製紙の黒液とは?パルプ洗浄後のリグニンや薬品を含んだ薬液

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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、製紙の黒液とは?
パルプ洗浄後のリグニンや薬品を含んだ薬液
というお話。

製紙工場では、木材チップから
紙の原料となるパルプを作るために、
さまざまな薬液が使われています。

その中でも「黒液(こくえき)」は、
パルプ製造工程で発生する
非常に重要な液体です。

名前だけを見ると
単なる廃液のように思われがちですが、

実際には製紙工場のエネルギー供給や
薬品回収を支える大切な役割を持っています。

黒液は、蒸解工程で木材から溶け出した
リグニンや有機成分、さらに使用後の
薬品を含んだ黒褐色の液体です。

特にクラフトパルプ製造では大量に発生し、
その後の回収工程で再利用されることで、

製紙工場のコスト削減や
環境負荷低減にも大きく貢献しています。

ここでは、製紙業界における
黒液の基本的な意味から、

発生する仕組み、成分、回収工程、
エネルギー利用、環境面での重要性まで
詳しく解説します。

ということで。

この記事では、製紙の黒液とは?
パルプ洗浄後のリグニンや薬品を含んだ薬液
について

管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。

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黒液は木材チップ洗浄後に発生する薬液

紙は木材から作られていますが、
その木材をそのまま細かくしただけでは
紙にはなりません。

木材の中には

「セルロース」
「ヘミセルロース」
「リグニン」

といった成分が含まれており、
紙の原料として必要なのは
主にセルロース繊維です。

そこで製紙工場では、木材チップを
高温・高圧の薬液で煮込む

「蒸解工程」を行い、不要なリグニンを
溶かしてセルロース繊維を取り出します。

このときに発生するのが黒液です。

黒液には、木材から溶け出したリグニンや
有機物、使用済みの蒸解薬品などが
大量に含まれています。

色が黒っぽいことから「黒液」と呼ばれており
クラフトパルプ工場では欠かせない存在です。

一見すると単なる廃液のように
思われる黒液ですが、

実際には燃料として利用されたり、薬品を
再生したりする重要な資源でもあります。

現代の製紙工場では、この黒液を
効率的に回収・再利用することで、
高い省エネルギー化が実現されています。

黒液とは何か?製紙工程で発生する重要な液体

黒液とは、クラフトパルプ製造工程で
発生する黒褐色の薬液です。

木材チップを蒸解した後に残る液体であり、
リグニンや有機成分、薬品などを
大量に含んでいます。

クラフトパルプ製造では、木材チップを
「白液」と呼ばれる強アルカリ性の薬液で
煮込みます。

この白液には、水酸化ナトリウムや
硫化ナトリウムなどが含まれており、
木材中のリグニンを分解する役割があります。

蒸解が進むと、木材からリグニンが溶け出し、
液体の色が徐々に濃く変化していきます。

そして蒸解後にパルプを
取り出した後に残る液体が黒液です。

黒液には以下のような成分が含まれています。

  • リグニン分解物
  • ヘミセルロース由来成分
  • 有機酸
  • ナトリウム系薬品
  • 硫黄系化合物
  • 水分

特にリグニン成分が大量に含まれるため、
液体は非常に濃い黒褐色になります。

また、黒液は強アルカリ性を持っているため、
取り扱いには注意が必要です。

製紙工場では専用設備を使って管理されており
漏洩防止や安全対策が徹底されています。

さらに、黒液は単なる不要物ではありません。

含まれている有機成分には
高い発熱量があるため、

後工程で燃焼させて蒸気や電力を生み出す
エネルギー源として活用されています。

黒液が発生する仕組みと蒸解工程の関係

黒液を理解するためには、
まずパルプの蒸解工程を知ることが重要です。

木材はセルロース繊維だけで
できているわけではありません。

木材内部では、リグニンが
接着剤のような役割を果たし、
繊維同士を強固に結びつけています。

紙を作るには、このリグニンを
除去しなければなりません。

そこで行われるのが蒸解工程です。

蒸解では、木材チップを大型の蒸解釜に投入し
高温高圧条件で白液と反応させます。

温度はおよそ150〜170℃程度に
なることが多く、数時間かけて
リグニンを分解します。

このとき、白液中のアルカリ成分が
リグニンを化学的に分解し、
木材から溶け出させます。

するとセルロース繊維がほぐれ、
紙の原料となるパルプが取り出せる
状態になります。

蒸解後は、パルプと液体を
分離する工程が行われます。

この分離された液体こそが黒液です。

黒液が発生する量は非常に多く、
大規模な製紙工場では1日に
数千トン規模になる場合もあります。

また、黒液にはまだ多くの
薬品成分が残っています。

そのまま廃棄してしまうとコスト面でも
環境面でも大きな問題になるため、

