この記事は約 18 分で読めます。
![]()
管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、印刷の静電気対策!
話題の放射式除電装置でトラブル解消?
というお話。
印刷現場では、紙やフィルムを
高速で搬送する工程において
「静電気」は避けて通れない課題です。
特に乾燥する季節や高速印刷では、
わずかな静電気が印刷品質や
生産効率を大きく左右するケースも
少なくありません。
静電気が発生すると、
紙が二重送りになったり、
インクミストが付着したり、
ホコリが製品に付着したりと、
さまざまなトラブルの原因になります。
従来は針電極式イオナイザーや
エアブロー式除電装置が主流でしたが、
近年ではメンテナンス性や安全性に優れた
「放射式除電装置」が注目されています。
放射式除電装置は、
電源を必要としないタイプも多く、
電極摩耗が少ないことから、
印刷会社だけでなく
紙加工・ラベル・フィルム・包装・製本など
幅広い業界で導入が進んでいます。
ここでは、印刷工程で静電気が発生する
仕組みから、従来方式との違い、
放射式除電装置の特徴や
メリット・デメリット、
導入時のポイントまで
詳しく解説します。
ということで。
この記事では、印刷の静電気対策!
話題の放射式除電装置でトラブル解消?
について
管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。
印刷現場で静電気が発生する理由とは?
静電気とは、物体の表面に
電気が蓄積された状態を指します。
印刷工程では、紙やフィルムがロールから
高速で繰り出され、ローラーやガイドと
何度も接触・剥離を繰り返します。
この「接触」と「剥離」が繰り返されることで
電子の移動が起こり、静電気が発生します。
特に以下のような工程では
大量の帯電が発生します。
- オフセット印刷
- グラビア印刷
- フレキソ印刷
- ラベル印刷
- 製袋加工
- ラミネート加工
- スリッター工程
- 打ち抜き加工
また、冬場の湿度30%以下では
空気中に電気が逃げにくくなるため、
静電気の発生量はさらに増加します。
静電気が引き起こす代表的なトラブル
印刷工場で発生する静電気は、単なる
「パチッ」という不快感だけではありません。
品質・歩留まり・生産性にまで
影響を及ぼします。
紙詰まり・二重送り
帯電した紙同士が密着すると、
一枚ずつ搬送できず二重送りが発生します。
その結果、位置ズレや
給紙エラーが増加します。
ホコリの付着
帯電した紙は空気中の微細な
ゴミや紙粉を強力に引き寄せます。
印刷面へ付着すると白抜けや
ピンホールの原因になります。
インクミストの付着
高速印刷では飛散したインクミストが
静電気によって吸着され、
印刷品質が低下します。
濃色印刷ほど目立ちやすくなります。
フィルムの貼り付き
PETやOPPなどの樹脂フィルムは
特に帯電しやすく、ロール同士が貼り付く
ブロッキング現象を引き起こします。
火花放電
帯電量が大きくなると放電が発生します。
溶剤インクを使用する現場では、
防爆対策の観点からも静電気管理は重要です。
従来の除電方法にはどんな種類がある?
印刷業界ではさまざまな
除電方式が利用されています。
針電極式イオナイザー
最も一般的な方式です。
高電圧を印加した針電極から
プラス・マイナスイオンを発生させ、
中和することで静電気を除去します。
除電性能は高い反面、針先に汚れが
付着すると性能が低下するため、
定期的な清掃が必要になります。
エアブロー式
圧縮空気でイオンを対象物へ送り込みます。
複雑な形状にも対応できますが、
コンプレッサー設備が必要となり、
ランニングコストが増える傾向があります。
除電ブラシ
導電性繊維を利用して帯電を逃がす方式です。
比較的安価ですが、高速ラインでは
十分な性能を発揮できない場合があります。
近年注目される「放射式除電装置」とは?
