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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、紙が自社品かどうかを
確認する方法というお話。
管理人は元製紙会社社員。
技術者でクレーム対応もやってました。
紙にクレームが来るのかと思うでしょうが
これが結構な割合で来るんですね。
内容も様々なんですが、多いのは
シワダブリ、紙粉というような印刷不良。
これは管理人が印刷用紙担当が
長かったからそう思うんですけど。
言いがかりみたいなクレームも多くて
なかなか困ることもありましたね。
よく言われたのがうまい印刷屋は
クレームを言ってこないということ。
結局、紙の扱いが分かっているかどうかで
クレームになったりならなかったりする。
たまに無茶苦茶な使い方をして
文句を言ってくるところもありました。
これは販売している製紙会社にも
もちろん問題がありました。
だいたいユーザーがどんな使い方を
しているか分かってないとかですね。
なんだか紙ムケのクレームが多いなと
思ったら新しい印刷機になってたとか。
そのときに印刷速度が上がっていたのに
紙の表面強度対策してなかったとか。
紙に限りませんが、クレームというのは
かなり相対的なものでもあります。
先ほどお話した印刷不良にしても
昔ながらの印刷機なら問題ない。
そういうことも多いわけです。
それはそうとして。
クレームを受け付ける場合は基本的に
使用した紙の製造ロットNoが必要で
できればそのときの紙サンプルも
入手して分析することになるんですが。
お客さんによってはロットNoはわかるが
紙サンプルなんて使って残ってないとか
ひどいときにはロットNoも分からない
というのがあるんですよね。
逆に、紙はあるけどロットNoは
不明というのもありますけど。
それで。
大抵の場合はクレームが発生すると
悪いのは紙のせいになるんですが
たまに本当にこの紙は自社品なのか
と思うときもあるわけです。
そんなときにロットNoが分かっていて
紙サンプルが入手できると本当に
自社品かどうかを確認する
手軽な方法があるんですね。
ということで。
この記事では紙が自社品か
どうかを確認する方法について
管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。
紙が自社品かどうかを確認するのは分光光度曲線を比較する
紙の同定方法は色々あると思います。
それで同じか違うかをチェックするだけなら
分光光度曲線を比較するのが簡単でしたね。
分光光度曲線を得るためには
色調測定すればいいだけ。
管理人がいた頃はカラーアナライザー
という機械で測定してました。
紙の場合は分光光度曲線は
分光反射率曲線になります。
基本的に光を透過しませんから。
その分光反射率曲線の定義はこんな感じ。
==ここから==
分光反射率曲線は、物体に反射した
光の割合を(反射率)を単色光(波長)ごとに
400~700nmの範囲で
波長順にグラフにしたもの。
==ここまで==
定義を見ても分かりにくいです。
決まった光を紙に当ててみてどんな
波長の光が反射されるかを測定する。
これをグラフにするというわけです。
実はこの分光反射率曲線が
紙によって違うんですよね。
基本的に色調を測定してますから
色が違えばグラフは違います。
それでも、同じマシンで抄造した
同じ品種ならだいたい同じになる。
そこのところは製紙会社だって
色調管理してますから。
ましてや同じロットなら同じ
グラフになるわけです。
逆に言うと自社品と他社品を比較すると
グラフの形状は結構違ってきます。
色調に関して言えばユーザーとの
取り決めがない限り独自に決めます。
だから各社とも微妙に色が違う。
同じ上質紙でもそれぞれ色が違う。
ライナーでもコート紙でも色が違う。
一般的には紙は白いわけですが
同じ白でも微妙に違うわけです。
それに。
色調に最も影響する染料の種類も
会社によってマシンによって違います。
パルプも違えば水も違う。
だから他社品に色を合わせて下さい
といわれても同じにはならない。
そこそこ良く似てますね程度のものです。、
人間の目をごまかせるかどうか程度で
機械が細かく測定すると違いが出ます。
人間の目も相当厳しいですけどね。
分光光度曲線については今なら
カラーアナライザーで測定すれば
パソコンが一瞬でグラフを書くので
画面で重ねれば違いが分かるでしょう。
もしもそういう機能がなかったといても
エクセルにデータを入れたら楽勝です。
管理人がクレーム処理するとき、
ロットNoが分かっているなら
保管してあるサンプルともらった
紙の色調を図り比べてました。
本当に自社品だとグラフは重なるし
他社品だとグラフは重なりません。
かなり明確に判定できてましたね~
この方法は非破壊で手軽に
できたので便利に使ってました。
分光光度曲線のデータベース化のすすめ
既知の紙やフィルムについては
分光光度曲線を測定して
データベース化しておくのは
後々何かと便利だと思います。
ここでは紙のことなので分光反射率を
メインにお話していますが
実はプラスチックフィルムでも
同じようなことが言えるんですね。
たとえば透明なOPPフィルムとか
PETフィルムなんかでも同じこと。
透明な場合は分光透過率に
なってきますけど。
蛍光染料があるかないかなんかも
かなり明確に判定できますし。
材料によって特徴があるのと
同じ材料でも銘柄で違う。
やっぱり会社とかマシンで
色調の違いが出るんですね。
透明フィルムなんて同じだろうと
思うでしょうけど違うんですよね。
この方法は難しい分析が不要で
サンプルを傷めないのがいいところ。
紙でもフィルムでもシートでも色調測定が
出来るところでは有効だと思いますね。
管理人のまとめ
今回は、紙が自社品かどうかを
確認する方法というお話でした。
結論から言うと色調測定をする。
そして、分光光度曲線を調べる。
与えられたサンプルが自社品と
同じかどうかをチェックする。
この程度のことでも自社品か
他社品かの違いは分かります。
たとえ見た目がよく似ていても
機械で測定すれば違いは出ます。
結構有効な手段だと思いますね。
また、この方法紙だけではなく
フィルムやシートでも役に立ちます。
色調は繊細なものだと思いますね。
この記事が、紙が自社品かどうかを
確認する参考になればと思います。
色による分析、上手く使って下さいね!