紙が濡れるとしわになるのはなぜ?セルロースの結合の問題?

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紙 濡れる しわ

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は紙が濡れるとしわになるのはなぜ?
セルロースの結合の問題というお話。

紙が濡れるとしわになる。

当たり前なんですが、不思議じゃないですか?

身近なシート状のものが紙なので
そういうものだと思いますけど、

ポリ袋みたいなプラスチックのフィルムは
水に濡れてしわになる事はありませんよね?

こういう場合、紙は親水性で
プラスチックは疎水性、

ということで説明されますが
ではそれはどういうことか?

気になります。

ということで。

この記事では、紙が濡れると
しわになるのはなぜかについて

管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。

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紙が濡れたらしわになるのは水素結合が切れるから

この説明が専門的なんですが。

少し説明してみますね。

まず、紙はパルプ繊維で出来てます。

その成分はセルロース。

このセルロースには水酸基がたくさんあります。

水酸基、ヒドロキシ基ともいいますね。

これはセルロースの化学構造式ですが

 

 

-OHというのがありますよね?

これが水酸基になります。

セルロースというのはこういう構造が
たくさんつながって出来た繊維。

その繊維が束になったのがパルプ。

そういう感じですね。

それで。

この水酸基は-OH、という構造。

水の構造式とよく似ています。

水はH2Oと書きますけど構造式は
一応H-O-Hということになりますので。

そうそう「H」は水素、「O」は酸素です。

そして、このOとHは引き合うんですよね。

電気的に酸素がマイナス、水素がプラス。

水素結合と呼ばれるものです。

でですね、セルロースが乾いていれば
セルロースのOH同士が引き合うんです。

ところが。

紙が水に濡れるということはセルロースの
結合の間に水分子が入ってくることになる。

セルロース同士の水素結合が
切れてしまうということ。

もうだいたい分かったと思いますが、
このセルロース同士の結合が切れる、

というのがパルプが膨潤する、
つまり紙が膨らむということ。

乾いた状態でピシッとしていた紙が
水に濡れてしまうとボコボコになる。

セルロース繊維同士がしっかり
くっついていたのに水が入って

結合が緩んでしまうという
ことになるわけですよね。

それで、もうちょっと言うと。

紙が水に濡れて繊維が緩んでも
完全に均一ならしわになりません。

どこも同じように膨らむだけなので。

しかし、現実にはそんな紙はない。

必ず不均一な部分があります。

ストレスのかかっているところと
そうでないところがあるんです。

だいたい、原料を吐出した
ところから不均一になるし、

単純に紙を引っ張りながらロールに
巻いているだけでも不均一になります。

なので、水で濡れたら繊維の結合が
切れやすいところとそうでないところで

緩み方に違いが出てきて
紙がボコボコになる。

紙が水に濡れるとしわになる
というのはこんな感じですね。

紙が濡れるとしわになるのは溶解とにています

紙が水に濡れてしわになるのは水で
セルロース同士の結合が切れるから。

考え方としては「溶解」とにています。

セルロースはポリマーで、その分子の周りを
水のような低分子が取り囲むわけです。

このポリマー分子が液体の中を
自由に動くことが出来れば溶けるし

色々と結び目があって輪っかのようになり
動きに制限ができると膨潤となります。

溶ける、というならお砂糖のイメージ。

膨潤というならゼリーでしょうか。

紙の場合は紙に対して水が
少なければ紙が水を吸収して

膨潤してボコボコになってしまう
ということになるんですね。

水が大量にあればパルプ繊維が
離解して水に分散することになる。

まあ、パルプの場合はセルロースの束なので
溶解ではなくて分散になりますけど。

高分子の周りを低分子が取り囲む
という部分ではよく似てますかね。

それで。

このボコボコになった紙をもとに戻すには
水分子を追い出してやればいいんですが、

急激に追い出すと紙のしわが
残ってしまう可能性が高いです。

紙のしわを元に戻すには重しをかけて
ゆっくりと水を抜いていくのがいい。

間違っても熱風ドライヤーで
乾燥させてはいけません。

しわだけが残りますので。

出来ればコピー用紙などで水を吸い取りながら
重しを乗せて自然乾燥するのがいいです。

紙がくっついているなら冷凍庫で
水分を凍らせてから紙を一枚ずつ

バラして合紙を入れて重しを乗せて
自然乾燥させるとかですかね。

とはいえ、水に濡れた紙の修復は
そう簡単ではありません。

濡らさない注意が重要でしょうね。

管理人のまとめ

今回は、紙が濡れるとしわに
なるのはなぜかというお話でした。

結論としてはパルプの成分の
セルロース同士の水素結合が

水分子によって切れてしまうので
しわになるということでした。

また、紙が完全に均一なら
しわになりませんが

紙は不均一なので緩みやすいところと
そうでないところがあるのでしわになる。

ということでした。

紙が濡れたらしわになるなんて
単純そうなお話なんですが

色々調べてみるとなかなか
奥が深いものだと思います。

この記事が、紙が濡れたらしわになる
理由の参考になればと思います。

紙は濡らさないようにして下さいね!

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プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
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