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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、選挙の投票用紙は普通の紙じゃない、
合成紙ユポが使われる理由は、というお話。
管理人は選挙は全部投票に行ってます。
今は18歳から選挙権がありますが
管理人のときは20歳からでしたね~
当時は大学生で、選挙権があるから
投票に行くという感じでしたね。
いまだに確信を持って投票している
というわけではありませんけど。
それで、その当時から投票用紙は
ユポだったような気がします。
ユポというのは合成紙で
普通の紙じゃないんですよね。
そうだったのかと知ったのは
製紙会社に入ってからですが。
ではなぜ、紙じゃなくてユポなのか?
ということで。
この記事では、選挙の投票用紙に
合成紙ユポが使われる理由について
管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。
選挙の投票用紙に合成紙ユポが使われる理由
管理人の聞いた話。
ユポは折り曲げてもスグ開くんだよな~
これです、これ。
選挙は紙に名前を書いて投票しますが
この紙は一応折り曲げて投票箱に入れます。
管理人は折り曲げずに入れるますが。
それはともかく。
普通は名前を書いて2つ折りにして
投票するわけですよね?
ここだけなら普通の紙で良い。
ただし。
このあと、開票して集計しないといけない。
このときに、普通の紙だと
開くのがとても面倒なんです。
この作業に滅茶苦茶時間がかかる。
そして選挙は結構時間との勝負ですから
開票作業はできるだけ短縮したい。
なのでユポ。
ユポの場合は折り曲げても
しばらくすると自然に開くんです。
だから、投票する瞬間は折っていても
箱の中ではもう開いている。
ということは集計するときには
全部開いた状態になっている。
これを選り分けるだけでいい。
結局、折った紙を開く手間が
不要になるということです。
これが選挙の投票用紙で
ユポが使われる最大の理由。
それほどまでに開票作業が
大変なのかと思いますが
日本の選挙結果が速いのは
これのおかげと言われています。
効率よく作業をするために
折っても開くユポを使う。
ということのようですね~
選挙の投票用紙に使うユポと普通の紙の違い
先ほどユポは折っても
スグ開くとお話しました。
ここでちょっと考えてみて下さい。
普通の紙は?
身近な紙として、たとえば新聞紙。
折ったものが開くことはないです。
コピー用紙もそうです。
だいたい、折ったものがスグ開いたら
折り紙とか作ることが出来ません。
実は、色んな素材の中で折り目を
つけることが出来る物は少ない。
紙は折れるのが当たり前で
普段は気にしないと思いますが、
プラスチックの板なんかだと
折ったら割れてしまうことも多い。
フィルムでもキレイな折り目は
なかなか付けられない。
アルミ箔なんかは折れますけど。
管理人が製紙会社で言われてたのは
「折り鶴を折れるのは紙くらいだ」、
ということで、これが紙の
特徴だと言うことでしたね~
だから残念ながら折ってもスグ開く
という性質とは相容れないんです。
その点、ユポは合成紙。
そもそも、森林資源がなくなったら
どうしようということで石油から
紙を作るというコンセプトで
開発されたものなんだそうです。
まだオイルショックより前の
時代ですから石油が安かった。
それで。
原料はポリプロピレン(PP)と
炭酸カルシウム(炭カル)。
主原料はPPで石油化学の
中心にあるポリマーですね。
PPからもフィルムを作りますが
そこに炭カルを添加して
延伸して、ボイド(空隙)を作って
紙のように見せているそうです。
実は合成紙は他にもあるんですが
実質的にはユポの独占状態ですね。
それで原料が全く違うので
紙とは性質も違う。
鉛筆で書けるとか、そこは同じ。
しかし、水に濡れても大丈夫だが
熱には弱いとか、印刷インクは
ユポ用を使わないとダメとか
紙とは色々と違ってきます。
そしてユポの特徴を生かして
使われているのが選挙の投票用紙。
折り鶴は作れないんですが
スグ開いてほしいところで使う。
こういうのが適材適所なんでしょうね。
選挙の投票用紙としてユポはいつ頃から使われているのか?
ところで。
選挙の投票用紙としてユポが使われる
というのは分かりましたがそれはいつからか?
ネットで調べてみると1986年ごろ、
というのが出てきました。
現在が2019年ですので33年前。
管理人、33年前は21歳ですから
選挙ではユポだったわけです。
ただユポ自体は1968年から
開発されていたそうです。
上市は1971年。
ちなみに。
ユポの由来は以下の通り。
==ここから==
三菱油化株式会社
(現:三菱ケミカル株式会社)の「YU」と
王子製紙株式会社
(現:王子ホールディングス株式会社)の
「O」をPaperの頭文字「P」で結びつける
という従業員のアイディアから
「YUPO=ユポ」とネーミングされました。
==ここまで==
だそうです。
ところが、オイルショックは1973年、1979年。
さあこれからというときに
オイルショックだったんですね。
当然、原料価格が跳ね上がる。
最初のオイルショックで
70%引き上げとか。
当然コストは合わない。
逆に言うとそれまで20社近い
会社が合成紙をやっていたのに
ここで淘汰されて事実上
ユポが生き残ったということ。
本来は紙より安い合成紙
だったはずなんですが
残念ながらその理念は崩れて
ユポは今でも値段が高いです。
選挙の投票用紙の価格
ここからは余談です。
選挙の投票用紙の価格って
1枚いくらんでしょうか?
ちょっと気になりますよね。
それで、ネットで調べたところ
試算されているのがありました。
千葉県だと
「1枚あたり2.26円」
ということらしいです。
あくまで推定ですけど。
たった2.26円かと思いますが、
紙としてはこれ相当高い。
一回の選挙で使われる紙の枚数が
1億枚だとすると2.26億円ですよね?
投票に来た人が5千万人で比例代表と
小選挙区で2枚使えば1億枚という感じ。
たかだか投票用紙だけで
このコストなわけですよ。
これが良いとか悪いとかは言いません。
こういう仕組みだということです。
選挙のおかげで需要が生まれて
生活できる人もいるわけですから。
管理人も選挙のおかげでポスター用に
コート紙が売れたこともありましたし。
ただまあ、金かかるなとは思いますね。
管理人のまとめ
今回は、選挙の投票用紙は普通の紙じゃない、
合成紙ユポが使われる理由というお話でした。
結論としては、ユポは開票に都合がいい。
普通の紙だと折ったものは開かないが
ユポは折ってもスグ開く、ということでした。
逆に言うと折り目がキチンとつくのが
紙の特徴とも言えるわけです。
もちろんそれ以外にも水濡れに
強いとかありますがこれが一番。
投票時に折って投票しても
投票箱の中では開いている。
ユポが採用されて大幅に開票作業の
効率が良くなったということなんでしょう。
ただ、選挙がこういう形態で
いつまで実施されるかは不明。
実際のところ、ニコ動なんかで簡単に
アンケートが取れるわけですから、
不正の問題がクリアされれば
自宅投票も可能になるでしょう。
正直言うと、今の紙での投票でも集計の
操作はやろうと思えば出来ますから
ネットでやっても大差ないような
気はするんですけどね。
紙にコストがかかるなら
タッチパネル式にするとか。
まあ、こういうのは一種の儀式ですから
自分が生きているうちは紙でしょうけど。
この記事が、選挙の投票用紙について
考える参考になればと思います。
選挙権、大切に使いましょうね!
(参考)
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