日焼けしない紙はあるのか?劣化しにくいものならあります!

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日焼けしない紙

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、日焼けしない紙は
あるのかというお話。

管理人、元製紙会社社員ですから
こういう紙の劣化はよく知ってます。

正直に言います。

劣化しない紙はありません。

ただ、劣化しにくい紙はあります。

一般的によく知られているのは和紙。

美術品の裏打ちとかに使われますし
千年持っているものもありますから。

これは本当にすごいことだと思います。

まあ、劣化する紙なら
いくらでもあるんですけどね。

ではなぜ和紙は劣化しにくいのか?

比較的日焼けに強いのか?

ということで。

この記事では日焼けしない紙は
あるのかということについて

管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。

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日焼けしない紙はないがしにくいのは上質コート紙

結論から言うと日焼けしない紙は
ないんですが日焼けしにくいのは

中性紙の上質コート紙
ということになります。

そもそも中性紙というのは用紙に比べて
和紙が劣化しないことを研究して出来た紙。

その原因が硫酸バンドと呼ばれる
サイズ薬品の定着に使う薬品だった。

それで、この硫酸バンドという
薬品を使わない紙ができた。

それが中性紙ということになります。

和紙の場合こうなると通常硫酸バンドを使いません。

「ねり」としてトロロアオイを使うようですが
これは薬品の定着剤というよりは分散剤。

適度な粘度を持たせてパルプ同士が
くっついたり沈むのを防ぐもの。

それに酸性ではないんですよね。

だから和紙は劣化しにくいわけです。

なお。

最近は和紙も原料事情が変わっているようで
トロロアオイは入手できなくなってきているし

次亜塩素酸ソーダで漂白もするし
染料の定着に硫酸バンドも使う。

こうなると和紙なのか?という気もしますが
時代に合わせて薬品も使っているようです。

残念ながらこういう薬品を使用している
和紙は洋紙と同じく劣化します。

本当に長期保存をする場合は
和紙も選ばないといけないようです。

それはそうとして。

管理人が洋紙でも劣化しないと
考えているのは中性紙。

劣化防止対策の紙ですからね。

これも機械パルプの入った
紙はちょっとだめです。

機械パルプにはリグニンという
着色成分が入っているので

どんなに頑張っても日に当たると
黄色とか茶色に変色します。

なので上質紙。

最近は古紙入りのものもありますが
そうでななくて本当の上質紙。

100%クラフトパルプのものです。

パルプとしてはこれが一番
変色しにくいんですよね。

有機物なので日に当たれば焼けます。

しかし、それでも相当大丈夫です。

それから炭酸カルシウムの配合された
塗料を塗工しているといいです。

定量的なことは分かりませんが
炭酸カルシウムは弱アルカリ性。

酸からは守ってくれる方向になります。

こういう感じで考えていくと
上質コート紙がいいのかなと。

A2、A3コート紙と呼ばれるもの。

コート紙の場合は塗料に蛍光染料が
入っているんですがそれが壊れたら

それ以上は色調もあまり変わらなく
なってきて劣化が目立たなくなる。

実はこれに近い実験をやったことがあります。

各社のA3コート紙を窓に貼り付けて
どうなるかという実験なんですけど。

数ヶ月やってわかったことは
会社によって随分違うこと。

酸性のものは早い段階で
黄色くなっていましたが

中には蛍光染料や染料が壊れて
白色度が上がるものもありました。

1銘柄だけでしたけど、
これは衝撃的でしたね。

その会社今はもう吸収されて
存在してないんですけどね。

管理人はそんな経験がありますので
劣化しにくい紙はある、というわけです。

日焼けしない紙はないが格安コピー用紙は日焼けしにくい

ちなみに。

格安で販売されている
コピー用紙なんですが。

これもほとんどが中性紙です。

内添薬品に炭酸カルシウムが使われる。

なので劣化しにくいです。

今は酸性紙自体が減っているので
劣化しにくくなっていると思います。

しかし。

日焼けしやすい紙もある。

たとえば感熱紙。

これは塗料が変色しやすいんです。

それからインクジェット用紙の塗工紙。

これは日焼けしないように
暗いところにあるならいいんですが。

あまり日光に当てると日焼けする。

特に安物のマット調インクジェット
塗工紙は日焼けしやすい気がします。

インクジェット用紙にはシリカを
使うので日焼けしやすいのかも。

こういう紙は使う前は気をつけて
保管しているとは思いますけど。

まあ、紙自体よりもインクの劣化が
先になるのかも知れませんけど。

管理人のまとめ

今回は、日焼けしない紙は
あるのかというお話でした。

結論から言うと日焼けしない紙
というのはありません。

ただし、日焼けとか劣化が
しにくい紙というのはあります。

結局それは昔の和紙であったり
中性紙であったりということです。

管理人の経験では中性紙の
上質コート紙が良好でしたね。

もちろん銘柄によって違うんですが
マット系の炭カルが多い紙は

比較的劣化しにくい傾向が
あったと思います。

あくまでも管理人の実験結果ですけど。

逆に劣化しやすいのは機械パルプが
配合されている紙ですね。

新聞紙とか中質紙とか更紙とか。

比較的色調の黒い紙になります。

新聞紙は中性紙にしても機械パルプが
配合されていたら日焼けはします。

これはリグニンが入っているので
避けられないところですね~

そうそう。

ダンボールも日焼けしますけど
もともと茶色系なので分かりにくい。

ある意味ごまかしているんですが
用途が用途ですから気にしない。

白くても日焼けしやすいのは
感熱紙とか塗工のインクジェット紙。

塗料が変色しやすかったりしますね。

まあ、こういう紙は大切に保管されるので
紙自体の日焼けはそうそう起こらない。

それよりも印刷後のインクの退色
の方が問題になるんでしょうね~

いずれにしても紙の日焼けは
対策が難しいものです。

使う側が割り切って使うしか
ないのかなと思います。

この記事が、日焼けしない紙の
参考になればと思います。

紙は正しく保管して下さいね!

紙の劣化
プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
>>https://kamiconsal.jp/profile/

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