引張と引裂の違い。紙の場合は引っ張るか引き裂くかが違う?

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引張 引裂

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、引張と引裂の違い。
紙の場合は引っ張るか引き裂くかが違う?
というお話。

引張と引裂はなにが違うのか?

これはさすがに読んで字のごとく
引っ張るか引き裂くかが違う。

試験方法としてはですが。

ではなにを表しているのか?

もちろん紙の強度。

強ければ紙が切れにくい。

それはそうなんですが引張や引裂を見て
管理人が何を考えていたのか?

元製紙会社社員の視点でお話しようかなと。

ということで。

この記事では、引張と引裂の違い。
紙の場合は引っ張るか引き裂くかが違う?
について

管理人が思うところを
お伝えしたいと思います。

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引張と引裂はどちらを重要視するのか?

管理人の経験から言うと。

品質管理という点ではどちらも重要。

なんですが。

管理人が長く担当した印刷用紙では
これらの品質はそこまで重要じゃない。

余程薄い紙なら問題になりますが
一般的な紙で問題は起こらない。

そうですね、コピー用紙よりも
厚い紙なら全く気になりません。

基準値も〇〇以上と言う決め方が多くて
普通に製造すれば条件に入るようになる。

そもそもそういうふうに設定します。

しかし操業性という点では
引裂強度が意外と重要です。

一般的な洋紙の場合は巻取を
生産しますから断紙が問題。

手すき和紙のように一枚一枚
製造するなら別でしょうけど。

まあとにかく紙を切りたくない。

それで。

紙を巻取で製造するときに
重要なのは引裂強度なんです。

引張強度も重要なんですけど
それ以上に引裂強度が気になる。

管理人が教えてもらった限りでは。

紙が切れるときに引っ張りすぎて
切れるというのはほとんどない。

引っ張りすぎないようにロール速度の
調整が出来ていれば切れないらしい。

逆に言うとそれが出来ていないと
どんなに強い紙でも切れます。

機械の力で引っ張れば切れますからね。

現実にはその調整が出来ないと
紙の製造はまともにできません。

なので引張強度はあまり気にしない。

で、断紙で一番怖いのはエッジの傷。

紙が走っている両端のどこかに
傷があるとあっという間に切れる。

調味料の小さな袋に切れ目があって
そこから簡単に切れるのと同じ。

このときに引裂強度が強いと
多少なりとも切れにくい。

引き裂く力が強いわけですから。

なので紙が薄いほど引裂を気にしてました。

これは輪転機でも同じこと。

引裂強度が低い紙は断紙しやすい。

印刷速度を上げるとすぐ切れてしまう。

印刷中に断紙するのは最悪で
製紙会社にはクレームが来る。

印刷速度を下げて印刷すれば効率が悪くなる。

そういうことで引裂強度は
そこそこ重要なんですね。

ただまあ、これは薄い紙の
巻取印刷で気にすることで

そこそこ厚い紙とか枚葉印刷で
気にすることはありません。

印刷用紙はこんな感じで引張と引裂なら
引裂が気になるかなということです。

そうそう。

抄紙段階では引裂が重要と言いましたが。

実は縦方向に引っ張ったときの
「伸び」も断紙には重要です。

全く伸びない紙は各ロールの速度が
微妙に変わったときに切れてしまう。

しかしいくらかでも紙が「伸び」れば
微妙な変動を吸収するんですよね。

ハンドルで言えば遊びのようなもの。

硬くて強い上質紙より伸びやすい
新聞のほうが切れにくかったりする。

引張や引裂とは関係ない話ですけどね。

それからもう一つ。

引張強度、引裂強度とも縦横があります。

引張は縦が強い。

引裂は横が強い事が多い。

繊維の並びがそうさせるわけで。

この中で気にしていたのは引裂の横
ということになりますね~

引張と引裂の違い。クラフト紙や段ボールは?

引張と引裂の違いなんですが。

クラフト紙や段ボールはどうなるのか?

管理人、クラフト紙は詳しくないんですが
引張も引裂も重要なんだと思います。

米袋とかセメント袋は破れたら終わるので。

同じように段ボールはどうかというと
管理人、あまり気にしてませんでした。

正確には段ボールに使うライナーですが。

ライナーで気にしていたのは圧縮強度。

段ボールって引っ張られることは
まず無いと思うんですよね。

しかし積み上げられるので圧縮強度は重要。

破裂強度も気にしてた気がします。

とはいえ、段ボールの場合は結局は
他の紙との組み合わせになるので

自社の製品だけが問題になる
というわけではありません。

正直言うと強度が不足するなら
もっと厚い紙を使えばいいだけ。

引張も引裂も気にしたことは
なかったかなと思いますね~

管理人のまとめ

今回は引張と引裂の違い。
紙の場合は引っ張るか引き裂くかが違う?
というお話でした。

引張と引裂は全く違います。

紙の場合、引張は紙を引っ張って
ちぎれるまでの強度のこと。

引裂は紙を引き裂くときの強度。

どちらも紙の強度の指標として
重要な試験項目ではありますが。

管理人が実際に製造するときに
気にしていたのは引裂強度。

断紙を防ぐには引裂が重要なので。

引張強度は普通に製造していれば
問題になることはなかったですね。

紙の場合、引張強度を上げるなら
米坪を増やすくらいしかない。

あとは視力増強剤の添加か?

コストを考えると米坪を
上げたほうがお得だったか?

薬品の添加は別の問題を起こすので
あまりやらなかった記憶があります。

いずれにしても。

引張と引裂は全く違うもの。

紙の基本物性ですがこれらは
クリアしていて当たり前。

なので実際にはあまり気にしていなかった。

管理人はそんな感じでしたね~

この記事が、引張と引裂の違いの
参考になればと思います。

引張も引裂も紙の重要な指標です!

(参考)
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プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
>>https://kamiconsal.jp/profile/

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