この記事は約 9 分で読めます。
管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、安い紙について。
安い髪といっても色々ありますが。
身近で安い紙は何になるでしょうかね?
無料で配っているものは安いですが
あれは宣伝ですからちょっと違う。
安く入手できるという意味と
製造原価が安いのもちょっと違う。
思うところは色々ありますが、
管理人は元製紙会社社員。
一応はその視点から安い紙について
考えてみたいなと思います。
ということで。
この記事では、安い紙について
管理人の調べたことをお伝えします。
安い紙は格安コピー用紙
紙はそもそも安いものなんですけど。
管理人がその中でも安いなと思うのは
格安コピー用紙、ティッシュ、トイレット。
これらは安いですよね~
コストパフォーマンスで考えると
格安コピー用紙ですかね。
身近で普通に購入できる紙では
一番安いんじゃないでしょうか。
家電量販店なんかで見かけると
A4サイズ500枚で298円なんてのも。
いくらなんでも安すぎると思うんですが
実際にそんな値段で売ってるんですよね。
ちょっと計算してみましょうか。
まずコピー用紙500枚が300円とする。
A4サイズのコピー用紙の
米坪が64g/㎡とする。
米坪は1㎡あたりの紙の重さです。
A4サイズというのは16分の1㎡。
1枚あたりは64g/㎡÷16=4g。
そうすると、コピー用紙500枚の重さは
500枚x4g=2000g=2kg
となります。
販売価格が300円なら1kgあたりは
300円÷2kg=150円/kg
1キログラムあたり150円ということ。
実際の製造原価はこの半分くらいでないと
店頭でこの価格では販売できないでしょう。
コピー用紙の場合はA4サイズに
断裁する費用も包装費用も発生する。
包装紙やダンボール箱の費用もある。
輸入紙だったら物流費も、関税もかかる。
その上で、メーカー、代理店、
卸商、家電量販店が利益を取る。
相当ギリギリでやってるのかなと思います。
まあ、メーカーがインドネシアや中国なら
製造原価は3分の1かもしれません。
それくらいでないとまともな利益は
出てこないだろうなと思いますね。
正直言うと、こんな価格では
国内メーカーはやってられない。
だから多くは輸入紙になるのでしょう。
ただし。
この価格、印刷用紙として印刷会社に
販売する価格だったら高い方。
管理人が製紙会社にいた頃は
上質紙の最安値は80円/kgでした。
今はそんなバカみたいな価格では
販売していないと思いますが
ものすごい円高が進んだときには
円と同じくらいの水準になってましたね。
印刷用紙は市況品なので製造側が
無理だと言っても赤字でも売ってしまう。
過当競争で倒産する製紙会社が
出たのもこの頃だったかなと。
安いものが買えるのはありがたいですが
会社の数が減ってしまったらそれは困る。
購入する側はバリエーションが色々と
ある方が選ぶ楽しみがありますから。
無理してコストダウンさせて安いもの
ばかりを買うという行為は
いずれ自分の首を絞めることになる
ということになるのでしょう。
難しいところですが。
ティッシュペーパーやトイレットペーパーは安いのか
ティッシュ、トイレットペーパーも
とにかく安いですよね~
5箱で198円とかありえない価格。
でもそう言う値段で普通に
売られています。
せっかくなのでこれも紙でいくらか
計算してみたいと思います。
まず、ティッシュの箱の重さ。
これは全体で約244gなんだそうです。
それで中身は約200g。
5箱セットだと1kgになりますね。
もしも5箱200円だったら紙としては
200円/kgということになります。
紙の原価だけで言うと意外と高い。
しかし実際にはこれを加工するし
箱の費用、物流費がかかってくる。
もちろんその間に入っている
商社や小売の利益も必要。
ただ、コピー用紙よりは高いので
国内メーカーでもやれるんですね。
ギリギリだとは思いますけど。
本当に製造原価が安い紙は段ボールの中芯だったが?
では本当に製造原価が安いのは?
これは段ボールでしょう。
その中の中芯と呼ばれる紙。
これが一番安いと思います。
段ボールの中芯というのは段ボールでも
見えないところにつかわれるやつです。
段ボール自体がほとんど古紙でそれも
紙を離解してゴミを取っただけの
WPと呼ばれる古紙パルプを使うので
原料費がとても安いんですね。
印刷用の古紙、新聞古紙などは
印刷インクを取り除く脱墨という
工程があるんですが段ボール古紙は
そういう工程がありません。
段ボールはそもそも印刷が少ないし
製造する紙も白というわけではないので。
それでも、ダンボールの表面に使われる
ライナーは色調を合わせたりするので
ちょっとは薬品費がかかっているんですが
中芯の場合はそういう気遣いは不要。
ひたすら安くて強度があればいい。
管理人が製紙会社にいた頃だと
30円/kgもしなかったと思います。
ただ、この数年で段ボールは
値上がりしたみたいですね。
通販が増えてダンボール箱の
需要がものすごく増えたので。
しかも中国なんかでも増えていて
国際的に不足している状態。
管理人の感覚はちょっと
古いのかも知れません。
(参考)
日経市況 板紙 (日本経済新聞参照)
http://www.kppc.co.jp/ja/market/itagami/main/00/teaserItems1/01/linkList/0/link/20190124h_itagami.pdf
安い紙。チラシに使うコート紙も安い
それからもう一つ。
チラシに使うコート紙も安いです。
専門的にはA3コート紙と呼ばれる紙。
この紙、上質紙と同じか
それ以下の価格です。
上質紙に塗料を塗工しているのに
上質紙より安いんですよね。
なんだかちょっと理解できないんですが
実際にそんな感じでやってますね。
これは製造しているマシンの規模と
市況によるものになるでしょう。
需要はコート紙のほうが
多いので生産量が多くなる。
マシンも大型マシンで量産する。
そうすると固定費が下がる。
管理人が会社を辞めてから塗料費が
大幅に下がっているのかも知れませんが
変動費としてコート紙のほうが
安いというのは考えにくい。
せいぜい同じ程度だと思います。
ただ固定費まで含めると生産量の
問題で安くなるのかも知れません。
いずれにしてもA3コート紙は安いです。
だから新聞折込チラシに使われるんですね。
管理人のまとめ
今回は、安い紙についてのお話でした。
身近で購入できる紙としては
格安コピー用紙が安いです。
ティッシュやトイレットペーパーも
安いですがコピー用紙の方が安い。
製造原価としては段ボールの中芯が
安かったんですが最近は高いようです。
段ボール不足で古紙が値上がり
しているからなのでしょう。
それからチラシの紙はやっぱり安い。
印刷用紙としては一番大量生産
されているからだと思います。
その他として新聞紙も安そうですが
実は新聞紙はそんなに安くありません。
製造原価はそこそこ安いですが
新聞社は極端な値下げは言わない。
紙がなくなったら大変なことになるので
ある程度の品質と安定供給が大前提。
それに、紙を安く買うようになったら
購読料を下げろと言われると困る。
だからあまり無茶な要求はしないですね。
ただ、昨今の新聞離れは深刻なので
その状況も変わってくるでしょうけど。
この記事が、安い紙の
参考になればと思います。
安い紙をうまく使って下さいね!