんどの紙でにじむ理由

結論から言うと通常の万年筆の
インクはほとんどの紙でにじみます。

逆ににじまないのは筆記用紙だけ。

理由ははっきりしています。

紙の品質設計が違うからです。

そもそも紙は親水性。

水に触れるとにじむように出来ています。

それを防いで水性インクでにじまないように
サイズ剤という薬品を入れるんですね。

にじみの指標としてはサイズ度というのが
あるんですが万年筆で書いても

にじまないレベルまで薬品を添加して
サイズ度を調整するわけです。

サイズ度は薬品の添加量で変わりますから
すこし効いていればいいなら少し添加するし

かなり効いていなければ
いけないなら多量に添加する。

万年筆や水性ペンなどでにじまないためには
結構な量のサイズ剤を添加しています。

添加量そのものは薬品の種類や
パルプの性質やマシンの状況によって

それぞれ違ってくるわけですが
最終製品で目的の品質になるように

薬品の添加量を調節する
というわけです。

だから見た目は同じでもコピー用紙と
ノート用紙では品質設計が違います。

品質設計というと大げさですが
サイズ度の効き方が違うわけです。

コピー用紙は筆記用紙ではありませんから
万年筆で書けるかどうかは関係ない。

一方、ノート用紙は万年筆でにじんだらNG。

だから、実際に万年筆で筆記して見て
にじまないかどうかをチェックします。

多いのはペンサイズテストですかね。

標準のペンを決めておいて
それで書いてみてにじむかどうか。

そういうチェックをするわけです。

先程コピー用紙のことをお話しましたが
コピー用紙でもインクっジェット兼用紙なら

ある程度サイズ度が必要になるし、
ノーサイズで紙が抄造しにくい場合は

サイズ剤を添加してサイズ度を
上げるということもやります。

ただしこれは筆記特性のためではなくて
プリンタ適性であったり操業性の問題。

万年筆がにじまないことを意識して
やっているわけではないんですね。

もしかすると万年筆でにじまない
コピー用紙があるかも知れませんが

それは狙った品質ではなくて
たまたま書けたというだけのこと。

だから再現性は期待できません。

万年筆のための品質設計で
そうなったわけではないからです。

これはチラシに使うコート紙とか
包装紙とか他の紙でも言えることで

それぞれの紙はそれぞれの目的に
合ったように作られていますから

筆記用紙でない紙に上手く書けても
それはたまたま書けただけということ。

チラシの裏に上手く書けたからと言って
いつでもそれが成立するわけではない。

そのあたりをよくわかった上で
筆記用紙を選んでほしいと思います。

万年筆用の紙について

ここからは余談です。

実は万年筆用の紙は筆記用紙の
中でもかなり難しい紙です。

鉛筆やボールペンなら書けるのに
万年筆では書けない紙が多々あります。

それに万年筆の多くは水性インク。

だから水に濡れると流れます。

ここは使用する側で注意してもらわないと
どうしようもない部分になりますね。

今は顔料系のインクもありますが
まだまだ主流は水性インク。

書いたインクをにじませないなら
筆記用紙を使用するのが一番です。

メモするだけだからにじんでも構わない
というならコピー用紙でもいいと思いますが。

それから万年筆の場合にじみ以外に
書き心地を気にする人も多いです。

これはかなり個人差というか
好き嫌いがあるんですよね。

ほとんど筆圧をかけずにスラスラ
書けるのがいいという人もいれば

少し引っかかるような感じで
書いた方が好きという人もいます。

当然こんなことは両立しませんから
製紙会社としては別々の設計にします。

主には平滑度の管理になりますが、
スラスラ書けたほうがいい人向けには

平滑度は高めにするし、
少し引っかかったほうがいい人には

平滑度は低めに設定して
引っかかりやすくする。

これも極端なことは出来ないので
ある程度の範囲の中で微妙に変更する。

それを実際に手書きしてみて
これくらいならということで設定する。

製紙会社社内で品質管理をしますが
開発段階ではお客さんと一緒にチェックする。

やり方は会社によって色々でしょうが
管理人の勤務していたところはそんな感じ。

共同開発ということになるでしょうか。

製造側は数値で管理したいのですが
お客さんは感覚で物を言いますから

そこをどう折り合いをつけるかが
技術者のレベルと言えますかね。

筆記用紙などは完成した紙ですから
そこまでややこしくはないでしょうが

プリンタ用紙なんかだとかなり
ややこしいことが多かったと思います。

何でもなさそうな紙ですが
意外に面倒なところもあるのです。

管理人のまとめ

今回は、万年筆のインクでにじまない
紙の方が少ないというお話でした。

結論から言うと筆記用紙とそうでない
紙は品質設計が違うということでした。

そもそもの設定が違うのだから
にじむ紙の方が多いということ。

そもそも紙は親水性なので
水に触れるとにじむもの。

だから筆記用紙はにじまないように
サイズ剤という薬品を添加している。

見た目は同じでも中身が違うということです。

そして、筆記用紙というのは
結構奥が深い難しい紙。

結局、人間の感覚が物を言う紙なので
それが難しいということのようです。

この記事が万年筆で書く紙を
選ぶ参考になればと思います。

万年筆用の紙は難しい紙。

正しく選んで下さいね!

タイトルとURLをコピーしました