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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、機械パルプ、化学パルプ、
古紙パルプの電力消費量を比較する
というお話。
紙の製造には大量のエネルギーが必要ですが、
その中でも特に大きな割合を占めるのが
パルプ製造工程です。
一口にパルプといっても、
木材を機械的に繊維化する機械パルプ、
薬品を用いて繊維を取り出す化学パルプ、
そして使用済み紙を再利用する
古紙パルプでは、製造方法が
大きく異なります。
そのため、消費する電力の量にも
大きな差が生じます。
製紙工場では電力コストが
生産コストに直結するため、
各パルプの電力消費量を
理解することは非常に重要です。
また、近年は脱炭素化や省エネルギー化への
関心が高まっており、どのパルプが
環境負荷の低減に貢献できるのか
という視点も欠かせません。
ここでは、機械パルプ、化学パルプ、
古紙パルプの製造方法の違いを整理しながら、
それぞれの電力消費量を比較し、
なぜ差が生まれるのかを詳しく解説します。
ということで。
この記事では、機械パルプ、化学パルプ、
古紙パルプの電力消費量を比較するについて
管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。
機械パルプ・化学パルプ・古紙パルプとは何か
まずは各パルプの特徴を整理しておきます。
機械パルプは、丸太やチップを機械的な力で
磨砕・解繊して製造するパルプです。
代表例としてグランドウッドパルプ(GP)や
リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、
サーモメカニカルパルプ(TMP)などが
あります。
木材中のリグニンを除去せず、
そのまま繊維化するため収率は
90%以上と非常に高くなります。
しかし、木材を細かくほぐすために
巨大なモーターを使用するため、
多量の電力を必要とします。
一方の化学パルプは、木材チップを
薬液で蒸解して繊維を取り出します。
代表的なのはクラフトパルプ(KP)です。
化学パルプはリグニンを溶解除去することで
強度の高い繊維を得られます。
木材成分の一部が除去されるため
収率は45~55%程度ですが、
高品質な紙の原料として
広く利用されています。
古紙パルプは回収された新聞紙、雑誌、
段ボール、オフィス古紙などを
原料として製造されます。
パルパーで離解した後、異物除去や
脱墨工程を経て再生パルプとなります。
既に一度繊維化された紙を再利用するため、
木材を直接繊維化する工程が不要であり、
一般的には機械パルプよりも少ない
エネルギーで製造できます。
各パルプの電力消費量を比較する
パルプの種類ごとに電力消費量を比較すると、
大まかには以下のような傾向になります。
| パルプ種類 | 電力消費量の目安 |
|---|---|
| 機械パルプ(TMPなど) | 1,500~3,000kWh/t |
| 古紙パルプ(脱墨含む) | 300~800kWh/t |
| 化学パルプ(KP) | 200~600kWh/t |
実際の数値は設備構成や原料、
品質条件によって変動しますが、
機械パルプが圧倒的に多くの電力を
消費することが分かります。
特にTMP(サーモメカニカルパルプ)は
蒸気で軟化させたチップをリファイナーで
解繊するため、大容量モーターによる
電力消費が非常に大きくなります。
一方で化学パルプは薬品によって
繊維を分離するため、
解繊に必要な機械エネルギーは
比較的少なくなります。
古紙パルプは既に紙として利用された繊維を
再利用するため、木材をゼロから
繊維化する必要がありません。
そのため電力消費量は機械パルプより
大幅に少なくなります。
ただし、印刷用紙の古紙を
利用する場合は脱墨設備が必要となり、
フローテーターやスクリーン、
クリーナーなどが電力を消費します。
そのため古紙の種類によって
電力使用量は変化します。
なぜ機械パルプは電力消費量が多いのか
機械パルプの電力消費量が
突出して大きい理由は、
木材の構造そのものにあります。
木材の繊維はリグニンによって
強固に結合されています。
この結合を薬品ではなく機械的な力だけで
分離するためには、非常に大きな
エネルギーが必要になります。
TMP設備では数万kW級の大型モーターが
稼働しており、製紙工場全体の電力消費量の
大部分を占めることも珍しくありません。
また、リファイナーでは回転ディスクによって
木材チップを繰り返し衝撃・摩擦させながら
解繊します。
この工程で膨大な電力が
熱エネルギーへ変換されます。
逆に言えば、機械パルプは高い電力を
消費する代わりに木材を効率よく
利用できます。
化学パルプの収率が50%前後なのに対し、
機械パルプは90%以上の収率を
実現できます。
木材資源の利用効率という点では
非常に優れています。
そのため新聞用紙や雑誌用紙などでは、
電力消費量と資源利用効率のバランスを
考慮しながら機械パルプが利用されています。
電力消費量だけでは判断できないエネルギー評価
単純な電力消費量だけを見ると、
化学パルプが最も省エネルギーに
見えるかもしれません。
しかし実際のエネルギーバランスは
それほど単純ではありません。
クラフトパルプ工場では、
蒸解後に発生する黒液を
回収ボイラーで燃焼し、その熱エネルギーを
蒸気や発電に利用しています。
黒液には木材由来の有機物が
大量に含まれており、
これを燃料として活用することで
工場内で大量の電力を自家発電できます。
近代的なクラフトパルプ工場では、
自家発電によって工場で使用する
電力をほぼ賄えるケースもあります。
一方で機械パルプ工場は外部から購入する
電力への依存度が高くなります。
古紙パルプは木材伐採が不要であり、
資源循環の観点で大きなメリットがあります。
しかし、回収・輸送・選別・脱墨などの
工程も考慮する必要があります。
そのため環境評価を行う際には、
電力消費量だけでなく、
一次エネルギー使用量、CO2排出量、
再生可能エネルギー比率、木材利用効率などを
総合的に評価することが重要です。
近年は
LCA(ライフサイクルアセスメント)の
考え方が普及しており、
原料調達から製品廃棄までを含めた
総合的な環境負荷評価が行われています。
管理人のまとめ
今回は、機械パルプ、化学パルプ、
古紙パルプの電力消費量を比較する
というお話でした。
機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプを
電力消費量の観点から比較すると、
最も電力を消費するのは機械パルプであり、
次いで古紙パルプ、そして化学パルプという
順になるのが一般的です。
機械パルプは木材を直接機械的に
解繊するため大量の電力を必要としますが、
高い収率を実現できます。
化学パルプは薬品によって繊維を
分離するため電力消費量は比較的少なく、
さらに黒液を利用した
エネルギー回収が可能です。
古紙パルプは資源循環に優れ、
木材使用量を削減できる点が大きな特徴です。
製紙業界では電力コストの削減と
脱炭素化が重要な課題となっており、
各パルプの特性を理解したうえで
最適な原料配合や設備運用を行うことが
求められています。
電力消費量の比較は、その判断材料の
一つとして非常に重要な指標となっています。
機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ
それぞれ電力消費量が違うんですね!
(参考)
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