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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回ワックスペーパーには
耐水・耐油性があるが
硫酸紙と同じ品種なのか
というお話。
ワックスペーパーってお菓子を
包んだりするのによく使います。
硫酸紙はパーチメント紙とも呼ばれ
こちらもお菓子を包んだりします。
どちらもお菓子作りとか料理で使われる。
そういえばクッキングシートも
使い方が似ていますね。
趣味でお菓子を作る人なら
よくご存知でしょう。
ところでこれらは同じ品種でしょうか?
結論から言うと、品種は違うし
それぞれ製造方法も違います。
ではどのように違うのか?
この記事ではワックスペーパーと
硫酸紙、クッキングシートの
製造方法の違いについて
管理人が調べたことをお伝えします。
ワックスペーパーの製造方法
まずワックスペーパーの製造方法。
ワックスペーパーは名前の通り
紙にワックスを染み込ませたもの。
ワックスはパラフィンとも言われますが
簡単に言えばロウソクです。
ろうそくは熱で溶けますから、
それを紙に染み込ませる。
染み込ませる紙はなんでもいいんですが
グラシン紙がよく使われます。
グラシン紙というのはパルプを高度に
叩解(繊維をすりつぶす)して抄造し
スーパーカレンダー工程で
強い圧力をかけて処理された紙
ということで見た目は半透明で
密度が高い紙です。
ワックスペーパーは耐水・耐油性を
持たせるわけですから
原紙から密度が高いほうが
液体が抜けにくくて有利。
なのでグラシン紙がよく使われます。
ちなみに、簡易的にワックスペーパーを
家庭で作ることも出来ます。
まずはグラシン紙を用意します。
文具屋とか通販で入手できます。
次にロウソクを細かく刻みます。
それからグラシン紙の上に
刻んだロウソクを乗せて
クッキングシートなどをかぶせて、
その上からアイロンを掛ける。
そうするとロウソクが溶けて
グラシン紙に染み込むというわけ。
特にこんなことをしなくても
ワックスペーパーを買えばいいんですが
なにか自分オリジナルを作りたいなら
こんな方法でも簡易的に作れるんですね。
この作り方からも分かる通り
ワックスペーパーは熱に弱い。
ワックスの種類によっては
車のダッシュボードの熱でも
ワックスが溶けるかもしれませんし、
ましてやオーブンで使うのはダメです。
耐水・耐油性はありますが
熱に弱いことは要注意です。
それからワックスは水も油もはじくので
ワックスペーパーの印刷はできません。
印刷するならグラシン紙などに印刷して
それからワックスを染み込ませる。
オリジナルを作るならそこもご注意を。
硫酸紙の製造方法
次は硫酸紙の製造方法。
硫酸紙はパーチメント紙とも呼ばれます。
製造方法は、紙を硫酸で処理する、
ということだそうです。
具体的には紙を
硫酸溶液の中にくぐらせる。
濃硫酸から順に硫酸濃度を薄くして
最終的にアルカリ(苛性ソーダ)で中和する。
その後水洗いして薬品を除去する。
処理としてはこんな感じ。
紙の主成分はセルロースなので
このセルロースが硫酸によって
変性してアミロイドというものに
なるんだそうです。
アミロイドというのはゼラチン状の
ネバネバした物質。
これが紙の表面を覆うので
紙の空隙(すきまのこと)が塞がれる。
紙の空隙が少なくなれば
液が通りにくくなるので耐水・耐油性になる。
硫酸紙に耐水・耐油性があるのは
こういう理由からなんですね。
なお、硫酸紙はワックスペーパーと違って
基本的に紙ですから印刷ができます。
それからワックスペーパーのように
ワックスが溶けたりしませんから
硫酸紙は紙と同レベルの耐熱性
耐寒性があります。
オーブンでも使用できるようですが
ここは説明書を確認してください。
クッキングシートについて
ここまでワックスペーパーや
硫酸紙について説明してきましたが
同じような使われ方をする紙で
クッキングシートもありますよね。
これもまた製造方法が違うんです。
クッキングシートの場合、
原紙がグラシン紙というのは
ワックスペーパーと同じなんですが
シリコーン樹脂を塗工をするんですね。
ここでいうシリコーンは
シリコンゴムなんかと同じ成分。
実はシリコーンというのは
耐水・耐油性があって耐熱性も高い。
そしてネバネバしたものでも
くっつかないという性質があります。
だからこれを紙に塗工すれば
耐水・耐油性があって耐熱性もある
クッキングシートの出来上がり
となるわけです。
管理人のまとめ
今回はワックスペーパーには
耐水・耐油性があるが
硫酸紙と同じ品種なのか
というお話でした。
結論から言うとまったく違う紙です。
もうひとつ似たような紙で
クッキングシートもありますが
これもまたまったく違う紙
ということでした。
使用目的はどれも同じようなことなんですが
製造方法がまったく違うんですね。
ワックスペーパーはワックスを含浸させる、
硫酸紙は紙を硫酸にくぐらせる、
クッキングシートは紙にシリコーン塗工と
ぜんぜん違うわけです。
いずれも紙の空隙を埋めているのですが
その方法が違うということですね。
それでも若干使えるところが違っています。
ワックスペーパーは耐熱性がないので
温度がかかるところでは使えないとか、
硫酸紙はワックスやシリコーンを含浸したり
塗工したりしていないので印刷できるとか。
それぞれに特徴があるというわけです。
お菓子を作って誰かに渡すときに
これらの紙を使うこともあるでしょう。
そのときに似たような紙でも
製造方法は違うんだ、なんていうことを
ちょっと思い出してもらえれば
この記事を書いた意味もあったかなと。
お菓子作り楽しんで下さいね!