マット紙と合成紙の違いは?特に屋外の耐久性が異なります!

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マット紙 合成紙

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、マット紙と合成紙の違いについて。

マット紙は塗工紙ですが
合成紙は「合成紙」という名前のフィルム。

そもそも成分も製造方法も全く違います。

ただ、見た目はよく似ているんですよね。

合成紙というのが、石油化学製品から
紙に似たものを作ろうというものですから

紙に似ているのは当たり前といえば
当たり前の話なんですが。

管理人は元製紙会社社員ですが
合成紙の製造に関わったことはありません。

マット紙の方はありますけど。

 

ただ、シールの製造に関わったときに、
合成紙を使う立場になったことはあります。

そのとき思ったのは、紙と合成紙では
やっぱり扱いが違うということでした。

特に耐水性の部分でしょうか。

合成紙の場合は屋外のポスターにも
使われるくらいですから耐水性はいい。

一方のマット紙には耐水性はない。

ただこれも良し悪しというか
そういうものということで、

耐水性のある合成紙は
紙のようなリサイクルは出来ない。

原料に戻して再利用というのは無理。

一番違いを感じたのはこの部分でした。

合成紙というのは紙に似たフィルムですが
結局はプラスチックですから土には帰らない。

ではこの違いはどこから来るのか?

この記事では、マット紙と
合成紙の違いについて

管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。

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マット紙と合成紙は原料が違う

先ほどお話しましたが、マット紙と
合成紙では原料が違います。

マット紙はもちろん紙なので
主成分はパルプ。

成分としてはセルロースになります。

また、塗工されているので
塗料が使われていますが

塗料の主成分はクレーや
炭酸カルシウム(炭カル)。

この成分は土や石です。

あとはラテックスと呼ばれるバインダーで、
接着剤ですがこれは石油化学製品です。

ラテックスの成分は、スチレン、ブタジエン、
アクリルニトリル,MMAといったところ。

紙として考えた場合は、品種によりますが
だいたい5%前後という感じですね。

このように紙の成分はほとんどがパルプとか
土というもともと自然界にあるものです。

 

一方、合成紙は石油化学製品になります。

合成紙でもっとも有名なのはユポですが、
ユポの場合はポリプロピレン(PP)が主成分。

そこに炭カルの微粒子を添加しています。

製造方法はユポコーポレーションの
ホームページに記載されていますが、

PPに炭カルを配合して延伸すると
炭カルのまわりにボイド(空隙、すきま)が

出来てフィルムが白濁して白く見えるし、
表面に紙のように凹凸ができるということ。

PPだけならば透明なフィルムなんですが
そこに炭カルを配合して延伸することで

紙のように見せることが出来る
という技術なんですね。

結局、紙はパルプ繊維が絡まって
シートになっているのですが

その場合、大量の空隙があり、
それこそが紙らしさを演出しているわけで、

この大量の空隙を再現するひとつの方法が
炭カルを配合して延伸するということです。

 

それでユポの主成分となるPPなんですが
この樹脂は水になじまない疎水性です。

だから水に濡れても大丈夫。

湿度による寸法の変化も起こりません。
そのかわり吸水性もありません。

ここは紙と全く違うところです。

ただし、温度変化には弱い。

PPの耐熱温度は100-140℃だし、
実際にはもうちょっと低い温度で変形します。

そのあたりは紙のほうが強い感じですね。

マット紙と合成紙の使用用途は棲み分けされている

ここまでマット紙と合成紙の原料などの
違いについてお話させていただきました。

成分の違いが性質の違いになります。

そのため合成紙はマット紙では使えない
分野で使われるようになっています。

特に水に濡れることが想定される場合
最初に例に出した屋外ポスターなどは

水に濡れても平気なユポを
使うのがリーズナブルです。

価格とリサイクルの問題があるので
何でも合成紙とは行きませんから

マット紙で問題ない用途にはマット紙を
使うという棲み分けになっています。

他にも、冷凍食品用シールのように
耐水性が必要なシールにはユポとか。

合成「紙」とはいいますが、普通の紙では
使えないところで使うということですね。

合成紙の歴史

ここからは余談です。

今となっては高級品の合成紙ですが
もともとは森林資源の将来の心配から

木材を使わずに紙を作れないか
というところからのスタートだったようです。

概要はこんな感じです。

※ユポのHPから抜粋。

 

==ここから==

1968年5月、高度成長下での日本では、
紙需要の急増によりパルプ資源の

将来に対する不安と石油化学に
対する将来性から、科学技術庁より

「合成紙産業育成に関する勧告」が出され、
関連業界に合成紙ブームが巻き起こりました。

数十社が合成紙の研究開発に取り組み、
数社が商業生産を開始しましたが、

1973年の「第一次石油危機」を機に
そのほとんどが撤退を余儀なくされました。

その後、日本だけでなく世界で、
当社をはじめとする合成紙メーカー数社により

機能性を活かした用途開拓等
合成紙市場の拡大が進められ、

現在では全世界のさまざまな分野で
合成紙が活躍しています。

==ここまで==

 

これをみると未来予測というのが
いかに当たらないか思い知らされます。

森林資源については色々言われますが
実際には各企業が植林していますから

そんなに枯渇するとかいうことは
なさそうな状況です。

石油の方も30年以上前から
30年後には石油がなくなると

言われていたと思いますが
いまだに無くなる気配はありません。

今となってはやっぱり紙が安いので
紙をメインに使って行くことになりそうです。

管理人のまとめ

今回のお話は、マット紙と
合成紙の違いについてでした。

そもそも紙と合成紙では成分が
違うのでその性質も違います。

特に耐水性が違う。

屋外ポスターのように雨に濡れても
大丈夫というのが合成紙の特長かなと。

この特徴を生かして使用用途を
考えるのが大切なのでしょう。

合成紙の使い方、
間違えないようにして下さいね!

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