製紙業界の白液とは?パルプ蒸解工程で使う強アルカリの薬液

記事内に広告が含まれています。Amazonのアソシエイトとして、べぎやすは適格販売により収入を得ています。

この記事は約 12 分で読めます。

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、製紙業界の白液とは?
パルプ蒸解工程で使う強アルカリの薬液、
というお話。

製紙工場では、木材チップから
紙の原料となるパルプを取り出すために、
さまざまな薬液が使用されています。

その中でも特に重要なのが
「白液(はくえき)」です。

白液はクラフトパルプ製造工程で
使われる強アルカリ性の薬液であり、

木材中の不要成分を分解し、繊維だけを
効率よく取り出す役割を担っています。

製紙業界では日常的に使われる専門用語ですが、
一般にはあまり知られていません。

しかし、白液は紙の品質や生産効率、
さらには工場のエネルギー循環にも
大きく関わる重要な存在です。

ここでは、製紙業界における白液とは何か、
どのような成分で構成されているのか、

パルプ蒸解工程でどのように
使われるのかを詳しく解説します。

また、黒液との違いや回収工程、
安全管理についても深掘りして紹介します。

ということで。

この記事では、製紙業界の白液とは?
パルプ蒸解工程で使う強アルカリの薬液
について

管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

白液とは?製紙業界で使われる重要な薬液

白液とは、クラフト法と呼ばれる
パルプ製造工程で使用される
強アルカリ性の薬液です。

主成分は水酸化ナトリウム(NaOH)と
硫化ナトリウム(Na2S)で構成されており

木材チップからリグニンを
除去するために使用されます。

木材は主にセルロース、ヘミセルロース、
リグニンという成分で構成されています。

このうち、紙の原料として
必要なのはセルロース繊維です。

一方で、リグニンは木材を硬く結び付ける
接着剤のような役割を持っており、
そのままでは紙の製造に適していません。

そこで白液を使い、高温・高圧条件下で
木材チップを蒸解します。

するとリグニンが化学的に分解され、
セルロース繊維がほぐれてパルプになります。

白液が「白」と呼ばれる理由は、薬液自体が
白濁した見た目をしているためです。

実際には透明ではなく、
やや乳白色に近い外観をしています。

製紙工場では、この白液の濃度や
アルカリ度を細かく管理しながら
蒸解工程を運転しています。

薬液バランスが崩れると、
パルプ品質の低下や設備トラブルに
つながるためです。

白液の主成分と化学的な役割

白液の主成分は、水酸化ナトリウムと
硫化ナトリウムです。

それぞれ異なる役割を持ちながら、
木材中のリグニン除去を進めています。

まず、水酸化ナトリウムは
強いアルカリ性を持ち、

木材成分を膨潤させる
働きがあります。

木材組織を柔らかくし、
薬液が内部まで浸透しやすくなるため、
蒸解反応を効率的に進めることができます。

一方の硫化ナトリウムは、
リグニン分解能力を高める重要な成分です。

特にクラフト法では、
硫化物イオンがリグニンの化学結合を

切断しやすくすることで、
繊維を傷めずに分離できる特徴があります。

クラフト法が現在の製紙業界で
主流になっている理由の一つは、

この硫化ナトリウムによる
高い脱リグニン性能にあります。

また、白液には以下のような
管理指標があります。

  • 有効アルカリ
  • 活性アルカリ
  • 硫化度
  • 苛性化率
  • 残アルカリ濃度

これらの数値は蒸解品質に直結するため、
工場では定期分析が行われています。

例えば硫化度が低すぎると
リグニン分解効率が落ち、

逆に高すぎると悪臭成分が
増加する可能性があります。

そのため、最適なバランスを
維持することが重要になります。

パルプ蒸解工程で白液はどのように使われるのか

白液は主に「蒸解工程」で使用されます。

蒸解とは、
木材チップを高温高圧下で薬液処理し、
繊維を分離する工程のことです。

一般的なクラフトパルプ工程では、
まず木材を小さなチップ状に加工します。

その後、巨大な蒸解釜に
木材チップと白液を投入します。

蒸解釜内部では、
およそ160〜180℃程度の
高温状態が維持されます。

さらに圧力を加えながら
数時間反応を続けることで、

木材中のリグニンが
徐々に分解されていきます。

このとき重要なのが、
セルロース繊維をできるだけ傷めずに
リグニンだけを除去することです。

もしアルカリ濃度が高すぎると、
必要なセルロースまで分解されてしまい、
紙の強度低下につながります。

逆に濃度が低すぎると
リグニンが十分に除去されず、
色が悪いパルプになってしまいます。

そのため製紙工場では、
以下の条件を細かく制御しています。

  • 白液濃度
  • 蒸解温度
  • 蒸解時間
  • 液比
  • 圧力条件

蒸解後には、木材繊維が
ほぐれた状態のパルプと、

溶け出したリグニンを含む
黒色の液体が生成されます。

この黒色の液体が「黒液」です。

白液と黒液の違いとは?

