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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、苛性ソーダの
取り扱いについてのお話。
苛性ソーダと紙なんて関係ない
と思うんですがそうでもないんです。
苛性ソーダ自体は工業的に大量に
使用されていますが紙でも同じこと。
実は製紙産業でも大量に使用しています。
苛性ソーダって危険薬品ですけど
製紙では身近な薬品でもある。
気をつけないと怖さを忘れるんですよね。
ということで。
この記事では苛性ソーダの
取り扱いについて
管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。
苛性ソーダの取り扱いについて
苛性ソーダと一口に言っても
使用量によって注意点が違います。
管理人の経験したところを
少しお話してみます。
苛性ソーダをローリーで扱う
これは苛性ソーダのタンクに
ローリーで搬入する感じですね。
このレベルだと専門の運搬業者が
直接搬入してたと思います。
余程のことがない限り危険は
少ないように思います。
まあ、手袋をしたりゴーグルをしたりと
それなりの設備と装備をやりますからね。
苛性ソーダをポリタンクで扱う
個人的に危険を感じるのはこれです。
濃度の高い苛性ソーダを薄めて
ポリタンクに移し替えるとかですね。
管理人は技術者で実験もしましたから
このレベルの取り扱いが多かった。
それで何が怖いって苛性ソーダが
跳ね上がって眼に入るのが怖い。
化学系の勉強をした人には常識ですが
アルカリは人間の皮膚を溶かします。
だからもしも皮膚についたら大量の
流水で洗わないといけない。
濃度の高いアルカリは当然怖いんですが
実は濃度が薄くなっていても怖いんです。
皮膚がただれてやけどのようになるとか
そこまでひどいことにはならないんですが
濃度が薄いと皮膚についたことに
気が付かないことがあるんですね。
それが手の指ならまだいいんですが
最悪は眼に入ったときなんです。
管理人はアルカリで眼を
やられたことはないんですが
アルカリは眼の角膜を
溶かしてしまうんですよね。
タンパク質ですから。
そんなところに穴が空いたら
と思うとゾッとします。
最悪は失明です。
それで怖い怖いというのは
アルカリ濃度が高いときは
ちょっとでも目に入れば痛いので
必死で水で洗い流すと思います。
しかし、濃度が薄いときはあまり
気にならないのでいい加減にやる。
しかし、そのときにアルカリが
眼の中に残っているとやばい。
知らない間にじわじわと
角膜を溶かすというわけです。
まあ、実際には涙も出るし
そうはならないんでしょうけど。
しかし、軽く見ていると
怖いことになるのは確か。
苛性ソーダをポリタンクに
移し替えるときに液が跳ねるとか
知らない間に苛性ソーダを素手で
触っていてその手で目をこするとか。
こういうのってないとは言えない。
だから、最新の注意を
払うべきだと思います。
苛性ソーダをポリビンで扱う
管理人は薄めた苛性ソーダを
ポリビンに入れて使ってました。
実験するときですけどね。
濃度で言うとせいぜい10%程度。
それでも結構気を使ってましたね~
さすがにポリビンレベルでは
ゴム手袋とかゴーグルとか
そこまでキッチリはやりませんでしたが
アルカリが手につくとすぐに洗ってました。
そうそう、苛性ソーダはガラスを
溶かすのでガラス瓶はダメなんです。
ビンの口がすりガラスになっている
ガラス瓶に苛性ソーダを入れるとか
そういうことをやると最悪で
すりガラスが溶けてしまいます。
下手をするともうビンの口から
栓が抜けなくなってしまいます。
一般的には保管はポリビンですよね。
苛性ソーダと製紙工程
苛性ソーダの取り扱いについて
これまでお話してきました。
とにかく危険薬品なので皮膚に
つかないように気をつけることと
もしも付いたらすぐに洗い流す
というのが重要ということでした。
ところで。
実は製紙工程で苛性ソーダは
大量に使われています。
ではどこで使われるのかと言うのを
管理人の経験でお話したいと思います。
苛性ソーダとパルプ製造工程
まずはパルプの製造工程。
これは、化学パルプ、古紙パルプの
製造工程で使うんですよね。
化学パルプの場合は蒸解と言って
チップをパルプ繊維にする工程ですが
ここでチップを高温のアルカリ水の
中で煮るということをやります。
こういうことをしてチップから
リグニン分を抽出して
セルロースのパルプを
取り出すんですよね。
化学パルプ製造工程の最初の
ところで使われているわけです。
基本的にクラフトパルプの製造は
薬品のリサイクルをしますので
苛性ソーダも相当量が再利用
されていることにはなりますが。
それから、古紙パルプ。
これも最初のところで
苛性ソーダを使います。
古紙を離解するときにアルカリ水に
古紙を投入して離解するんですね。
ここでも大量の苛性ソーダが使われます。
苛性ソーダは原料になるわけではないですが
パルプ工程で大量に使われています。
苛性ソーダと抄紙工程
苛性ソーダは抄紙工程でも使われていました。
何に使われていたかと言うと
マシンの洗浄ですね。
原料系で苛性ソーダを添加する
というのはなかったと思いますが
マシンが汚れて洗浄するとき配管や
マシンは苛性洗浄してました。
原料タンクの中とか、
ピットの中もやってたし
ワイヤーやフェルトなんかも
苛性洗浄してましたね~
濃度は薄かったんですが
苛性ソーダのミストは飛ぶ。
みんな慣れっこになっていて
気にもせずに使ってました。
大掛かりな掃除をするときは
ゴーグル付けて合羽も着てましたね。
ここでも結構な量を使ってました。
苛性ソーダと塗料調薬
あとは塗料の調薬ですね。
塗料の調薬というのは
塗料作成ということです。
コート紙の塗料の原料となる薬品の
顔料やバインダーを混ぜるときに使う。
実は水性の塗料というのはPHが
結構重要になってきます。
一定のPHにしないと塗料の
流動性が変わってくる。
管理人の関係していた塗料は
だいたいPH8前後でした。
弱アルカリですね。
だいたいはバインダーの性質で
このPHをどの程度にするか決めますが
そのときにアルカリにするために
苛性ソーダを添加していました。
塗料をアルカリにするために
アンモニアを使うこともありました。
いずれにしても塗料のPHを
コントロールするために使う。
これについてはパルプや抄紙のように
大量に使うわけではありませんでしたが
それでも大きな工場で大量の塗料を
作るので結構な量使ってましたね。
管理人はコート紙の実験をすることも多く、
PH調整のアルカリよく使ってました。
でも今思えば結構危険なことを
気にせずやってたなと思いますね~
管理人のまとめ
今回は、苛性ソーダの
取り扱いのお話でした。
苛性ソーダは危険薬品ですから
取り扱いには注意が必要。
特に皮膚を溶かしてしまうので
手についたらすぐに洗う。
眼に入ると最悪なので
ゴーグルなどをしておく。
苛性ソーダはガラスも溶かすので
保管するならポリタンクやポリビン。
というような感じですね。
また、製紙工程では苛性ソーダは
多くの工程で大量に使われます。
クラフトパルプ、古紙パルプ、
抄紙マシンの洗浄、塗料のPH調整。
日常使用する薬品なので
危険性を忘れがちなんですが
どこまで行っても危険薬品ですから
装備を万全にして取り扱うべきです。
少量だからとか濃度が薄いからと
いい加減な扱いをしていると
眼に入って角膜が溶けていたとか
そういうことがありますからね。
十分注意して使用して下さい。
この記事が、苛性ソーダの
取り扱いの参考になればと思います。
苛性ソーダ、本当に注意して下さいね!