新聞の材質について。なぜあの紙を他の用途に使わないのか?

記事内に広告が含まれています。

この記事は約 7 分で読めます。

新聞 材質

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、新聞の材質について。

管理人は元製紙会社社員なので
新聞紙のこともある程度分かります。

直接担当したことはなかったですけどね。

それで、新聞紙の紙ってボロ紙ですけど
他に使い道ないって思う人もいるようで。

コピーとか出来ればいいのにとか。

でも結論から言うとそれは無理。

紙なんて何でも同じじゃないか
と思われますがそうでもないんです。

このあたりの事情をちょっと
お話させてほしいなと思います。

ということで。

この記事では、新聞の材質について
管理人なりに調べたことをお伝えします。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

新聞の材質ではコピー用紙には使えない

新聞紙をコピー用紙に使えないか?

これは無理です。

理由ははっきりしています。

新聞紙をコピー機に通すと詰まるから。

手差しのインクジェットプリンタなら
通るかも知れませんがにじむでしょう。

いずれにしても新聞紙では
プリンタ用紙にはなりません。

設計思想が違うんですね。

プリンタ用紙の場合は、プリンタ内で
詰まってはいけないので搬送性が重要だし、

特定のプリンタで問題なく印刷出来る
必要がありますが、新聞紙には関係ない。

特にインクジェットやレーザープリンタ、
コピー機は紙を選ぶプリンタなんです。

基本的に専用の紙を使わないと
まともに印刷できない。

だから新聞紙に限らず、
プリンタ用紙には使えないんです。

では新聞紙は何が特徴かというと、
薄くて軽くて印刷作業性が良いこと。

古紙配合率が高いこと、
印刷が裏抜けしないこと。

こんなところでしょうか。

新聞紙は主流が米坪42.8g/㎡ですから
紙の中でもとても薄くて軽いです。

こんなに薄くて軽いのに、印刷工場で
紙切れを起こしてはいけない。

新聞の印刷は時間との勝負。

何が何でも印刷工場でのトラブルはNG。

新聞巻取りの断紙率は1000本中3本以下
でなければならない、だったと思います。

1本の長さがだいたい16km(16000m)程度
だそうですから、これを1000本使って

3本切れてはいけないという
品質を求められているということです。

ちなみに、16kmx1000本=1万6千km。

地球が一周4万kmですから、
地球を半周までは行かないものの

40%くらいの距離になるということで
相当ハイレベルな安定性なんです。

見た目はボロ紙で安い紙なんですが
印刷作業性のレベルは高いわけです。

しかもこれ、巻取りなので
欠陥があるとダメなんですよね。

枚葉のようにカットされていれば
欠陥は取り除けますが

巻取りは連続していますから
欠陥を取り除いたら継目が必要になる。

印刷側は継目も嫌がりますから
製造工場側は欠陥にもかなり気を使う。

新聞紙というのは安く大量に安定して
生産するという意味でハイレベルな紙。

紙そのものの品質や性能とは
フェーズが違うということです。

新聞紙のリサイクルについて

新聞紙はリサイクルの紙。

その意味では優等生だと思います。

新聞紙と段ボールはほとんど
回収してきた古紙が原料ですから。

新聞紙が古紙を原料にしている
というのは品質的にはマイナス。

古紙原料はパルプとしての品質が
安定しないし、裏抜けもしやすい。

紙は伸びやすく強度は低い。

紙に使うパルプとして品質的に
良いところは少ないんです。

本来であればサーモメカニカルパルプ、
と呼ばれる機械パルプを配合したほうが

紙力強度や不透明度には有利ですが
その使用量を減らして古紙を使います。

リサイクルに寄与しているというよりも
コスト面で有利だからなんですけどね。

とはいえ、そのような悪条件で印刷の
操業安定性をクリアしなければいけない。

このあたり、新聞紙はボロ紙だ
などとあなどってはいけないところ。

地味ですが高度な製紙技術が
使われているんです。

マシンとしても高速マシンです。

管理人が勤務していた当時で
分速1500m以上でした。

時速にしたら90kmですね。

今はもっと早くなっていると思います。

あの薄っぺらい新聞紙が時速90kmで
走るわけですからすごいですよね。

そう考えると抄紙機は大型の精密機械。

新聞紙はその最先端にいるということです。

品質的には地味なんですが
操業面は最先端ということですね。

管理人のまとめ

今回は、新聞の材質についてのお話でした。

新聞紙は所詮新聞紙なので品質設計の
違うプリンタ用紙には使えません。

しかし、薄くて軽くて裏抜けしない
安い紙としての性能はいい。

また、印刷でのトラブルを起こさないという
操業性の技術は高いということでした。

それからリサイクルの観点から
古紙を大量に配合する技術や

マシン速度などの装置としての技術も
ハイレベルであると言えるでしょう。

あと、新聞紙は印刷用紙としては
新聞用にしか使えませんが

おばあちゃんの知恵的な部分で
包む、拭く、詰める、乾燥など

安い紙だからこそ使えるという
日常の用途は結構ありますよね。

その意味では非常に有用で
便利な紙だと思います。

この記事が新聞の材質について
考える参考になればと思います。

新聞紙はなかなか大した紙だ
ということを分かって下さいね!

タイトルとURLをコピーしました