パピルスと紙の違い?圧力を加えた脱水シートか水中で抄くか

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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、パピルスと紙の違い?
圧力を加えた脱水シートか水中で抄くか
というお話。

書くための素材といえば、現代では
「紙」が一般的ですが、古代には

「パピルス」という植物を利用した
筆記材が用いられていました。

どちらも情報を記録するという
目的は共通していますが、

構造や製造方法、材質には
大きな違いがあります。

この記事では、パピルスと紙の製法の
違いに注目しながら、それぞれの特徴を
具体的に掘り下げていきます。

圧力を加えて脱水しながら作るパピルスと、
水中で繊維を抄いて乾燥させる紙。

この2つの製法の差が、それぞれの
素材としての性質を大きく左右しています。

ということで。

この記事では、パピルスと紙の違い?
圧力を加えた脱水シートか水中で抄くか
について

管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。

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パピルスとは何か?その製法と構造

パピルスは、古代エジプトで
主に使われていた筆記材で、

ナイル川流域に自生する
パピルス草(Cyperus papyrus)から
作られていました。

この植物の茎の中心部を細長くスライスし、
それらを縦方向と横方向に格子状に並べて

圧縮し、脱水することでシート状に
したものがパピルスです。

パピルスの特徴は、その繊維が
植物そのものの構造を保ったまま
重なっている点にあります。

これは、現代の紙のように繊維を水の中で
分散させて再結合させるのではなく、

元の植物繊維の形を保ったまま
接着させているからです。

圧力と自然乾燥によって、繊維の
セルロースが粘着して一体化することで、
筆記可能な表面が生まれます。

加工の工程には接着剤などを用いず、
植物自体の粘着性や乾燥による

収縮によって一枚のシート状に
まとめられていました。

古代では巻物として使用されることが多く、
長文は複数枚のパピルスを貼り合わせて
作られていました。

紙の発明とその製法の特徴

一方、紙の誕生は中国において
紀元前2世紀ごろに遡るとされています。

蔡倫(さいりん)が改良したとされる製紙法。

これは、植物繊維(麻布、樹皮、木材など)を
水に溶かして分散させ、その水中に沈めた

網状の型(漉き簀)で繊維をすくい上げる
「抄紙」という手法が用いられました。

この抄紙の過程では、水中で繊維が自由に
動きながら絡み合い、均一に分布することで、
薄くて丈夫な紙が形成されます。

漉き簀を持ち上げた後、水を自然に抜いて
繊維を乾燥させることで、一枚の紙が
完成します。

この製法の重要なポイントは、
水の中で繊維が分離し、
再構築されるという点です。

製紙の過程では、繊維がバラバラに
分解されたうえで再びからみあい、

表面の滑らかさや書きやすさが
向上しています。

さらに、加工しやすく、折り曲げたり、
綴じたりすることにも適しており、
書物の発展に大きく貢献しました。

パピルスと紙の製法の根本的な違い

パピルスと紙の根本的な違いは、
繊維の処理方法とシート化の
工程にあります。

パピルスは

「植物の繊維をそのまま活かして圧縮する」

という方法で言わば「脱水圧縮シート」です。

一方、紙は

「繊維を一度水中で分散させて再結合させる」

工程、つまり「水中抄造シート」と
言えるでしょう。

この違いは、完成した素材の
物理的性質にも反映されます。

パピルスは繊維の向きが明確で、
一定方向に裂けやすく、巻物として

使うには適しているものの、
折り曲げたりすると割れやすい
という欠点があります。

また、筆記面としては若干粗く、
インクのにじみが起こることもあります。

一方の紙は、均一な厚さと柔軟性を持ち、
印刷や筆記にも向いています。

また、繊維の絡み合いによって
強度もあり、耐久性も高いです。

紙は書籍や印刷物、包装など多用途に
対応できるため、文明の発展とともに
世界中に普及していきました。

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管理人のまとめ

今回は、パピルスと紙の違い?
圧力を加えた脱水シートか水中で抄くか
というお話でした。

パピルスと紙はどちらも
人類の情報伝達を支えてきた

重要な素材ですが、その構造と
製法には決定的な違いがあります。

パピルスは植物をそのまま活かした
圧力による脱水圧縮シート、

紙は水中で繊維を分離・再構築する
抄紙によって作られるものです。

この違いが、それぞれの筆記材としての
性質や用途を大きく左右してきました。

今日では紙が主流となっていますが、
パピルスのような古代の技術にも
学ぶべき点が多くあります。

自然素材の活かし方や脱水技術などは、
現代の持続可能な素材開発においても
ヒントとなるかもしれません。

素材の違いを知ることは、
単に歴史を理解するだけでなく、

今後の技術や文化のあり方を
見直す手がかりにもなるのです。

この記事がパピルスと紙の違いの
参考になればと思います。

パピルスと紙の違い、面白いですね!

(参考)
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プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
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