紙の重さと厚さの関係。会社のパンフレットに使われるのは?

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紙の重さ 厚さ

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は紙の重さと厚さの関係について。

たとえば。

会社のパンフレットを作成するが
一般的にどんな紙が使われるのか?

この紙の米坪と紙厚の関係は?
というような場合なんですが、

米坪127.9g/㎡、紙厚105μm程度の
A2コート紙が多いということになります。

これで薄く感じるなら米坪を上げて
157g/㎡にする、という感じです。

紙は重くなれば厚みも厚くなる。

当たり前ですよね。

ただし、これは同じ品種の場合。

同じ米坪の上質紙とコート紙だと
通常上質紙の方が厚くなります。

また、上質紙と中質紙だと
中質紙が厚くなります。

これは使用されるパルプの種類、
塗料を塗工しているかどうか

平滑にするためにカレンダーで
どれだけ圧縮しているかというような

条件が変わってくるから
このような違いが出てくるんです。

また、製造するマシンでも
状況が変わります。

だから同じ上質紙でも会社が違うと
米坪と紙厚の関係も微妙に変わります。

 

それからスタンダードな品種だとしても
JISで規格が決まっているわけではない。

各社が独自に規格を決めています。

紙厚の許容範囲はありますが、
絶対遵守というわけでもありません。

極端な話、ユーザーとの合意があれば
紙厚を厚くするために、米坪60g/㎡の紙を

米坪50g/㎡ですということにして
販売しても構わないわけです。

製紙会社としては大損ですが、
相手によっては有り得る話なんですね。

その銘柄単品では大赤字でも
会社の取引としては黒字とかですね。

こんな感じで紙の重さと厚さの関係は
単純なようで以外に複雑だったりします。

ということで。

この記事では、紙の重さと
厚さの関係について

管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。

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紙の重さと厚さの関係は常に同じではない

先程お話したとおり、紙の重さと
厚さの関係は意外に複雑です。

管理人の経験では嵩(かさ)のある紙を
開発して欲しいというのがありました。

嵩のある紙というのは、米坪は軽いが
厚さはある紙ということです。

ユーザー側からするとコストダウンということ。

日本では紙は重量で取引されますから
紙が軽くなればそれだけ支払いが減る。

kg単価というのは変わらなくても
軽くなって面積は同じですから。

これまでは紙を100kg購入していたところ
90kgで済むようになるという感じです。

製紙会社としても原料が減るから
コスト削減になるじゃないか

という理屈にはなるんですが
現実にはそうはいきません。

そもそも、米坪というのは
紙厚や強度と相関があるわけで

これを変更して紙厚を維持するのは
どこかに無理が出てくるわけです。

たとえば、紙厚を出すために
平滑を下げるとします。

何が起こるかというと
表面性がラフになります。

そうすると印刷上がりが悪くなる。

これでは本末転倒なわけです。

米坪を軽くして品質が維持できなければ
不良品を売ることになるわけですから。

 

ただ、中質紙のように白色度が低めの
紙の場合は細工のやりようがあります。

中質紙の場合は複数の
パルプを使用していますので

パルプ配合を調節して、紙厚の出やすい
パルプを優先して使うということです。

具体的には化学パルプ、機械パルプ、
古紙パルプを使用していますから、

嵩が出やすい機械パルプを
増やすという感じですね。

ただしこれも限界があり
若干嵩が出るという程度です。

そもそもそんなに嵩が出るなら
設計時にやってますから。

結構無理難題だったと思います。

最終的に、目付け(設定以上の米坪にする)で
対応することが多かったですね。

メーカーとしてはずいぶん損したと思いますが
それでも仕事が必要だったのでしょう。

無理やりやってましたから。

 

その他の嵩を出す方法としては
内添填料をできるだけ減らすとか

嵩高剤という薬品を使うとか
そういう事もやってました。

内添填料は減らしすぎると
不透明度や表面性、

それから紙のしなやかさなどに影響が
出るのでむやみには出来ません。

嵩高剤は薬品費がかかるので
嫌がられてましたね。

効果もよくわからなかったので
管理人のいたときは不採用でしたが。

紙の重さと厚さの関係

ここからは元製紙会社社員としての
管理人の本音をお話させて下さい。

ここまでお話してきたとおり紙の重さと
厚さには狭い範囲で相関関係があります。

実は紙の品質設計をするときに
米坪が何g/㎡だったら

紙厚はだいたい何μmになるという
計算は比例計算でやってました。

目標となる米坪に近い紙の
紙質試験データを参考に

単純な計算をして予測を立てる
という感じでしたね。

管理人のレベルでは理論的な
難しい計算をしても分からないので

これとこれの米坪の間にあるから
だいたいこのくらいの紙厚だろうという感じ。

そんなやり方でもそこそこ当たってました。

もうずいぶん昔の話です。

当時はロータス123という表計算ソフトで
そんなシミュレーションをやったものでした。

計算の精度は低かったでしょうが
マシンの調子も一定ではなかったので

そのレベルでちょうどいい
ということだったのでしょう。

管理人のまとめ

今回は、紙の重さと厚さの
関係についてのお話でした。

結論としては、紙は重いほど厚くなる。

銘柄が同じで米坪が近ければ
比例関係になっているということでした。

狭い範囲でのみ成立するということです。

色々な品種の米坪と紙厚の関係は
ネットを見ればたくさん出てきます。

これらは代表値であり保証値ではない
ということになっていると思いますが、

全くそのとおりで、一枚だけ紙を入手して
規格通りになっているという保証はありません。

特に厚い紙ほどばらつきも大きくなります。

パルプ品質も常に一定とは限りません。

だから紙厚を合わせるために米坪を
調整するということはよくあること。

品質の安定性というのも
メーカーによって違うんですね。

紙は工業製品ですから
品質の安定はとても重要なこと。

同じ品質のものを製造し続けるのが
実は一番重要で難しい技術だったりします。

この記事が紙の重さと厚さの
関係の参考になればと思います。

印刷物の厚み、たまには
注意してみて下さいね!

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