紫外線で紙が劣化する理由は?強いエネルギーが変色させる!

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紫外線 紙 劣化

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は紫外線で紙が劣化する理由は?
強いエネルギーが変色させる!というお話。

管理人は元製紙会社社員。

紙の劣化には悩まされました。

はっきり言って上質系の白い紙は
そう簡単には劣化しないんです。

普通の晒クラフトパルプ100%の紙なら。

ところが。

ここに機械パルプが数%でも
混ざっているともういけない。

機械パルプを漂白して白くして
紙にして製造直後はいいんです。

それが光に当たると黄色くなる。

ひどいものになると暗いところに
入れていても黄色くなるんです。

それも2週間もしないうちに。

まあこんな感じでこの退色には
ずいぶん悩まされたわけです。

ただ、悩んでみても対策はない。

光が当たると劣化するのは
紙の宿命みたいなもの。

使用するパルプや薬品それと保管条件。

こういう根本的なところを
抑えないとダメなんですね。

リグニンが入っている機械パルプや
硫酸バンド、蛍光染料を極力使わない。

そして乾燥した冷暗所で保管する。

紙の劣化を防ぐならそういう対策が必要。

古い本を保管するときには酸性紙を
アンモニアガスで中和するとか

いくつか方法があるようですが
図書館の方は苦労されている。

個人が出来る対策ではないですが。

それはそうとして。

紙が劣化するのは光による影響が大きい。

ではなぜ紫外線で紙が劣化するのか?

ということで。

この記事では、紫外線で紙が劣化する理由は?
強いエネルギーが変色させる、ということで

管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。

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紫外線で紙が劣化する理由はリグニンや硫酸バンドの影響、染料の化学変化

紫外線で紙が劣化する理由は
実は複数考えられます。

リグニン、硫酸バンド、染料など。

順番に見ていきたいと思います。

紫外線で紙が劣化する理由。リグニン

リグニンは木材の成分の一つ。

セルロースをくっつけるための
接着剤的な働きをしています。

そして、あの樹木の茶色がリグニンの色。

つまり元々はあんないろなんですね。

それで。

木材から作るパルプにも種類があって
大きく分けると化学パルプと機械パルプ。

化学パルプの大半はクラフトパルプ法で、
これは木材の中のリグニンをほぼ除去します。

出来たクラフトパルプはまだ茶色なので
漂白して晒クラフトパルプにします。

略号でBKPと表記されます。

このBKPは光にも強い。

セルロースは化学的に安定なんですね。

一方の機械パルプ。

これにはリグニンが多く含まれます。

機械パルプというのは木材を機械的に
すりつぶしただけのパルプですから。

化学的にリグニンを除去とかしてません。

ただし、これも漂白することは出来ます。

化学パルプの漂白は酸素やオゾン、塩素など。

機械パルプの漂白は過酸化水素など。

漂白される物質が違うので
漂白方法も違います。

それで重要なのは。

機械パルプは漂白されても
リグニンが残っていること。

そしてこの漂白されたリグニン、
化学的には不安定なんですよね。

だから一旦漂白されてもまた戻る。

そのときに紫外線のような強いエネルギを
持つ光が当たるとすぐに色が戻ってしまう。

紫外線が紙を劣化させる理由の一つです。

上質紙や上質コート紙のように
BKP100%の紙はそうでもないですが

新聞紙や雑誌のように機械パルプが
入っている紙は光ですぐに劣化する。

古紙パルプが入っている紙も新聞古紙が
主体なら機械パルプが入っているので

これも光にはとても弱くて
あっという間に劣化します。

そうそう。

リグニンが入っている紙は酸性とか中性とか
PHとは無関係に光で劣化しやすいです。

もちろん酸性だと酸化が促進され
より劣化しやすいですが。

紫外線で紙が劣化する理由。硫酸バンドの影響

ということで硫酸バンドの影響。

一般的には酸性紙と呼ばれるやつです。

昔は技術的にこれしかなかったんですね。

昔と言ってももう30年以上前ですけど。

今は硫酸バンドが入っている酸性紙は
紙がボロボロになるので減りましたが。

それで。

この硫酸バンドというのは
正式には硫酸アルミニウム。

「硫酸」という名前の通り
硫酸イオンになります。

硫酸は誰でも知っていますが
とても強力な「酸」ですよね。

いわゆる「強酸」というやつです。

はっきり言って、

「触れるもの皆酸化する」

という感じですね。

これが硫酸アルミニウムの形で
いる間はまだいいんですけど

紙に湿気があったりすると
一部が硫酸になるようです。

そうなると上質紙の主体である
セルロースと言えども酸化する。

これに熱や光が加われば反応が加速する。

エネルギが増加するわけですから。

つまりは劣化するということですね。

こういうのも紫外線で紙が劣化する
理由の一つと言えるでしょう。

ちなみに。

セルロースが酸化されれ黄色くなるのは
イメージとしては砂糖をカラメルにする感じ。

セルロースってそもそもはグルコースが
たくさんつながって出来たものです。

だからそれが分解するというのは
砂糖が出来るようなもかなと。

厳密には違いますけど分子構造は
だいたい似たようなものになる。

これがさらに酸化されるということは
砂糖を炙ってカラメルにするようなもの。

あくまでも感覚的なものですが。

紫外線で紙が劣化する理由。染料の影響

もうひとつ取り上げていたのが染料の影響。

紙は白いのですが染料は入っています。

実のところパルプにも色はついています。

BKPといえども真っ白ではなく若干黄色。

なので黄色の補色になる青い染料を
使って白く見せることもやります。

さらに白く見せるために
蛍光染料も使います。

蛍光染料というのは紫外線を吸収して
可視光線(青、赤、紫が多い)を出す染料。

ただですね、染料は光には弱いんです。

発色はするんですが光の
エネルギで壊れてしまう。

染料の耐光性は日々向上していますが
そもそも光に当たるのだから仕方ない。

染料が壊れて発色しなくなると元の
黄色が見えてくる感じですかね。

これは紙もそうですがそれ以上に
印刷の劣化になりますけどね~

管理人のまとめ

今回のお話は紫外線で紙が劣化する理由は?
強いエネルギーが変色させる、でした。

紫外線で紙は劣化するわけですが
その理由はいくつかあると思います。

この記事ではその理由としてリグニン、
硫酸バンド、染料を取り上げました。

いずれも光のエネルギが酸化とか分解を
促進するので劣化するということでした。

今では上質系の中性紙なら
100年大丈夫と言われます。

しかしこれも保管条件が良ければの話。

強い光が当たればどうしても劣化します。

なので紙を長く保存するなら
上質系の中性紙はもちろんのこと

保管も風通しの良い冷暗所など
気をつけるべきと言えるでしょうね~

この記事が、紫外線で紙が劣化する
理由の参考になればと思います。

紙はむやみに光に当てないで下さいね!

(参考)
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