製紙業界では「白液」と「黒液」が
セットで語られることが多くあります。

両者は密接に関係しているためです。

白液は蒸解前に使用される薬液ですが、
黒液は蒸解後に発生する廃液です。

黒液には、木材から溶け出した
リグニンや有機物、使用後の
薬品成分が含まれています。

見た目は非常に黒く、粘度の高い液体です。

しかし黒液は単なる廃液ではありません。

製紙工場では黒液を濃縮し、
ボイラーで燃焼させることで
エネルギー源として利用しています。

この燃焼工程では蒸気や電力が
生み出されるだけでなく、
薬品成分も回収されます。

その後、回収工程を経て再び白液へと
再生されるため、クラフトパルプ工場では
薬品循環システムが構築されています。

この循環システムは、
製紙業界の大きな特徴の一つです。

薬品を再利用することでコスト削減と
環境負荷低減の両立を実現しています。

白液の再生工程と苛性化プロセス

白液は一度使用したら
廃棄されるわけではありません。

製紙工場では「苛性化工程」を通じて
再生され、再び蒸解に利用されます。

まず、黒液を回収ボイラーで燃焼させると、
無機薬品を含む溶融物が得られます。

この溶融物を水に
溶かしたものが「緑液」です。

緑液には炭酸ナトリウムが
多く含まれているため、
そのままでは蒸解性能が不足しています。

そこで、生石灰から作られる消石灰を加え、
以下のような苛性化反応を行います。

Na2CO3 + Ca(OH)2 → 2NaOH + CaCO3

この反応によって、
水酸化ナトリウムが再生成され、
白液として再利用できるようになります。

生成した炭酸カルシウムは
石灰キルンで再焼成され、
生石灰として循環利用されます。

つまり製紙工場では、
薬品だけでなく石灰も循環しているのです。

この高度な回収システムによって、
クラフトパルプ工場は高い資源効率を
維持しています。

白液を扱う際の安全性と注意点

白液は非常に強いアルカリ性を持つため、
取り扱いには厳重な安全管理が必要です。

白液が皮膚に付着すると化学火傷を
引き起こす危険があります。

また、目に入ると重篤な障害に
つながる可能性もあります。

そのため工場では、以下のような
保護具着用が徹底されています。

  • 耐薬品手袋
  • 保護メガネ
  • フェイスシールド
  • 耐薬品エプロン
  • 防護服

さらに、硫化ナトリウム由来の
硫黄化合物によって独特な臭気が
発生することがあります。

特に硫化水素は有毒ガスであり、
高濃度では危険を伴うため、
換気設備やガス検知器が設置されています。

近年では安全管理の自動化も進んでおり、
薬液濃度や流量、温度をリアルタイム監視する
システムが導入されています。

また、設備材料にも耐アルカリ性・耐腐食性が
求められるため、特殊ステンレスや
耐薬品ライニングが使用されています。

製紙業界における白液の重要性

白液は単なる薬液ではなく、
クラフトパルプ製造を支える中心的存在です。

もし白液の性能が不安定になると、
パルプ品質の低下だけでなく、

生産効率やエネルギー回収効率にも
大きな影響が出ます。

そのため製紙工場では、
蒸解条件や薬品バランスを細かく
最適化しながら操業しています。

さらに近年は、
環境負荷低減の観点からも
白液工程の改善が進められています。

例えば以下のような
技術開発が行われています。

  • 薬品使用量の最適化
  • エネルギー回収効率向上
  • 臭気低減技術
  • 蒸解制御の自動化
  • 低環境負荷型プロセス

製紙業界は古くからある産業ですが、
現在でも化学工学やエネルギー工学の
高度な技術が活用されています。

白液は、その中核を支える重要な
技術要素の一つといえるでしょう。

スポンサーリンク

管理人のまとめ

今回は、製紙業界の白液とは?
パルプ蒸解工程で使う強アルカリの薬液
というお話でした。

白液とは、クラフトパルプ製造工程で
使用される強アルカリ性の薬液であり、

水酸化ナトリウムや硫化ナトリウムを
主成分としています。

木材中のリグニンを分解し、
セルロース繊維を取り出す役割を持っており、
パルプ蒸解工程には欠かせない存在です。

また、使用後の黒液から薬品を回収し、
再び白液として再利用する循環システムも
製紙工場の大きな特徴です。

さらに、
薬品回収ボイラーや苛性化工程によって、
エネルギー効率と資源効率を高めています。

白液は一般にはあまり知られていない
専門用語ですが、実際には製紙産業を
支える非常に重要な技術の一つです。

紙が作られる裏側では、
このような高度な化学プロセスが
日々稼働しています。

白液、重要な薬品なんですね!

(参考)
こんな記事も読まれています。

紙を溶かすとき苛性ソーダを使うのは?離解しやすくするため
https://kamiconsal.jp/kamitokasunaoh/

LBKPとNBKPの違い?木材が広葉樹か針葉樹かが異なる
https://kamiconsal.jp/lbkpnbkptigai/

紙のフリーネスとは?叩解度は品質にどんな影響を与えるのか
https://kamiconsal.jp/kamifreeness/

紙の製造
プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
>>https://kamiconsal.jp/profile/

べぎやすをフォローする
シェアする
べぎやすをフォローする
タイトルとURLをコピーしました