製紙工場の水質汚染の原因は?主に回収しきれなかったパルプ

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製紙工場 水質汚染

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、製紙工場の水質汚染の原因は
主に回収しきれなかったパルプというお話。

管理人が子供の頃は田子の浦のヘドロ
というのが大変なニュースでした。

当時は日本中が公害で大変な時期。

田子の浦のヘドロはその象徴でしたね。

当時は製紙工場が汚水を処理せずに
川や海に流していたんですね。

それで公害になりました。

現在はそんなことは許されません。

管理人が製紙会社に入社した頃は
もうすでに浄化処理場はありました。

1970年頃には各社とも浄化
処理場を設置していたようです。

莫大な費用をかけて。

ではこのヘドロの原因は何だったのか。

ということで。

この記事では製紙工場の
水質汚染の原因について

管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。

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製紙工場の水質汚染の原因は回収しきれなかったパルプ

結論から言うと、製紙工場の水質汚染の
原因は回収しきれなかったパルプです。

これについて少しお話を。

巨大な製紙工場では木材
チップからパルプを製造します。

その後、パルプは配管で流送され
種類の違うパルプと混合したり

薬品を添加したりしてから
抄紙機で紙になります。

このパルプの製造、流送で
パルプのロスが出るし

抄紙機で製造するときも
パルプのロスが発生します。

これが小規模なら良いんですが
大規模になるとバカにならない。

管理人の担当したことのある
抄紙機で生産量が多かったのは

月産2万トン程度のライナー
マシンだったと思います。

もしもこの2万トンのうち、0.1%が
流出したら20トンになるんですよね。

このマシン1台で毎月20トンの
パルプが川や海に流れていく。

それがマシン1台の数値なわけで、
工場全体ならどれだけあるか。

ちょっと想像がつきませんね。

それでこのパルプ、今は浄化設備で
沈降させて工場外に流出しませんが

公害があった頃はこれをそのまま
海や川に流していたということです。

それで。

このパルプがなぜまずいかと言うと
まずパルプは有機物なんですよね。

元は木材で成分はセルロースですから。

つまり微生物にとっては栄養がある。

この栄養が海に流れ込むと
微生物が増えすぎるわけです。

栄養がどんどんやってくるから
どんどん繁殖してしまう。

そうなると水中の酸素がなくなって
魚が死んでしまうということになる。

また、パルプが分解されずに
海の底に溜まればヘドロになる。

海が濁って光が届かないところで、
無酸素なら嫌気性微生物が繁殖する。

こういうやつはアルコールや
メタンガスを出すんですよね。

悪臭のもとになるわけです。

管理人の推測はこういう感じですが
いずれにしてもヘドロの原因は

製紙工場の排水ということになって
それは回収できなかったパルプになる。

だからこの膨大な排水を処理するために
莫大な費用をかけて浄化設備を作った。

この排水処理設備は製品のコストに
かかってきますからどこもやりたくない。

しかし、公害がひどくなってそうも
言ってられなかったということでしょう。

製紙工場の排水処理設備について

管理人は元製紙会社社員。

排水の担当はしてませんが
研修はありました。

部署としては用排水部だったですね。

用水というのはこれから使う水で
だいたいは川から取水してました。

それでこの用排水部が排水
処理設備を管理していましたね。

やっていることは下水処理と
同じようなことだと思います。

工場で出てきた水を1ヶ所に集める。

それを硫酸バンドとかアクリルアミドなどの
凝集剤でパルプを集めて沈降させる。

その上澄みを微生物などで処理して
基準に到達したら海に流す。

そういう感じだったと思います。

BODやらCODやら難しいことを
言ってましたけどそれを減らす。

そのために色々やってるわけですね。

最終的にはほとんど透明な水になって
一応飲めるレベルになっているそうです。

絶対に飲みませんけどね~

製紙工場の水質汚染とダイオキシン

それからもう一つ。

製紙工場関係の水質汚染では
ダイオキシンも問題でしたね。

製紙工場ではパルプの漂白工程で
塩素(Cl2)や二酸化塩素(ClO2)を

使うんですがこれらが有機物と反応して
ダイオキシンになると言われてました。

ダイオキシンというのもややこしくて
亀の甲のややこしいやつに

塩素がいっぱいくっついているから
体に悪いだろうということでした。

ただこれお話がややこしくて、
塩素化合物はすぐ出来る。

性能の悪い焼却炉からも出ますから。

むしろ大手製紙会社の場合は
排水処理設備がしっかりしていて

排水規制も厳しいのでダイオキシンを
垂れ流すことにはなってないようです。

それに、パルプ漂白でも塩素を使わずに
酸素やオゾンを使う感じになってますね。

二酸化塩素は使ってるでしょうけど、
あれは反応するのは酸素の部分。

塩素はあまり関係ないんですよね。

そういうことって弁明しないようですけど。

正直言うと、COD規制がとても厳しいので
ダイオキシンの流出はほぼないと思います。

それでも色々言われるのは実際に
臭気とか水質とかよくはないから。

ある程度は仕方ないことなんでしょうね。

管理人のまとめ

今回は、製紙工場の製紙工場の
水質汚染の原因のお話でした。

原因は回収できなかった
パルプの流出が問題でした。

ただし。

現在は昔ヘドロの公害だった
ようなことにはなっていません。

相当費用をかけて排水を浄化しています。

規制も非常に厳しいです。

工場周辺で釣れた魚を食べても
別に問題はないくらいだと思います。

実際、そういう人いましたから。

元製紙会社社員としては
そこはキチンと言っておきたい。

問題は色々ありますが企業側も
それなりの対応をしています。

そのあたりは認めてほしいところですね。

この記事が、製紙工場の水質汚染の
原因の参考になればと思います。

今は製紙工場の排水は浄化されて
いること、理解して下さいね!

紙の製造
プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
>>https://kamiconsal.jp/profile/

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