コミックの単行本。本文用紙は何の品種が使われているのか?

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コミック 単行本 本文用紙

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回はコミックの単行本の本文用紙に
何の品種が使われているのかというお話。

管理人はアニメはよく見ますが
漫画はあまり読みません。

理由は、漫画の本や雑誌を
買いはじめるとキリがないから。

気に入った漫画は単行本を揃えるので
すぐに部屋が一杯になってしまう。

アニメもDVDやブルーレイを買いはじめると
収集がつかなくなるので買いません。

お金もすぐに無くなるし。

嫌いだから買わないんじゃなくて
好きになるとキリがないから買わない。

自分でも困ったものだと思います。

それで、コミックの単行本の紙ですが。

実は種類はひとつではありません。

ちょっと考えれば分かりますが、
通常の白色の高い単行本と

愛蔵版と呼ばれるタイプと
ペーパーバックのような更紙では

当然脂質は違うわけで、
品種が一種類ということはない。

ではいったいコミックの単行本の
紙の品種はどうなるのか?

ということで。

この記事では、コミックの単行本に
使われる紙の品種について

管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。

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コミックの単行本の本文用紙はコミック用紙

結論から言うと、コミックの単行本の
本文用紙に使われる紙はコミック用紙。

なんだ、ということになりますが
それぞれのコミック用の特抄品です。

出版社は紙にこだわりますから
通常ライバル社と同じ紙は使わない。

自社用に作って下さい、となります。

コミックのように作品名が違っても
シリーズが同じなら同じ紙ですから

製紙会社としてもロットがまとまるので
特抄品を生産しやすいんですね。

それで、コミック用紙、紙の分類としては
中質紙になることが多いです。

愛蔵版のように保存を前提とした場合は、
経時劣化しにくい上質紙かも知れません。

もしくは、マットコート紙とか微塗工紙が
使われるかも知れません。

しかし、一般的にはマンガ本は
本が厚いほうが売れやすい。

ジャンプやサンデーのような
雑誌はそれが顕著なんですが

単行本も似たようなもので厚い本は
得した気分になるんですね。

ところが紙が厚いけど重いのは嫌、
だから嵩(かさ)の出る紙にしてくれ

というのがよく言われる話で、
そのための工夫をするわけです。

そうなると製紙会社としては
紙厚が出やすいパルプを使う。

そのパルプが機械パルプ。

これは木材を機械的に
すりつぶしてパルプにしたもの。

上質紙に使われる晒クラフト
パルプとはかなり性質が違います。

一番違うのはリグニンと呼ばれる
木材の成分が残っているところ。

この成分は茶色なので
白い紙には使いにくい。

しかし、リグニンが含まれていると
セルロース同士の結合が弱まるので

嵩が出やすいという特徴があり、
中質紙や更紙に使われます。

原料費としても化学パルプよりも
安くなるので使われるんですけど。

それで、コミック用紙は晒クラフトパルプと
機械パルプを配合した紙になるんですが

なるべく白く見えるように青い
染料を増やしたりしてましたね。

機械パルプを入れて白色度が下がるので
色目でごまかそうということです。

それから紙厚をアップしたいので
紙の表面はラフなものが多い。

平滑度を高くするとカレンダーの
圧力を上げないといけなくなるので

なるべく表面をラフにして
紙厚を稼ぐ感じでした。

その分、印刷ではかすれやすいとか
色々問題はあったと思いますが。

コミック用紙の白色度対策

先程、コミック用紙の白色度対策で
紙の色目でごまかすとお話しました。

それ以外では機械パルプの
漂白というのもアリました。

基本的に機械パルプは木材を
機械的にすりつぶすだけですが、

これに薬品を加えて漂白する
ということもやってました。

漂白には過酸化水素が
使われていたと思います。

家庭用の漂白剤でも塩素系とか
酸素系とかありますけど

これは過酸化水素なので
酸素系になるんですね。

茶色くなったシミを漂白するのと
似たようなものです。

パルプの漂白でいうと晒クラフト
パルプは塩素系漂白の感じで、

超強力な漂白になるんですが
こちらはもう少しマイルドですね。

ただし、大きく違うのは化学パルプは
リグニンを除去しているのに対して

機械パルプはリグニンを
含有しているということ。

機械パルプを漂白しても
リグニンが含まれたままですから

一旦白くなっても時間が経過すると
また色戻りする問題があります。

そのときは白いんですが
あとで黄色く変化する。

これが、暗いところに置いていても
あっという間に黄色くなるんです。

元の紙の色が白いほど
そのギャップは激しくなる。

管理人は、これではまるで
「たぬきの小判」だと思ってました。

こういうパルプを配合して
なんとか嵩を出そうとしてましたね。

コミックの単行本の紙も
なかなか難しいものでした。

管理人のまとめ

今回は、コミックの単行本の
品種についてのお話でした。

コミック本の本文用紙はコミック用紙。

基本的に中質紙に分類されます。

ただし、各出版社のシリーズごとに
特抄品になることが多く

各社各様の品質になっている
ということでした。

それとコミックは嵩が欲しいのも
機械パルプを配合する理由でした。

比較的色は白いですが
上質紙ではないので

経時変化で黄変化しやすいのも
コミック用紙の特徴になります。

この記事がコミックの単行本の紙を
考える参考になればと思います。

漫画、楽しんで下さいね!

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