白紙光沢と印刷光沢の違いとは?印刷前後のツヤのことです!

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白紙光沢 印刷光沢

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、白紙光沢と印刷
光沢の違いというお話。

白紙光沢と印刷光沢の違いは
白紙の状態での光沢度と

印刷後の印刷部分の光沢度
ということになります。

管理人は元製紙会社社員で
コート紙の担当をしたこともありますが

コート紙は光沢、英語ではグロス、
これが重要なんですよね。

光沢は印刷の見栄えを左右しますから。

もちろん印刷内容によるんですが、
多くの場合はツヤがある方が良い。

白紙の状態でも光沢は高いほうが良いし
印刷物の光沢も高いほうが良い。

それに白紙光沢が高ければ
印刷光沢も高くなります。

なかには高級品の印刷で白紙光沢は
低くして印刷光沢は高くするという

ダルアートのような紙もありますが
それは特殊で高級な用途になりますね。

普通は白紙光沢も印刷
光沢も高いほうが良い。

少なくとも印刷光沢が低い方が
いいと言う用途はないでしょう。

いや、ひとつだけ思い当たるのが
ありますけどここには書きません。

それはそうとして。

白紙光沢と印刷光沢の違いとか
その品質設計はどうなのか。

ということで。

この記事では白紙光沢と
印刷光沢の違いについて

管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。

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白紙光沢と印刷光沢の違いは印刷前後の光沢度

結論から言うと白紙光沢と印刷光沢の
違いは印刷前後の光沢度になります。

白紙光沢というのは文字通り
白紙の状態の紙の光沢度。

印刷光沢というのは印刷
部分の紙の光沢度のこと。

光沢度というのは光沢度計とか
グロスメーターというので測定します。

こんなやつですかね。

 

ポータブル三角度光沢計(グロスメーター)。建材、プラ、人工皮革の光沢測定に[HP-380]

 

据え置き型とかハンディ
タイプとか色々ありますね。

簡易タイプでもそこそこ精度があって
ユーザー訪問のときに使ったりしました。

白紙光沢は入射角度、反射角度
とも75°で測定してたと思います。

コート紙の場合はですけど。

印刷光沢はこの角度が60°ですかね。

印刷インクが乗るとその分表面が
なめらかになって光沢が出やすい。

光沢度は入射角度が大きいほど
大きくなって小さいほど小さくなる。

なので印刷光沢は60°で
測定ということでした。

キャストコート紙のように非常に
光沢度の高い品種の場合は

角度を20°とかに変更して
測定していたと思います。

もし、キャストコート紙でも75°で
測定すると品質の差が出てこない。

それでは品質試験の意味がない。

なので、光沢度を測定するときの
角度は色々調整していました。

というか、試験の規格がそういうふうに
決まっていたということです。

白紙光沢の高い紙にするための塗料

ここからは専門的なお話です。

といっても古い知識ですけど。

それで。

白紙光沢の高い紙にするには
どんな塗料が必要なのか?