製紙工場では回収・再利用システムが
整備されています。

クラフトパルプ法が現在でも
広く利用されている理由の一つは、

この黒液回収システムによって
薬品を循環利用できる点にあります。

黒液回収工程とは?薬品再利用とエネルギー化の仕組み

黒液は、製紙工場内で
「回収工程」に送られます。

この回収工程は、製紙工場の中でも
特に重要な設備の一つです。

まず黒液は「濃縮工程」に送られます。

発生直後の黒液は水分が非常に多く、
そのままでは燃えにくいためです。

濃縮工程では「多重効用蒸発缶」と
呼ばれる設備を使い、
水分を蒸発させながら濃度を高めます。

黒液濃度は最終的に70%前後まで
高められることが一般的です。

濃縮された黒液は、
その後「回収ボイラー」で燃焼されます。

回収ボイラーでは、
黒液中の有機成分が燃料として燃焼し、
大量の熱エネルギーを発生させます。

この熱を利用して蒸気を作り、
工場内の発電設備や製造設備に
利用しています。

つまり、黒液は製紙工場における
自家発電用燃料としても機能しているのです。

さらに重要なのは、
燃焼後に残る薬品成分の回収です。

回収ボイラーの炉底には「スメルト」と
呼ばれる溶融物が生成されます。

これには炭酸ナトリウムや
硫化ナトリウムなどが含まれています。

スメルトは水に溶かされ、
「緑液」と呼ばれる液体になります。

その後、苛性化工程で石灰を加えることで
再び白液へと再生されます。

つまり、

  • 白液で蒸解する
  • 黒液が発生する
  • 黒液を燃焼・回収する
  • 薬品を再生して白液へ戻す

という循環システムが形成されているのです。

この循環型システムによって、
製紙工場では薬品コストを
大幅に削減できています。

黒液の環境面での重要性と近年の活用技術

黒液は、環境面でも非常に
重要な役割を持っています。

もし黒液を適切に回収せず排出してしまうと、
大量の有機物やアルカリ成分によって
水質汚染を引き起こす危険があります。

そのため、現代の製紙工場では
黒液回収設備が必須となっており、
環境保全の観点からも重要視されています。

また、黒液燃焼によるエネルギー回収は、
化石燃料使用量の削減にもつながっています。

黒液中には木材由来の有機成分が
大量に含まれているため、

再生可能エネルギーとして
扱われる場合もあります。

実際、多くの製紙工場では
黒液由来エネルギーによって
工場電力の大部分をまかなっています。

さらに近年では、黒液から新たな
化学製品を取り出す研究も進んでいます。

例えば、黒液中のリグニンを分離して
以下のような用途へ利用する技術開発が
進められています。

  • バイオプラスチック原料
  • 炭素材料
  • 接着剤原料
  • 燃料添加剤
  • 高機能化学製品

従来は燃焼処理されることが
多かったリグニンですが、

近年では「木材由来の有用資源」
として注目度が高まっています。

また、
バイオリファイナリー技術の発展によって、
製紙工場が単なる紙製造工場ではなく、

バイオマス資源活用拠点として
期待されるようになっています。

黒液は、こうした次世代技術を支える
重要な素材の一つになっているのです。

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管理人のまとめ

今回は、製紙の黒液とは?
パルプ洗浄後のリグニンや薬品を含んだ薬液
というお話でした。

黒液とは、クラフトパルプ製造において
蒸解後に発生する黒褐色の薬液です。

木材から溶け出したリグニンや有機成分、
使用済み薬品などが含まれており、

製紙工程では非常に
重要な役割を持っています。

黒液は単なる廃液ではなく、
回収ボイラーで燃焼させることで

エネルギー源として利用され、
さらに薬品回収によって
白液として再利用されています。

この循環システムによって、
製紙工場では薬品コスト削減、

省エネルギー化、環境負荷低減が
実現されています。

さらに近年では、黒液中のリグニンを
活用した新素材開発も進められており、

黒液は再生可能資源としての
価値も高まっています。

紙を作る裏側では、
このような高度な薬品循環技術と
エネルギー回収システムが支えているのです。

黒液、重要な薬液なんですね!

(参考)
こんな記事も読まれています。

紙を溶かすとき苛性ソーダを使うのは?離解しやすくするため
https://kamiconsal.jp/kamitokasunaoh/

LBKPとNBKPの違い?木材が広葉樹か針葉樹かが異なる
https://kamiconsal.jp/lbkpnbkptigai/

紙のフリーネスとは?叩解度は品質にどんな影響を与えるのか
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紙の製造
プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
>>https://kamiconsal.jp/profile/

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