紙の波打ちはなぜ起こる?湿度変化でパルプ繊維が動くから!

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紙 波打ち

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、紙の波打ちはなぜ起こるというお話。

紙の波打ちってご存知でしょうか?

普通に生活していたらあまり
見かけないかなと思います。

あるとしたら雨降りの日に
コピーをしたときですかね。

あまり湿度が高いとコピー用紙が
カールしたり波打ったりしますから。

波打ちというのは読んで字のごとく
紙が波打っている状態のことです。

管理人は元製紙会社社員ですから
紙の波打ちもよく見ました。

特に平判(一枚一枚カットしているもの)が
積まれているときに見た記憶がありますね。

湿気が多い環境だとどうしても
波打ちが起こりやすいものでした。

ではなぜ波打ちが起こるのか?

ということで。

この記事では紙の波打ちは
なぜ起こるかについて

管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。

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紙の波打ちは吸湿で起こる

結論から言うと、紙の波打ちは
吸湿で紙が伸びたときに起こります。

平判を積み上げている場合だと
紙がカットされていますから

辺の部分が吸湿しやすくて
真ん中は吸湿しにくい。

そのため、辺の部分で紙が伸びて
余分に伸びたところが波打つわけです。

一般的に紙の水分率は6-7%程度に
調整されているんですが雨降などで

部屋の湿度が70%とか80%とか
高湿度になると吸湿するんですね。

だいたい、紙の水分率は湿度50%程度で
普通の状態になるようにしてますから。

そのため、極端なことをやればどんな
紙でも吸湿して波打つんですけど

それほど大きな湿度変化もないのに
波打つ場合もあるんですよね~

クレームになりますけど。

そうなってしまったらその紙は
印刷用紙に使えないので

損紙として古紙処理される
ということになってたと思います。

お客さんには金銭保証するか
現物差し替えして対応してましたね。

ではなぜ普通の環境でも
波打つ紙が出てくるのか?

ちょっと技術的なことを
お話したいと思います。

紙の波打ちはプロファイル不良

管理人の経験ではほとんどの場合
波打ちの原因はプロファイル不良でした。

ここでいうプロファイルというのは
紙の均一性みたいな意味です。

たとえば。

幅方向の米坪のプロファイルと言えば
紙の幅方向で同じ米坪なら良好

ところどころで重かったり軽かったりすると
プロファイル不良ということになります。

手作業で実験的に確認するときは
巾が3mの紙が出てきたとすると

その紙を幅方向に8等分とか16等分して
該当場所を切り取って米坪を測定する。

そのときの重さの違いを確認する。

そういう作業をしていましたね。

このプロファイルの試験項目には
いくつかの種類がありました。

代表的なものは米坪、紙厚、水分、灰分。

シワ、たるみ、波打ちなどのクレームは
だいたいこういうプロファイル不良が原因。

試験しても明確にならない
ということも多かったですけどね。

今お話したのは手作業での確認ですが
クレームで現物が返却されれば

そういう試験もできるんですが
使われてしまっていたらそれは無理。

ただですね、今の抄紙機にはほとんで
BM計という測定機械があります。

これが常時米坪、紙厚、水分、灰分、
色調などを測定しているんですよね。

だから問題が合った製品のロットNoが
明確になっていたら該当箇所を

トレースして確認することが
出来るようになっています。

データは全部コンピュータに入るので
プロファイルチャートなんかも出てきます。

なのでそれを見て、「ああでもない、
こうでもない」と分析をしてました。

言い訳を考えていたとも言いますが。

多くの場合はそんな異常は見当たらず
ユーザーが悪いとか言ってましたね。

それでも営業サイドでは
金銭補償してたと思いますけど。

紙の巻取りのプロファイル確認にシュミットハンマー

ここからは余談です。

紙の波打ちはプロファイル不良が
原因ということが多かったんです。

幅方向のプロファイルが悪いと
巻取りの状態も悪くなるんですよね。

部分的に厚みが違うとキレイに
巻き取ることが出来ませんから。

ちょっと厚いところは筋状に
膨らんでしまったりするわけです。

そういう状態を確認するときにシュミット
ハンマーというのを使ってました。

今は使ってるかどうか分かりません。

こんなやつです。

 

FUYINコンクリートテストハンマー シュミットハンマー コンクリート強度検出器 コンクリートリバウンドテスター プレート/梁/柱/橋梁用10~60Mpa

 

本来は土木用でコンクリートの
強度試験に使うものです。

しかしこれを紙の巻取りの
硬さ測定に使ってました。

この機械、先端を巻き取りに押し当てると
機械的に先端が引っ込んでその反動で

どの程度の硬さか分かる
という道具だったんです。

しかし。

なかなかに人を選ぶ測定器で正しい
数値を出すには結構コツが必要。

正直、出張先で使ったりもしましたが
いい加減なもんだなと思ってましたね。

クレーム対応で印刷屋さんに行ったとき、
遠い工場からわざわざ技術者が

来ましたというアピールに
ちょうどいい感じでしたけど。

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管理人のまとめ

今回は、紙の波打ちはなぜ
起こるのかというお話でした。

結論から言うと、環境の湿度が
高くなると波打ちが起こりやすい。

それでその原因は紙のプロファイル
不良の場合が多いということでした。

印刷用紙に限らず、シワ、ダブリ、波打ち
などが起こるとだいたいクレームになる。

工場では相当神経を使ってプロファイルを
調整していましたが完全ではなかったですね。

今はプロファイルの厚薄が無くなるように
幅方向を部分的に濃度コントロールする

機械に改造しているでしょうからプロファイル
不良も減っているのではないかと思います。

管理人が技術者だった頃のクレームの
半分くらいはこのプロファイル問題でした。

その当時に居間のような技術が
普及していればと思いますね~

この記事が、紙の波打ちの
参考になればと思います。

湿度の高いところでの紙の
保管には注意して下さいね!

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