塗料がと言いましたが、その前に
まずは塗工量が重要です。

塗工量というのは塗料を何グラム
塗工するのかということですね。

単位としてはg/㎡で米坪と同じで、
1㎡あたりの重さになります。

当然ですがこれが多いほど
白紙光沢も高くなりやすい。

コート紙の品質設計ではここは
かなり重要なポイントでした。

紙全体としては原紙の米坪と
塗工量の合計が紙の米坪なので

とにかく塗ればいいというわけには
いかないということです。

予定の光沢度にならなくて塗工量を
増やすことはありましたが

それをやると製紙会社が
損をすることになります。

なので、紙厚などの品質設計との
バランスを見て塗工量を決める。

そのうえで、この塗工量でも
光沢が出るように塗料を考える。

そんな感じでしたね。

白紙光沢をアップする手段としては
塗料処方的には粒子の細かい

顔料を使うというのが第一番で
その他にはバインダーでしょうか。

光沢の出やすいバインダー
というのがあるんですよね。

紙塗工の場合バインダーというのは
主にスチレンブタジエン系ラテックス。

実際にはMMAやアクリルニトリルも
共重合させていましたけど。

ラテックスの形状も大抵は球状ですが
中には中空タイプなんかもありました。

カチオン系のデンプンを併用するとか
そういう塗料もありましたね。

このあたりは今ではかなり
様子が変わっていると思います。

管理人が担当していた頃は
バインダーの値段が高かったので

どれだけ減らすことが出来るかが
結構コストダウンで重要でした。

粒子径の小さい顔料を使うほど
表面強度が落ちてくるので

バインダーの量が必要になるんですが
それをするとコストが上がってくる。

結局、バランスを見て印刷に問題が
出ないと思われる表面強度になるように

バインダーを減らして粒子径の小さい
顔料も増やしすぎないようにする。

性能が出るならできるだけ安く
と言う感じでやってましたね。

それからなるべく紙表面のカバリングを
良くするために塗料濃度を上げるとか。

これも上げすぎると今度はコーターで
塗工しにくくなるので制約がある。

なかなか面倒なものでしたね。

塗料処方以外だとあとは水分率。

スーパーカレンダー工程で
蒸気を紙に当てるとかですね。

そうすれば紙が柔らかくなって
圧縮しやすくなるので光沢は上がる。

まあこれも限界があるので
必要に応じてやってた感じです。

印刷光沢を高くするための塗料

先程は白紙光沢についてお話しました。

しかしもっと重要なのは印刷光沢。

これがまたややこしくて白紙光沢が
高いほど印刷光沢は高くなるんですが

白紙光沢を高くするための塗料が
印刷光沢を上げる塗料ではないんです。

粒子径の小さい顔料をたくさん使うと
インクは沈みがちになるんですよね。

なので、最悪は白紙光沢はピカピカなのに
印刷光沢は沈みまくりになるわけです。

特に微塗工紙のような紙では
こういうことが起こりやすかった。

微塗工紙の場合は塗工量に制限が
あるので光沢を出すためには

なるべく粒子径の小さい顔料を
たくさん使う必要がある。

ところがそうすると印刷光沢が
全く出ないという事になってました。

安い紙なので品質が悪くても
あまり文句は言われませんでしたが

用途的にはチラシなどの
安いところにしか使われない。

技術者としてはちょっと
悲しい思いがありましたね~

印刷光沢を高くするにはある程度
粒子径の大きい平板な顔料を

使うのが良いんですがそうすると
今度は白紙光沢が出にくくなる。

結構悩ましいところでした。

バインダーはバインダーメーカーが
色々改善して持ってきてましたね。

白紙も印刷も光沢が出て表面強度も
高いやつをと、無理を言ってましたね。

最終的には色々妥協して
このくらいで、みたいな感じでした。

印刷光沢も塗工量を上げれば
上がるんですがコストが問題。

品質的に良いものを作りたいとしても
結局コストが高いと商品にならない。

最初の設定で良いものを作っても
そのうちコストダウンで悪くなる。

だからといって変更を認めないと
赤字になってしまうと言われる。

厄介なことだと思ってました。

今は改善されていると思いますが。

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管理人のまとめ

今回は、白紙光沢と印刷
光沢の違いというお話でした。

白紙光沢は白紙の状態の光沢度
印刷光沢は印刷部分の光沢度。

白紙光沢は入射光角度75°、
印刷光沢は入射光角度60°。

コート紙の場合はこういう
感じで測定してました。

光沢度は入射光の角度によって
数値が変わるんですが

入射角度が大きいほど光沢度(%)
の数値も大きくなるんですよね。

印刷後の方がインクが紙に乗っていて
平滑になるので光沢度が高くなる。

白紙光沢と同じ75°を使うと印刷光沢の
数値が大きくなって差異がよく分からない。

なので印刷光沢では入射角60°でした。

これは紙の品種によって
角度は変えてましたけどね。

一般的な試験の規格としては
こういう感じです。

そらから、白紙光沢と印刷光沢を
出すための塗料についても

一般的なところをお話
させていただきました。

白紙光沢を上げようとすると
印刷光沢が落ちるとか

塗工量を増やせばどちらも上がるが
コスト的に問題が発生するとか。

結局は技術革新がなければ
出来る範囲でバランスを取って

コストと品質に関して妥協して
良いところで手を打つ感じでしたね。

これは今でも同じだと思います。

全体的な底上げが出来たとしても
トレードオフの関係は変わらないので。

こんなことでも難しいと思いますね~

この記事が、白紙光沢と印刷光沢の
違いの参考になればと思います。

コート紙の印刷の違い、見て下さいね!

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