近年、印刷業界で注目されているのが
放射式除電装置です。
従来の高電圧イオナイザーとは異なり、
放射線源から発生する電離作用を利用して
空気をイオン化し、静電気を中和します。
空気中に均一なイオンを生成できるため、
対象物全体をムラなく
除電できる点が特徴です。
また、
高電圧電源を必要としないタイプもあり、
構造がシンプルで故障が少ないことから、
24時間稼働する印刷ラインでも
高い評価を受けています。
さらに、
電極の摩耗や汚れによる性能低下が少なく、
メンテナンス頻度を抑えられることも
導入が進む理由の一つです。
放射式除電装置が注目される理由
放射式除電装置が印刷業界で
注目されている理由は、
単に静電気を除去できるからでは
ありません。
近年の印刷機は高速化・高精細化が進み、
わずかな静電気でも品質不良に
つながるようになっています。
そのため、
「安定して除電できること」と
「メンテナンス負担が少ないこと」の
両立が求められるようになりました。
従来の高電圧イオナイザーは
非常に高い除電能力を持っていますが、
電極の汚れや摩耗によって
性能が徐々に低下します。
一方、放射式除電装置は電極を
使用しない構造のものが多く、
長期間にわたって安定した性能を
維持しやすい点が大きな特徴です。
また、高電圧電源を必要としない
機種では配線がシンプルになり、
設備設計の自由度も向上します。
既存ラインへ後付けしやすいことも、
多くの印刷会社から支持される
理由となっています。
放射式除電装置のメリット
① 除電性能が長期間安定する
印刷品質を安定させるためには、
除電性能が一定であることが重要です。
放射式除電装置は、
使用時間による性能変化が少なく、
長期間にわたり安定した
除電効果を期待できます。
特に24時間稼働する工場では、
性能が安定していることで
品質のばらつきを抑えやすくなります。
② メンテナンスの負担が少ない
針電極式では、定期的な清掃や
電極交換が必要になります。
しかし放射式除電装置では、
そのようなメンテナンス作業が大幅に
軽減されるケースが多くあります。
設備停止時間が短くなるため、
生産性向上にもつながります。
③ エア設備が不要な機種もある
圧縮空気を使用しないタイプであれば、
コンプレッサー設備を追加する必要が
ありません。
そのため、設備コストや
電気代の削減にも貢献できます。
④ 静音性に優れる
エアブロー式は圧縮空気を噴射するため
騒音が発生しますが、放射式除電装置は
非常に静かです。
作業環境の改善という面でも
評価されています。
⑤ 高速ラインでも安定しやすい
包装用フィルムやラベル印刷などでは、
毎分数百メートルという高速搬送が
行われます。
このようなラインでも、
帯電量を安定して低減できる点は
大きなメリットです。
放射式除電装置のデメリット
一方で、放射式除電装置にも
注意すべき点があります。
導入前には十分に
理解しておくことが大切です。
初期導入コスト
機種によっては一般的な除電ブラシより
価格が高くなる場合があります。
しかし、メンテナンス費用や
交換部品の削減まで含めると、
長期的にはコストメリットが
生まれるケースも少なくありません。
用途によって向き・不向きがある
すべての工程に万能
というわけではありません。
帯電量が極端に大きい工程では、
高電圧イオナイザーとの併用が
効果的なケースもあります。
ライン速度や紙種、フィルムの材質などを
考慮して最適な方式を選定することが
重要です。
どのような現場で導入されているのか
放射式除電装置は、
印刷業界だけでなくさまざまな
製造現場で活用されています。
- 商業印刷工場
- パッケージ印刷
- 軟包装フィルム加工
- ラベル印刷工場
- 製本工場
- 紙器加工
- 紙袋製造
- 食品包装ライン
- 電子部品製造
- 樹脂フィルム加工
特にフィルムや樹脂製品は非常に
帯電しやすいため、放射式除電装置との
相性が良いとされています。
設置場所によって効果は大きく変わる
除電装置は設置するだけでは
十分な効果を得られません。
最も帯電量が大きいポイントへ
設置することが重要です。
代表的な設置位置としては
次のような場所があります。
- 給紙部
- 印刷ユニット入口
- 乾燥装置出口
- ラミネート前後
- スリッター入口
- 巻取り直前
- 検査装置前
実際には静電気測定器で帯電量を測定しながら
最適な位置を決定することで、
より高い除電効果が期待できます。
静電気対策は除電装置だけでは不十分
静電気対策を効果的に行うには、
除電装置だけに頼るのではなく、
工場全体の環境改善も重要になります。
湿度管理
湿度40〜60%程度を維持すると、
空気中へ電荷が逃げやすくなり、
帯電量を抑えやすくなります。
冬場は加湿設備の導入も有効です。
アースの見直し
印刷機や搬送装置が
正しく接地されていないと、
静電気が蓄積しやすくなります。
定期的なアース抵抗の確認も欠かせません。
ローラーの清掃
ローラー表面に紙粉やインクが付着すると
摩擦が増え、帯電量も増加します。
定期的な清掃によって静電気の
発生そのものを抑えられます。
作業服や靴の見直し
帯電防止仕様の作業服や
安全靴を使用することで、
作業者自身が帯電源となることを防げます。
放射式除電装置を導入する際の選定ポイント
放射式除電装置はさまざまな
メーカーから販売されており、
仕様や性能にも違いがあります。
