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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、酸性紙と中性紙の
見分け方についてのお話。
管理人はあまり気にしませんが
紙には酸性紙とか中性紙があります。
管理人が子供の頃、紙は酸性紙でした。
しかし酸性紙は紙の劣化が早い。
それでその対策として中性紙が
出てきたということです。
なぜ酸性とか中性が問題になったか?
それは和紙が長いこと劣化しないのに
洋紙が30年位で劣化するので
その理由を突き詰めたら酸性と
中性の違いだったということです。
日本の場合は元々和紙を
使っていたのに洋紙に変えた。
明治維新のときですね。
地場産業の手漉き和紙では
大量生産の洋紙に勝てない。
そういうことだったんでしょう。
それはそうとして。
この酸性紙と中性紙の見分け方。
どうすれがいいのか?
ということで。
この記事では、酸性紙と
中性紙の見分け方について
管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。
酸性紙と中性紙の見分け方
酸性紙と中性紙の見分け方ですが。
いくつかあるので順に紹介します。
※なお、コート紙の場合は塗料が
影響するので状況が異なります。
ここでは非塗工紙として説明します。
中性紙チェックペン
一番簡単なのはチェックペン。
たとえばこんなやつ。
https://www.nikken-chemical.co.jp/product/each/leaf/alkaline_paper_check_pen_l.pdf
こちらもありますね。
このペンで紙に書くと色が変わる。
中性だと青紫とか緑。
酸性になると黄色。
そういう感じになります。
管理人が製紙会社にいた頃はアストロ
中性紙チェックペン使ってました。
工場にいるときよりも出張先で便利でしたね。
お客さんの目の前で酸性か
中性か判定できましたから。
多分これが一番簡単だと思います。
ただ、購入するとなると通販なので
かなり割高ではあります。
正直、1本あれば長持ちするので
ちょっともったいない気もしますね。
会社でまとめ買いするなら良いですけど
個人で購入はちょっともったいない。
どうしても必要なら仕方ないですが。
紙を燃やして灰の色を見る
管理人はこれはやりませんでしたが
一応これでも分かるということで。
紙をライターなんかで燃やしてみる。
それで、その灰の色が黒ければ酸性
白ければ中性というものです。
灰の色で酸性や中性が分かる理由。
それは、酸性の場合は硫酸バンドが
使われているのでこれ由来の硫酸があり
硫酸はセルロースを炭化させるので
燃やしたときに黒くなりやすい。
一方、中性の場合は炭化作用がなくまた
炭酸カルシウムを使っているので白くなる。
こういう理由で灰の色をチェックすれば
酸性か中性かが分かることになります。
お酢につけてみる
紙をお酢につけてみて泡が出たら中性紙。
こういう判定の仕方もあります。
なぜこんなことが言えるかと言うと
中性紙の場合は炭酸カルシウムを使う。
炭カルと呼ばれますが、
これを内添するんですね。
というか炭カルを内添することで
中性から弱アルカリになる感じです。
それでこの炭カルはお酢に
つけると泡を出して溶けてしまう。
炭カル自体は炭酸とカルシウムの化合物
ですがカルシウムが強くてアルカリ性。
だから酸性のお酢と反応して
酢酸カルシウムと炭酸ガスになる。
それでお酢につけると泡が出る。
実はお酢でなくても炭カルと反応する
酸性のものならなんでもいい。
ただ、家庭で容易に手に入る
安全なものなのでお酢にしてます。
別に塩酸でも硫酸でも良いんですが
これらは普段使わないし危険ですから。
逆に酸性紙の場合は炭カルを
使いませんから泡が出ない。
それで見分けか付くというわけです。
ちなみに。
ここで紹介した方法は
いずれも紙を傷めます。
ペンで書く方法が一番マシですが
それでも書いたあとは残ります。
ですからチェックするなら不要な紙とか
書いても影響ない部分とかでやって下さい。
酸性紙と中性紙の見分け方。塗工紙の場合
ここからはちょっとややこしいお話。
ここまでお話してきた酸性紙と中性紙の
見分け方は非塗工紙の場合でした。
では塗工紙はどうなのか?
これはかなり厄介です。
というのは塗工紙の場合は原紙と
塗料の部分を考えないといけない。
原紙というのは塗工する前の紙。
ただこれ、簡単には分離できません。
無理やりやるなら塗料部分だけを
削ってそのあとペンでチェックする。
あんまりスマートな方法ではないです。
精度も良くないと思いますね。
ただ、現実的なお話をすると
コート紙はほとんどが中性紙です。
オフセット印刷に使われる上質系の
コート紙はほぼ100%中性紙。
まず、コート紙の塗料はアルカリ性です。
管理人の知る限りオフセット用の
コート紙の塗料で酸性はないです。
大きな理由としてはメインの
顔料が炭酸カルシウムだから。
酸性の液の中に炭カルを
入れると泡が出て溶けるので。
あとはバインダーとの関係とか
流動性の問題とかですね。
いずれにしても水酸化ナトリウムや
アンモニアを添加して弱アルカリにします。
コート紙の場合はこういう塗料を
塗工した紙を再利用するので
原紙も中性にした方が都合がいい
というのがあるのでほぼ中性です。
やっかいなのは中質系のコート紙。
これは紙の原料に機械パルプを使うので
原紙が酸性紙の場合もあるんですね。
塗料も炭カルをあまり使わない。
ただ中質系コート紙の場合、
塗工量が少ないので
表面を中性紙チェックペンで
書けば分かることが多いです。
どうにも分からないという場合は
何枚か紙を重ねて断面をチェック。
断面には塗料がないので
この変色具合で見てましたね。
ある程度、ということですけど。
管理人のまとめ
今回は、酸性紙と中性紙の
見分け方についてのお話でした。
結論としては、中性紙チェクペンで
チェックするのが簡単ということでした。
他の方法では、紙を燃やして灰の色を見て
灰の色が黒ければ酸性、白ければ中性。
紙をお酢につけて泡が出れば中性、
出なければ酸性というのもあります。
なお、これらの方法はいずれも紙を
傷めますから注意して下さい。
やるならいらない紙とか
書いても良いところとかで。
それと、この方法コート紙には使いにくい。
というか、コート紙の場合、
酸性、中性の見分けが難しい。
現実的にはほとんどが中性。
現状では酸性紙は少ないと思います。
この記事が、酸性紙と中性紙の
見分け方の参考になればと思います。
酸性紙と中性紙、用途で
うまく使い分けて下さいね!