漫画の単行本の紙はなにか?専用のコミック用紙が多いです!

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漫画 単行本

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、漫画の単行本の紙はなにか?
専用のコミック用紙が多いというお話。

管理人、漫画読みます。

単行本もそれなりに買いますね。

週刊誌はあまりにもかさばるので
買わないんですけどね。

実際のところは漫画よりもアニメ
を見ることのほうが多いですけど。

それはそうとして。

あの漫画の単行本、紙はなんでしょうか?

これも色々あるんですけど
基本的には専用の紙があります。

ということで。

この記事では漫画の単行本の
紙はなにかということについて

管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。

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漫画の単行本の紙はコミック用紙

結論から言うと漫画の単行本の紙は
専用のコミック用紙というのが多いです。

このコミック用紙、出版社というか
〇〇コミック、というのがあったら

それ専用の特抄品になって
いることが多いですね。

もちろん、一般品として製造することも
あるんですが特別に作ることがある。

たとえば、ジャンプコミックスだったら
メチャクチャ売れるわけです。

 

ONE PIECE 93 (ジャンプコミックス)

 

こんなやつに採用されれば
一般品なんて吹き飛びます。

1種類の紙で市販品の何倍も
生産することになりますから。

結局出版用紙というのは一発でも
ヒットしたらその方が量が多い。

売れない単行本が何百種類あっても
ワンピース1種類に全く勝てません。

だから製紙会社としても特別に
製造してくれと言われたら

分かりましたということで
受け入れるわけですよね。

数量が安定して売れるわけですから。

なので、漫画の本はコミック用紙ですが
各出版社ごとに紙質は違っています。

本を作る人はそういうのにこだわる。

他社よりもちょっとだけ白くしてくれとか
もう少し嵩(かさ)を出してくれとか。

基本的な感じは同じようでも
微妙な違いを要求されます。

電子書籍ならコンテンツ勝負でしょうけど
漫画本の場合は紙とか本そのものも重要。

そんなこと気にしなくてもというような
こだわりがやっぱりあるんですよね。

製紙会社としては品種は一つに
統合してもらったほうがいいんですが

お客さんの要求には応えないと
いけないのがツライところです。

漫画の単行本の紙の分類は中質紙

漫画の紙はコミック用紙なんですが
分類としてはなんでしょうか?

これは中質紙が多いですね。

もちろん本によっては上質紙とか
中質微塗工紙という場合もあります。

管理人が勤務していた頃はまだ
電子書籍はありませんでした。

漫画といえば紙の本のわけで
どうやって手にとってもらうか。

それがかなり重要でしたね。

それでよく言われたのが嵩のお話。

読者はどういうわけか厚い本が好き。

ページ数が同じでも本が厚いほうが
得したような気分になるんだそうです。

実際に本屋で平積みをしていて
先になくなるのは高い山なんだとか。

同じ10冊でも平積みでちょっとでも
高いほうが売れやすいということ。

人間の心理なんでしょうね~

今の用に電子書籍ならそういう
まやかしのようなことはないですが

紙の本となると分厚いものが
ありがたいということなんでしょう。

それで。

製紙会社としては無理なことを
要求されるわけですよ。

同じ米坪だけど紙厚は厚くしてくれ。

ここで米坪というのは1㎡あたりの
紙の重さのことで、単位はg/㎡。

普通に考えて紙は重いほど厚くなる。

そこをどうにかしてちょっとでも
同じ米坪で紙を厚くしろと。

無理なんですよね。

そりゃ努力はしますよ。

とりあえずパルプ配合を変更して
機械パルプを多く配合するとか。

でもそれも限界があってあまり入れると
色が黒い方向に行ってしまう。

どこまで許容してくれますかということです。

それから紙を押さえつけないように
平滑度を低くするというのもあります。

これもやりすぎるとインクが
乗らないとか手触りが悪いとか

別の弊害が出てきますから
どこで妥協するかなんですよね。

それいがいだと嵩高剤という
薬品もありましたね。

ただ、どの程度の効果があったのか
なんだかよく分かりませんでしたが。

そんな事するくらいなら単純に
目付をして売ったほうが安いとか。

目付というのはたとえば
表示米坪64g/㎡なのに

実米坪は68g/㎡にして
販売することです。

こんなことしてたら生産側は大損ですが
変な薬品を使うよりはマシだったりする。

営業が受けてきた仕事を工場が
技術的な問題で断るのもまずいので

上の方の判断で無理矢理に
作るということはありましたね~

多分どこの業界でも似たような
ことはあると思いますけど。

それから、あまりにも紙を厚くする
ことばかりやっていると紙に

しなやかさがなくなってゴワゴワの
硬い紙になったこともあります。

紙としてはなんというか上品さがない
下品な感じになるんですよね。

本来であれば内添填料などを入れて
少しはしなやかになる工夫をするし

使うパルプも機械パルプはそこそこで
クラフトパルプのフリーネスを下げるとか

そういうことをするわけですが
普通にやっていることをやめて

無理して作ったらゴワゴワに
なったという感じですね。

先方の要求を聞いたのはいいものの
世の中に出していいのか、とか。

紙の場合は今ある技術の範囲内で
特別な品質にしようとすれば

必ずどこかでバランスが崩れて
ちょっとおかしなことになる。

画期的な設備や薬品が出来れば
いいんですけど普通はおかしくなる。

なにかの品質が犠牲になるわけです。

なんとかバランスを取って妥協して
製品として販売しているんですよね。

まあそういうことは営業の
人には分からないお話。

下手に物分りがよくなっても
営業活動出来ないんでしょうけど。

漫画の単行本の紙は劣化しやすい

先程、漫画の単行本は紙厚が
大切だとお話しました。

同じページ数でも本が厚いほうが
得したような気分になる。

価格も同じだったらですけどね。

ただ、そのために機械パルプという
比較的紙厚が厚くなるパルプを使う。

問題はその機会パルプで、ある程度の
漂白をして白くはなるんですが

リグニンという成分が含まれるので
非常に退色しやすいんです。

なので、漫画の単行本は
黄色く劣化しやすいんですね。

ちょっと古い本だと黄ばんでいる
事があるかもしれません。

特に紫外線に弱いので日光や
蛍光灯でも劣化しやすいです。

販売する方はよく売れるように
厚い紙を使いたがるのですが

売ってしまえばその後は
どうでもいいわけですよね。

読者の方も単行本を何度も
読み返すというのはまれで、

一度読んでしまえばしばらくは
読み返さないでしょうから気にしない。

ある程度時間が経過してからだと
見返しても退色度合いは分からない。

そういう扱いかなと思いますね。

さすがに愛蔵版とかだと普通に
上質紙が使われるでしょうし

4色印刷のものならコート紙を
使うこともあるんでしょうけど。

こういうところも品質のバランスとか
どこで妥協するのかというところ。

たかがコミック用紙といっても
なかなか奥が深いものです。

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管理人のまとめ

今回は、漫画の単行本の紙は
なにかというお話でした。

これは多くの場合コミック用紙ですが
実際には特抄品が多いです。

出版社によって要求が違うので
それに合った品質にするということ。

白さ、色調、紙厚など微妙に違う。

作る側としては要求に合わせるように
妥協して品質のバランスを取る。

なかなか難しいものなんです。

管理人は無理な要求に仕方なく対応して
赤字になったことも多々ありましたね。

今はマシになってると思いますが。

この記事が、漫画の単行本の
紙の参考になればと思います。

漫画、楽しんで下さいね!

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