そのため、「どの製品でも同じ」
というわけではありません。
印刷現場に最適な装置を選ぶためには、
いくつかのポイントを確認することが
重要です。
対象となる材料を確認する
紙と樹脂フィルムでは帯電のしやすさが
大きく異なります。
上質紙やコート紙だけでなく、
PET・OPP・CPP・PEなどの
フィルムは非常に帯電しやすいため、
処理能力に余裕のある機種を選ぶ必要があります。
また、ラベル原紙や合成紙など
特殊素材を扱う場合も、
対象材料に適した除電性能を持つ
装置を選ぶことが重要です。
ライン速度との相性
低速ラインでは十分な除電性能を
発揮する装置でも、高速ラインでは
処理能力が不足する場合があります。
印刷機の最高速度や平均運転速度を考慮し、
余裕を持った能力の製品を選定することで、
将来的な設備更新にも対応しやすくなります。
設置スペースを確認する
印刷機の内部は非常に限られた
スペースしかありません。
特に給紙部や巻取り部は
装置が密集しているため、
本体サイズや取付方法を事前に
確認しておく必要があります。
最近ではコンパクト設計の
モデルも増えており、
既存設備への後付けも
しやすくなっています。
メンテナンス性
長期間使用する設備だからこそ、
点検や清掃のしやすさも重要です。
メンテナンス頻度が少ない装置であれば、
設備停止時間の短縮にもつながります。
導入によって期待できる効果
静電気対策を適切に行うことで、
印刷現場ではさまざまな改善効果が
期待できます。
印刷品質の向上
ホコリや紙粉の付着が減少することで、
ピンホールや印刷ムラが減り、
製品品質の安定化につながります。
再印刷や不良品の発生も抑えられるため、
歩留まりの改善にも効果があります。
生産効率の向上
紙詰まりや二重送りなどのトラブルが
減少することで、ライン停止時間を
短縮できます。
結果として、生産量の向上や
納期遵守にもつながります。
清掃時間の削減
静電気によって付着していた
紙粉やホコリが減少するため、
印刷機や周辺設備の
清掃頻度を抑えられます。
作業負担の軽減だけでなく、
設備の美観維持にも役立ちます。
製品クレームの低減
異物混入や印刷不良が減少することで、
品質に関するクレーム発生率の低減も
期待できます。
品質管理の面でも大きな
メリットといえるでしょう。
環境負荷の低減にもつながる
近年はSDGsや環境配慮への取り組みが
印刷業界でも重要視されています。
静電気対策は品質改善だけでなく、
環境面でもさまざまなメリットがあります。
例えば、不良品が減少すれば廃棄される
紙やフィルムも少なくなります。
インクや接着剤などの副資材の
ロス削減にもつながり、
資源の有効活用に貢献します。
さらに、メンテナンス頻度の
少ない装置であれば交換部品も減り、
設備保守に伴う環境負荷の
軽減も期待できます。
今後の印刷業界では静電気対策の重要性がさらに高まる
近年の印刷業界では、
高付加価値印刷や高精細印刷、
デジタル印刷の普及が進んでいます。
こうした印刷方式では、
わずかなホコリや静電気でも
品質に大きく影響するため、
従来以上に高度な静電気対策が
求められています。
また、フィルム包装や環境対応素材の
利用拡大により、帯電しやすい材料を
扱う機会も増えています。
今後は除電装置単体だけではなく、
湿度管理や設備設計、静電気測定などを
組み合わせた総合的な静電気対策が
標準になっていくと考えられます。
放射式除電装置は、
その安定性やメンテナンス性の高さから、
こうした新しい生産環境にも
対応しやすい技術として、
今後さらに活用が広がる可能性があります。
管理人のまとめ
今回は、印刷の静電気対策!
話題の放射式除電装置でトラブル解消?
というお話でした。
印刷現場で発生する静電気は、
紙詰まりや二重送り、ホコリの付着、
インクミストによる品質低下など、
多くのトラブルを引き起こす
原因となります。
高速印刷や高品質化が進む現在では、
静電気対策は生産性と品質を維持するために
欠かせない取り組みといえるでしょう。
従来は針電極式イオナイザーや
エアブロー式が主流でしたが、
近年ではメンテナンス負担が少なく、
長期間安定した性能を維持しやすい
放射式除電装置にも注目が集まっています。
設備停止時間の短縮や品質の安定化、
歩留まり向上など、導入によって
得られるメリットは少なくありません。
ただし、静電気対策は除電装置を
設置するだけで完結するものでは
ありません。
湿度管理、アースの確認、ローラー清掃、
帯電防止用品の活用など、工場全体で
総合的に対策を講じることで、
より高い効果が期待できます。
今後も印刷技術の進化とともに
静電気対策の重要性はさらに
高まると考えられます。
印刷品質の向上と安定した
生産体制を実現するためにも、
それぞれの現場に適した除電方式を選択し、
継続的な改善を行うことが重要です。
印刷の静電気対策、上手くやって下さいね!
(参考)
こんな記事も読まれています。
静電気除去シートはどこで買える?ホームセンターやドラッグストア
⇒https://kamiconsal.jp/seidenkijokyodoko/
紙粉は爆発する!接触や静電気の火花や堆積しての低温発火も
⇒https://kamiconsal.jp/sifunbakuhatu/
紙の静電気を防止するには?湿度をアップするのが効果的です
⇒https://kamiconsal.jp/kamiseidenki/

