雑誌のカラーページはめくりにくい!なぜペラペラなのか?

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雑誌 カラーページ

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は雑誌のカラーページは
めくりにくいというお話。

管理人が大学生の頃はバブル景気。

バブルは1986年から1991年の間
なんだそうです。

フラッシュとかフライデーなどの
写真週刊誌が創刊されたのもこの頃。

フライデーが1984年
フラッシュが1986年

だそうですから
バブルの気分の雑誌ですよね。

管理人はなんて派手な雑誌だ
と思ってました。

50代の男性なら一度は見たこと
あるんじゃないでしょうか。

管理人は出張のヒマつぶしで
見るくらいでしたが。

以前は勢いがあった写真週刊誌
最近は見ることもありません。

生き残ったのはこの2誌
ということみたいですね。

それでこの雑誌たちは
とにかくペラペラ。

内容も紙もそういう感じがしてました。

衝撃的な一枚の写真もありましたが
そうでもないものも多かった。

管理人にとってはですが。

それでこれらに使われている
紙ですが本当にペラペラですよね?

管理人は製紙会社に入社して
この紙がグラビア用紙だと知りました。

それにしてもどうしてこんなに
めくりにくいペラペラな紙を使うのか?

この記事では雑誌のカラーページが
めくりにくい理由について

管理人の体験を交えて
お伝えしたいと思います。

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雑誌のカラーページがペラペラなのはグラビア用紙だから

先程はたとえとして
写真週刊誌を取り上げましたが

写真の多い雑誌の場合
グラビア印刷されることが多い。

特にカラーページは。

グラビア印刷は印刷上がりが
繊細で高精細だから。

最近はオフセット印刷で
高精細なものがありますが

以前はオフセット印刷では
難しかったのでグラビアなんですね。

ここでグラビア印刷の方法を
簡単に説明させて下さい。

グラビア印刷は凹版印刷とも
呼ばれるんですが

版に小さな凹みを作って
そこにインクを入れて

そのインクを紙に転写する
という印刷方式になります。

たとえば凸版印刷なら
出っ張っているところに

インクを付けて
紙に押し付けるわけですが

凹版というのはそれとは逆に
へこんだところにインクを入れて

紙に押し付けて印刷する
というわけです。

凸版印刷だと紙を押し付けると
網点が太くなりやすいですが

凹版印刷だと紙がインクを吸い取る
感じになるので網点が太りにくい。

網点は写真で言えば画素のようなもので
小さいほど精細だということになります。

印刷物が文字だけなら網点とかは
あまり関係ないんですが

写真の場合は画素が小さくて画素数が
多いほうがキレイなわけですから

網点が太らないグラビア印刷の方が
好まれるということになります。

それでこのグラビア印刷に要求される
紙の品質特性が3つあります。

平滑性
クッション性
吸油性

この3つです。

この中でもっとも重要なのは
平滑性になります。

さっきお話したとおり
グラビア印刷は凹版ですから

その印刷方式は紙がインクを
吸い取る感じになるんですね。

ということは紙表面が平坦でないと
インクに接触できないわけです。

紙がデコボコしてたら
あるところにはインクが付くけど

あるところにはインクが付かない
ということになりますよね。

それでは網点が正確に転写できない。

だから平滑性が重要なんですね。

クッション性は機械パルプを増やすとか
吸油性は内添灰分を増やすとか

そういうことで対応するんですが
最も重要なのは平滑性。

そのために紙にスーパーカレンダーで
圧力をかけるんですね。

するとどうなるか?

当然ながら紙はペラペラになります。

内添灰分も増やすし水分率も上げて
とにかく平滑を出すために紙を潰す。

グラビア用紙はこんな感じで
製造するんですね。

結局グラビア印刷に対応するため
紙の平滑性を上げるから

あんなにペラペラの紙に
なってしまうということです。

ペラペラの紙がめくりにくい理由

グラビア用紙はとにかく平滑性を上げて
製造するからペラペラになるんですが

ペラペラの紙はなぜあんなに
めくりにくいのか?

まず紙にコシがないというのがあります。

パリッとしたところがないんですよね。

ちょっと触ってもふにゃふにゃしていて
どうにもつかみにくい。

それから平滑性が高すぎると
次のページとくっつきやすいです。

たとえばスーパーで買物をして
レジ袋に入れようとしているのに

くっついてなかなか開かない
ということがありますよね。

あれと似たようなことなんですが
表面がとても平滑な場合

紙と紙の間に空気が入らず
密着してしまうことがあるんですね。

ブロッキングとか言われますが
そうなるとページがめくれない。

そこまでひどくならないにしても
コピー用紙みたいな紙に比べると

平滑性の高すぎる紙は
かなりめくりにくいということです。

管理人のまとめ

今回は雑誌のカラーページがペラペラで
めくりにくい理由をお伝えしました。

雑誌のカラーページはグラビア印刷が多く
それに対応する紙は平滑性を上げる。

紙の平滑性を上げるために
紙に圧力をかけるのでペラペラになる。

ペラペラの紙はコシがなく
ブロッキングしやすいのでめくりにくい。

ということでした。

ペラペラしてコシがなくて
紙表面がネトっとしている。

そういうのはグラビア用紙が多いかなと。

とはいえグラビアは印刷上がりがいいので
これからも使われていくと思います。

グラビア印刷機を持っている印刷会社も
機械を遊ばせるわけには行かないので

ある程度は使わないといけないという
企業の都合もあるんでしょうけど。

この記事を読んで雑誌のカラーページが
グラビアだからめくりにくいという

理由を分かってもらえれば
書いた意味もあったかなと思います。

雑誌のグラビアページを見つけたら
こんなことも思い出して下さいね!

(参考)
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本の紙質
プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
>>https://kamiconsal.jp/profile/

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