製紙業界の緑液とは?黒液燃焼後のスメルトを水に溶かしたアルカリ液

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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、製紙業界の緑液とは?黒液燃焼後の
スメルトを水に溶かしたアルカリ液
というお話。

製紙業界では、紙を作る工程だけでなく、
薬品を回収して再利用する仕組みも
重要な役割を担っています。

その中で登場するのが
「緑液(りょくえき)」です。

一般の人にはあまり馴染みのない言葉ですが、
クラフトパルプ製造における薬品回収工程では
欠かせない存在となっています。

緑液は、黒液を燃焼させた後に発生する
スメルトを水に溶解して作られる
強アルカリ性の液体です。

この液体はさらに処理されて白液へと変換され
木材チップからパルプを製造する蒸解工程で
再び利用されます。

ここでは、製紙業界における緑液とは何か、
どのように生成されるのか、

黒液やスメルトとの関係、
化学的な役割や設備上の重要性まで
詳しく解説します。

ということで。

この記事では、製紙の黒液とは?
パルプ洗浄後のリグニンや薬品を含んだ薬液
について

管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。

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製紙工場の薬品回収工程で重要な緑液とは

製紙工場、とくにクラフトパルプ工場では
大量の薬品が使用されています。

木材からセルロース繊維を取り出すためには、
水酸化ナトリウムや硫化ナトリウムなどの
薬品が必要です。

これらの薬品を毎回新しく購入していては
コストが非常に高くなります。

そのため製紙工場では薬品回収設備を設け、
使用済み薬品を回収して再利用しています。

この薬品回収サイクルの中間工程で
生成されるのが緑液です。

緑液は薬品回収ボイラーと苛性化設備を
つなぐ重要な役割を持っており、

クラフトパルプ製造を支える
基幹プロセスの一つとなっています。

緑液とは黒液燃焼後のスメルトを水に溶かしたアルカリ液

緑液とは、回収ボイラー内で黒液を
燃焼させた際に生成される「スメルト」を

水に溶解して作られる
アルカリ性溶液のことです。

スメルトとは、黒液中に含まれていた
無機薬品成分が高温で溶融した
状態の物質を指します。

見た目は溶けた金属のような
赤橙色の液体であり、

主成分は炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)と
硫化ナトリウム(Na₂S)です。

このスメルトをスメルトディゾルバーと
呼ばれる設備で弱液や水に溶解すると、
緑色がかった液体になります。

この色合いから「緑液」と
呼ばれるようになりました。

実際には鮮やかな緑色というよりも、
やや暗い緑褐色や黄緑色に
近い色調を示すことが多く、

硫化物成分や微細な不純物の影響によって
独特の外観を持っています。

緑液の主成分は以下の通りです。

  • 炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)
  • 硫化ナトリウム(Na₂S)
  • 硫酸ナトリウム(Na₂SO₄)
  • 微量のチオ硫酸塩
  • 不溶解物(グリーンリカー・ドレッグス)

