この記事は約 7 分で読めます。
管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、クラフトリグニンの使い道!
接着剤、分散剤、紫外線吸収剤?
というお話。
管理人もリグニンのことは知ってます。
製紙会社からするとなかなか厄介なもの。
特に白い紙である上質紙やコート紙の
製造を考えると不要なものなんですね。
だいたい、木材が茶色いのは
リグニンが着色しているため。
最初からリグニンが入っていない
木材があれば漂白なんて不要になる。
まあそれでは木材ではなく
草になるかもしれません。
リグニンがあるおかげで木材が
固くて丈夫というのがあるので。
いずれにしても。
このリグニン、取り扱いがなかなか面倒。
化学組成も複雑で高分子化合物
というのがいいんでしょうか。
セルロースのように高分子でも
単一組成なら使いやすいんですが
リグニンは色んな化学物質が
混合している感じになっている。
含まれる成分を分離抽出するのも難しい。
しかもそれが安定しない。
なので、現状ではボイラーで燃やして
エネルギーにしているわけです。
でもそれはもったいない!
なんとか有効に使えないか?
というのがクラフトリグニンの
研究になるようです。
ということで。
この記事ではクラフトリグニンの使い道!
接着剤、分散剤、紫外線吸収剤?について
管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。
クラフトリグニンの使い道は意外と多い
クラフトリグニンは紙の製造では
不純物として燃やされます。
ではこれを精製すれば何に使えるのか?
日本製紙HPによると。
==ここから==
想定される用途
フェノールとしての反応性を活かした、接着剤や樹脂、活性炭、ウッドプラスチックコンポジット、農業用マルチフィルム(シート)、紫外線吸収剤(日焼け止め)などを想定しています。
==ここまで==
ということだそうです。
リグニンは高分子でベンゼン環が
たくさんくっついているんですよね。
性格にはフェノール基になりますか。
フェノール基は反応性が
あるのでこれを利用する。
接着剤、分散剤、樹脂、紫外線吸収剤などが
候補としてあるみたいです。
管理人でも思いつくのは接着剤、
樹脂、紫外線吸収剤でしょうか。
リグニンは木材の中では
セルロースの接着剤。
これは相当に強固なものです。
背の高い樹木が立っていられるのは
このリグニンのおかげといっていい。
それだけ強い接着剤だということです。
それから樹脂ですけど。
昔からフェノール樹脂は
実用化されていますから
それと同じようなやりかたで
リグニンも樹脂にできるのでは?
また用途としても似たような感じで
使うことができるのではということ。
そうそう、フェノール樹脂の
別名はベークライトになります。
合成樹脂としては最初に出来たもの。
植物由来のセルロイドの次だとか。
そして今でも電子基板なんかに使われる。
リグニンもこういう応用ができれば
使い道が広がる感じがしますね。
あとは紫外線吸収剤ですか。
リグニンはそもそも茶色いので
光をよく吸収すると思いますが
リグニンの持つ多数のベンゼン環が
光をよりよく吸収するのでしょう。
元々木材ですから光に弱いわけはない。
ただ、着色しているので用途は
かなり限定されるでしょうけど。
クラフトリグニンの使い道。問題はコストか?
ここからは管理人の推測ですが。
クラフトリグニンの場合は
化学的組成が安定しているのか?
まずはそれが気になります。
それからコストですよね。
元々ボイラーで燃やしていたものなので
原料としては無料みたいなものですけど
それを使える状態にするのに
結構な労力がかかるはず。
クラフトパルプの場合はその製造工程が
かなり洗練されてあまり無駄が出ない。
今回のリグニンも紙には使えないので
ボイラーで燃やしてエネルギーにする。
という仕組みができている。
その工程からクラフトリグニンとして
わざわざ取り出すことになるわけです。
製造側からするとクラフトリグニンように
抜き出してくる管理項目が増えるかなと。
そう思うと原料の供給には困らなくても
工程が増えてコストがかかるところが
うまく行くのかなと思いますね~
管理人のまとめ
今回はクラフトリグニンの使い道!
接着剤、分散剤、紫外線吸収剤?
というお話でした。
紙はセルロースから出来ていますから
木材に含まれるリグニンはいらない成分。
機械パルプの場合はこれも使いますが
化学パルプだとボイラーで燃やすだけ。
エネルギーにはなりますが。
でもそれがもったいないので
なんとか活用したいんですよね。
それでクラフトリグニンが
研究されているということ。
ただこれは相当に難しい。
使い道は接着剤とか分散剤、
樹脂、紫外線吸収剤など。
これらに使えるとわかっても用途と
コストが合うか、とかが難しい。
リグニンの活用は昔から研究されてますが
簡単ではないという気がします。
なんとかうまくやってほしいですね。
この記事がクラフトリグニンの
使い道の参考になればと思います。
クラフトリグニン、
うまく使えるといいですね!
(参考)
こんな記事も読まれています。
紙でリグニンが取り除かれる理由?退色や劣化を防ぐためです
⇒https://kamiconsal.jp/kamirigunin/
紙の化学式は?主成分のセルロースなら(C6H10O5)n
⇒https://kamiconsal.jp/kamikagakusiki/
紙のフリーネスとは?叩解度は品質にどんな影響を与えるのか
⇒https://kamiconsal.jp/kamifreeness/