紙のサイズ度とは?水の染み込みやすさ、にじみ具合の指標!

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紙 サイズ度

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は紙のサイズ度とは?
水の染み込みやすさ、
にじみ具合の指標!というお話。

紙にはサイズ度というのがあります。

サイズ、というのがややこしいんですが。

管理人、、最初に聞いたときは
「大きさ」だと思いましたから。

もちろんA4サイズとかB4サイズも
ありますがこの場合それとは違います。

この場合のサイズ度は紙が水に
染み込みやすいかどうかの指標。

オフセット印刷だと湿し水との相性とか
筆記用紙だとインクのにじみ具合とか。

結構重要な要素なんですよね。

それと、紙が酸性か中性かの問題は
このサイズ度が大きく関わってきます。

では実際にサイズ度とはどういうものなのか?

ということで。

この記事では、紙のサイズ度とは?
水の染み込みやすさ、にじみ具合の指標!
について

管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。

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紙のサイズ度の測定方法

紙のサイズ度の定義なんですが。

印刷用語集によると、

==ここから==

紙の筆記インキや水などの浸透に対する抵抗度を表す値。測定方法には,特に規定された筆記インキのにじみ度合いを調べる方法,ステキヒト法(JIS P 8122),コッブ法(JIS P 8140)などがある。インキのにじみや裏抜けを防止するため,多くの紙にはサイズ剤(ロジン系,石油系樹脂およびアルキルケテンダイマーなどの中性撥水化剤など)が添加されている。

==ここまで==

だそうです。

「浸透に対する抵抗度」なんていかにも
と言う感じですがにじみ具合ですね。

そもそも昔は水性インクで紙に
書いていたわけでにじむと困る。

その対策としてサイズが出てきた。

そう考えるとまずは筆記用紙に対して
サイズ度を考えるのが最初でしょう。

それで。

筆記インキのにじみ度合いの測定には
ペン書きサイズという方法があります。

簡単なやり方は過去記事に書きました。

(過去記事)
万年筆に合うコピー用紙はあるの?メモに最適なのはコレ

https://kamiconsal.jp/mannenhitucopypaper/

単純に言ってしまえば実際に万年筆などで
紙に書いてみてにじみ具合を見比べる方法。

誰がやっても全く同じ結果を得るのは
なかなか難しいですが現実的な方法です。

あと、管理人が工場でよく使ったのは
ステキヒトサイズとコッブサイズ。

印刷用紙ではステキヒトが多かったです。

JISの試験方法はこちら

https://kikakurui.com/p/P8122-2004-01.html

簡単に言うと紙を水に浮かべて
その紙の上に液を垂らして

その液が反応して赤い点が
3つ出来たときの秒数を測る。

そのときに使う浮かべる側の液が
2 %チオシアン酸アンモニウム水溶液

落とす側の液が
1 %塩化鉄(Ⅲ)水溶液。

この場合、サイズ度が高いというのは
この反応するまでの時間が長いこと。

水の浸透が遅いほど秒数も長くなるので
それだけサイズが良く効いていると。

もうひとつはコッブサイズ。

JISの試験方法はこちら

http://kikakurui.com/p/P8140-1998-01.html

これも簡単に言うと紙を水に濡らして
その吸水量を測定するというもの。

言葉で言うのは簡単ですが
操作はちょっとややこしい。

管理人はこの試験、やりませんでしたね。

現場では紙に水をかけて
「これならコッブで何グラム」

と人間テスターみたいな人が
いましたけど管理人には無理。

せいぜいサイズが効いているようだ
というのが分かる程度のものでしたね~

紙のサイズ度とサイズ剤

ところで。

紙は親水性で水をよく吸いますが
どうやってサイズ性を出しているのか?

管理人は最初は気になりました。

実際のところやっているのは
サイズ剤の添加だったんですが。

サイズ剤というのは結局は
疎水性の薬品ですね。

水を弾く薬品。

昔はロジン、松ヤニですけど
これが使われていました。

今でも使ってると思います、減りましたけど。

まあこういう疎水性の薬品をパルプに
くっつけて吸水を防ぐと言う感じです。

それでサイズ効果が出ると。

ところが。

これがそう簡単には紙にくっつかない。

そこで出てきたのが硫酸バンド。

凝集剤にも使われますが薬品の
定着剤としてとても優秀です。

しかし、紙が酸性になる原因の薬品でもある。

昔はサイズ剤はロジン系のものしか
なかったし硫酸バンドが優秀だったので

すべての印刷用紙にロジン系サイズ剤と
硫酸バンドのシステムが採用されてました。

それに、紙を長期保管するという
考えもなかったと思いますね。

その後、保管した公文書がボロボロになる原因が
酸性紙だからということで中性紙が開発される。

その時サイズ剤はロジンからAKDやASA
という硫酸バンドを使わないものに変わる。

それでも場合によっては硫酸バンドを若干
使いますけど酸性紙に比べれば微々たるもの。

そういう感じですね。

ただ、AKDが硫酸バンド不要ということは
それ自体がパルプと反応してくっつくわけ。

反応性がいいというのは保存が面倒だし
取り扱いも繊細になるんですよね。

タンクに薬品を保管しているときに
温度が上がりすぎると勝手に反応して

いざ使用するときには効果が
出なくなるとかありますから。

なので中性紙というのは
そこそこハードルが高い。

今まで酸性で上手く行っていた紙ほど
変更するのが難しいところがありました。

今は技術が進んでロジン系でも
中性対応可能なものもあります。

酸性が嫌われる紙は中性になりどんな系を
使うかは品質とコストの見合いで決まる。

やり方は色々選べる時代になった。

そういう感じですかね~

管理人のまとめ

今回は紙のサイズ度とは?
水の染み込みやすさ、にじみ具合の指標!
というお話でした。

紙のサイズ度は水の染み込みやすさ。

サイズは大きさ。

言葉は同じですが意味は違います。

ややこしいですね。

今回はこのサイズ度についてお話しました。

元々「サイズ」は水性インクで筆記するとき
紙がにじまないように、と設計されたもの。

親水性の紙に疎水性のロジンなどを
くっつける感じで発現しています。

あと、酸性紙や中性紙とサイズの
関係のお話もさせていただきました。

昔、酸性紙しかなかったのは硫酸バンドで
サイズ剤を定着させていたからなんですね。

和紙のような紙は別として洋紙では
それしかやりようがなかった。

紙の長期保管が必要になってようやく
中性紙が開発されたということでした。

今はほとんどが中性紙になりましたが
それでも時間がかかってるんですよね~

品質がいいからと言ってもコストや
操業性を考えるとそう簡単に変わらない。

新聞が中性になったのは新聞古紙に
中性紙のコート紙のチラシが増えた

というような時代の変化なんかがあって
ようやく変わったところもありますから。

もちろんロジン系の中性サイズ剤など
それにともなう技術も必要ですけど。

紙のサイズ度といってもその歴史は
紆余曲折色々あったんですね~

この記事が、紙のサイズ度の
参考になればと思います。

紙にサイズが効いているから
水性ペンで書けるんですね!

(参考)
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