これらの成分が混在することで、
強いアルカリ性を示す液体となっています。

黒液から緑液が生成されるまでの流れ

緑液を理解するためには、
まず黒液について知る必要があります。

クラフトパルプ法では、
木材チップを白液で蒸解して
セルロース繊維を取り出します。

この工程で木材中のリグニンが溶解し、
使用済み薬品と混ざり合った液体が黒液です。

黒液には次のような成分が含まれています。

  • リグニン由来の有機物
  • ヘミセルロース分解物
  • 使用済み蒸解薬品
  • ナトリウム化合物
  • 硫黄化合物

黒液はまず多重効用蒸発缶によって
濃縮されます。

濃縮後の黒液は固形分濃度が高まり、
燃料として利用できる状態になります。

その後、回収ボイラーへ送られ燃焼されます。

燃焼によって有機物は
熱エネルギーとして利用され、
蒸気や電力を生み出します。

一方で無機薬品成分は炉床部に集まり、
高温で溶融したスメルトとなります。

回収ボイラー炉底部から排出された
スメルトはスメルトスパウトを通って
スメルトディゾルバーへ落下します。

ここで水または弱液と接触することで
急速に溶解し、緑液が生成されます。

つまり薬品回収工程の流れは
以下のようになります。

白液 → 蒸解 → 黒液 → 濃縮 →
回収ボイラー → スメルト → 緑液

この流れによって薬品の
循環利用が実現されています。

緑液が白液へ変換される苛性化工程

緑液はそのままでは蒸解薬品として
十分な性能を持っていません。

なぜなら主成分の一つである炭酸ナトリウムは
木材中のリグニンを効率的に分解する能力が
水酸化ナトリウムほど高くないためです。

そこで緑液は苛性化工程へ送られます。

苛性化工程では石灰キルンから
供給された生石灰(CaO)を利用します。

まず生石灰を水と反応させて
消石灰(Ca(OH)₂)を生成します。

その後、緑液中の炭酸ナトリウムと
反応させます。

代表的な反応式は以下の通りです。

Na₂CO₃ + Ca(OH)₂
→2NaOH + CaCO₃

この反応によって炭酸ナトリウムが
水酸化ナトリウムへ変換されます。

生成された液体が白液です。

白液には蒸解に必要な以下の
薬品成分が含まれます。

  • 水酸化ナトリウム(NaOH)
  • 硫化ナトリウム(Na₂S)

白液は再び蒸解工程へ送られ、
木材チップからパルプを
製造するために利用されます。

一方、反応によって生成した
炭酸カルシウム(CaCO₃)は

石灰泥(ライムマッド)として分離され、
石灰キルンで焼成されて
再び生石灰へ戻されます。

このように薬品だけでなく石灰も
循環利用されている点が特徴です。

緑液の設備管理と安全上の重要ポイント

緑液は強アルカリ性を示すため、
設備管理や安全対策が極めて重要です。

一般的にpHは12以上となり、
皮膚や眼に接触すると重大な化学火傷を
引き起こす可能性があります。

また、緑液中には硫化物が含まれているため、
条件によっては硫化水素ガスが発生する
リスクもあります。

そのため製紙工場では以下のような
管理が行われています。

  • 密閉設備による取り扱い
  • 耐アルカリ材料の使用
  • ガス監視装置の設置
  • 保護具の着用徹底
  • 液位や濃度の常時監視

さらに緑液にはドレッグスと呼ばれる
不溶解物が含まれています。

ドレッグスは砂分や金属酸化物、
未溶解成分などから構成されており、

そのまま苛性化工程へ送ると
設備トラブルの原因になります。

そのため
グリーンリカークラリファイヤーなどの
沈降設備を用いて不純物を除去します。

この浄化工程によって苛性化反応の
効率向上や設備保護が実現されています。

また近年では薬品回収率向上や
エネルギー効率改善の観点から、

緑液濃度や硫化度をリアルタイムで
監視するシステムも導入されています。

緑液品質は最終的な白液品質や
パルプ品質にも影響するため、

製紙工場の操業管理において非常に
重要な管理項目となっています。

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管理人のまとめ

今回は、製紙業界の緑液とは?黒液燃焼後の
スメルトを水に溶かしたアルカリ液
というお話でした。

緑液とは、回収ボイラーで黒液を
燃焼した際に生成されるスメルトを
水に溶解して得られるアルカリ性溶液です。

主成分は炭酸ナトリウムと
硫化ナトリウムであり、

クラフトパルプ製造における
薬品回収サイクルの中間生成物として
重要な役割を担っています。

黒液から回収された無機薬品はスメルトとなり
緑液へ変換された後、苛性化工程によって
白液へ再生されます。

そして再び蒸解工程で利用されることで、
薬品の循環利用が実現されています。

製紙工場における緑液は単なる中間液ではなく
薬品回収効率や操業安定性、

エネルギー利用効率に
大きく関わる重要な存在です。

クラフトパルプ製造を支える
基盤技術の一つとして、
現在も多くの製紙工場で活用されています。

緑液、重要な薬液なんですね!

(参考)
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紙の製造
プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
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