万年筆のインクと紙について。裏抜けしないものはあるのか?

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、万年筆のインクと紙のお話。

管理人は万年筆あまり使いません。

万年筆はなかなか難しい
筆記用具なんですよね。

奥が深いと言うか。

そして紙を選びます。

シャーペンやボールペンに
慣れているとおどろくくらい紙を選ぶ。

コピー用紙なんかはほぼ裏抜けします。

薄いやつは特に。

では裏抜けしない紙はどんな紙か?

ということで。

この記事では、万年筆のインクと紙について
管理人なりに調べたことをお伝えします。

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万年筆とインクと紙について。筆記用紙以外は裏抜けする!

結論から言うと、万年筆のインクは
水性なので筆記用紙以外は裏抜けします。

筆記用紙というのはノートや手帳、
ルーズリーフなどですね。

こういう紙は万年筆で書かれることを
想定して製造されていますが、

そうでない紙は万年筆で書かれることを
想定していませんから裏抜けするんですね。

たとえばマルマンのノートやルーズリーフは
万年筆でも使えると評価が高いです。

キャンパスノートもいいですね。

ただこれも、万年筆との相性があって
インクの量が多いと裏抜けします。

同じ万年筆でも人が変わると
書き方も変わりますから難しい。

本来は力を入れずに軽く持って
スラスラ書けるものなんですが、

力を入れて書いてしまう人も
いるでしょうからそういう相性がある。

紙が裏抜けするとかにじむとかも
紙だけが問題ではないのでややこしい。

元製紙会社社員の立場から言うと
万年筆には専用の品質設計があるので

適当なコピー用紙などに書いて裏抜けとか
にじむと言われても当然なんですよね。

とにかく、筆記用紙は書きやすいように
品質設計をしているということです。

万年筆のインクと紙の相性について

それで万年筆のインクなんですが。

これは基本的に水性です。

水性の染料タイプが多いですね。

家庭用のインクジェットインクも水性で
染料タイプなんですがこれに近いです。

ですから、インクが多量に出ると
紙が吸収しきれずに裏抜けします。

実際のところ、筆記用紙でなければ
ほとんどの紙はにじむし、裏抜けします。

紙は原料がパルプで、その成分はセルロース。

セルロースは親水性なので
繊維に沿って染料がにじむ。

紙の中に浸透して、吸収できないと
裏側までインクが通り抜けてしまう。

通常の印刷用紙や包装用紙では
そんなことは考えていません。

プリンタ用紙でもコピー用紙や
レーザープリンタ用の紙は

印刷インクが粉体顔料のトナーなので
裏抜けを心配することもない。

だから紙として万年筆で書くことを
想定した設計になってないんです。

ここで設計といいましたが、実は紙は
用途に合わせて品質を変えています。

何にでも対応できる紙はありません。

繰り返しになりますが、このことは
よくわかってほしいところですね。

万年筆のインクと紙の品質設計について

ここからは余談です。

管理人は元製紙会社社員ですから
万年筆用の紙の設計もある程度わかります。

第一ににじまないようにすること。

紙は親水性ですからそのままならにじむ。

分かりやすいのは書道で使う半紙。

あれはにじむのが良かったりしますが、
あんな感じでにじむわけです。

だからその対策としてサイズ剤という
にじみ防止の薬品を使います。

それで筆記用紙の場合はペンサイズ
と呼ばれる試験でサイズ度をチェックする。

ペンサイズは名前の通りペンで書いて
その筆跡がにじむかどうかを見る試験。

実際に線を引いてみて、
ルーペでチェックしたりします。

それから、裏抜けに対しては
紙厚と内添填料が問題です。

紙厚が薄いとインクが裏抜けします。

たとえばインクジェット用紙の普通紙で
米坪64g/㎡と米坪93g/㎡は全然違います。

64g/㎡で裏抜けしても93g/㎡だと
さすがに裏抜けはしないでしょう。

ただ、紙を厚くすればコストも
掛かるので価格も高くなります。

それ以外の方法では内添填料。

灰分を増やすことになります。

灰分は種類が色々ありますが、
中性紙だと炭カルが多いですね。

他にはクレーとかタルク、酸化チタンなど。

結局は粘土です。

それから成分がいろいろありますが、
それ以外にも灰分の粒子径も問題です。

これが小さい方が不透明度が高く
裏抜けもしにくいんですが

あまり小さいと紙に残らない
という問題があります。

粒子径が小さい方が良いというのは
粒子径が小さいと同じ重さでも

個数が増えるのでその分水や光を
通しにくいという感じですね。

材質としては屈折率が高いほうが
不透明度が高くなりやすい。

細かく言うとパルプの屈折率との
差が大きいほうが良いということです。

酸化チタンは屈折率が高いんですね。

屈折率は

パルプ繊維:1.49
(ただし純粋なセルロースは1.57)

炭カル:1.50-1.64
酸化チタン:2.50-2.72

ということだそうです。

炭カルや酸化チタンの屈折率は
結晶構造でも変わるので幅があるようです。

いずれにしても酸化チタンの屈折率が
高いので不透明度向上効果が大きい。

もしも紙が薄くても万年筆のインクが
裏に抜けないようにして欲しいとなれば

炭カルや酸化チタンを出来るだけ
添加するということになるでしょう。

あまり大量に入れても紙に残らないし
フニャフニャの紙になってしまうし、

現実的に製造できないかも知れないので
そこは妥協点を見つける感じですね。

管理人が関係していたときは
10%前後が多かったと思います。

品種によっては20%程度入れてましたが。

裏抜けに関しては、使用するパルプ、
米坪や紙厚、内添填料などを

色々調整しながら性能を満たして
安く作ることを考えていました。

もちろん製造出来る範囲で。

紙の品質設計と言っても新しい発明が
あるわけではなくて、折り合いをつける、

どこが妥協点かを見つける作業をしていた
というほうが正しいのかも知れません。

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管理人のまとめ

今回は、万年筆のインクと紙のお話でした。

基本的に紙の品質設計の観点から
お話させていただきましたが

紙の品質、単純そうに見えてなかなか
そう簡単なことではないんですね。

市販されている筆記用のノートや手帳は
そういうことをクリアした紙ということです。

この記事が万年筆のインクと紙の関係を
理解する参考になればと思います。

万年筆を使うなら、いい紙を使って下さいね!

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