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ガラスの額縁に入っている写真の退色を防ぎたい
と思ったことありませんか?
過去にこんな経験がありました。
昔、子供の頃お盆に田舎の家に遊びに行くと亡くなった祖父母の遺影が飾られていたものでした。
たぶんB4サイズくらいの写真が額縁に入れられて前面にはガラスが入っていたと思います。
当時の写真ですから遺影はモノクロですでにセピア色になってました。
自分が子供の頃ですから写真が退色するというような知識もなく古い写真はこういうものだと思ってました。
写真に限りませんが印刷物はなぜ退色するのでしょうか?
そしてガラスの額縁に入っている写真の退色を防ぐ方法はあるんでしょうか?
この記事では理由と対処法を解説します。
ガラスの額縁に入れた写真が退色する原因
紙の劣化の場合大敵は光、特に紫外線でした。
写真や印刷物の退色に関しては、昔の銀塩写真の場合は残留している硫黄が悪影響をおよぼすようですが、インクジェットプリンタやレーザープリンタによる印刷の場合は画像を形成している「色素」が紫外線で壊れるというのが大きな原因です。
特に色素が分子の状態で存在する染料系のものは発色はいいのですが、紫外線の影響を受けやすく退色も速くなります。
ただし退色しやすい色素というのがあるようで、各メーカーによってどの色が退色しやすいかというのは違うようです。
たとえば、印刷インクの黒の場合はカーボンブラックが使われるので退色しにくいとかそういうのがあるみたいですね。
紫外線に強いか弱いかという問題はありますが光に長期間当たると光に弱い色素から壊れていきますので必ず変色・退色するわけです。
後はどれがマシかという比較になります。
ところで退色の原因は光以外では湿気もあります。
色素は化学物質ですから水分で加水分解するようなものもあるんですね。
熱がかかるのも良くないです。熱がかかれば化学反応はそれだけ速く進みますから色素の分解も速く進むということなんですね。
このように印刷物の劣化の原因も紙と同じように、紫外線、湿気、熱、ということになります。
銀塩写真はなぜガラスにくっつくのか?
銀塩写真の場合は写真の面がガラスにくっつきやすいというのがありますね。
これは銀塩写真の表面には保護層としてゼラチン保護層があるので、湿気があるとゼラチンがガラスとくっついてしまうということだそうです。
もしもガラスと銀塩写真がくっついてしまったら無理に剥がそうとせずに水に沈めれば自然と剥がれるそうです。
ガラスの額縁は退色に良くないのか
例えば遺影写真なんかだと常に見える状態で飾られますから光も当たるんですよね。
だから光に注意するといってもどうしようもないわけです。
そして普通のガラスは光も、その中の紫外線もよく通しますから退色の対応はかなり難しいです。
ただそれでも少しでも改善される方向でということなら、普通のガラスをアクリルガラス(有機ガラス)に変更するという対策があります。
実はアクリル樹脂は通常のガラスと比較すると紫外線カット率がかなり高いです。
どれくらい違うかというと、普通のガラスの紫外線カット率は約30%であるのに対し、アクリルガラスは90%以上になります。
紫外線カット率が高いからどれくらい退色しにくいのかというのは明確には言えませんが、退色を防ぐ方向になることは間違いありません。
ガラスと比較するとキズは付きやすいですが軽くて割れにくいので使い勝手もいいみたいです。
写真をガラスの額縁に入れていては退色は防げない?
ここからは技術者としての本音をお話します。
まず写真の扱いなんですが昔とは全然変わっていますよね。
昔は1枚の写真がとても貴重でした。
撮影するフィルムも高かったし現像して手元に写真として戻ってくるまでに日数もかかりましたし費用も結構必要でした。
しかし今はデジカメやスマホで簡単に写真がとれます。
写真屋に持っていって現像してもらわなくてもパソコンとインクジェットプリンタがあれば簡単にプリントアウトできます。
写真はデータとして保存できますからいつでも自宅でプリントアウト出来るようになったわけです。
つまり、技術の進化によって美しい状態の写真が何度でも再生できるということ。
飾っている写真の退色防止は難しいですが、遺影の写真でも退色してきたと思えばインクジェットプリンタで写真印刷すれば初期のレベルの写真になる。
もちろん1枚の写真をいい加減に扱っても良いという話ではありません。
写真や印刷を長持ちさせたいならインクジェットの場合は染料タイプではなくて、コストは高くなりますが顔料タイプを選択すれば退色に関しては長持ちします。
印刷の綺麗さを犠牲にしてもよければ、通常の染料タイプのインクジェットプリンタのインクよりもカラーレーザープリンタのトナーの方が退色はしにくいです。
こういうことを理解した上で、データを大切に保管しておいて写真は汚れてきたり退色してきたら新たに印刷して取り替えるというのが現実的ではないかという提案です。
一枚しかない貴重な古い写真なんかもスキャンしてデータで残しておけばそれ以上退色することはありませんから、そういう現実的な方法で残していく対策も出来ますよね?
写真には思い出を蘇らせる力がありますから出来るだけ大切に扱いたいし長持ちもさせたいのは当然のこと。
その上で技術の進化は前向きにありがたく使わせてもらうのが良いんじゃないかと思っています。