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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、コピー用紙のA4とかB4の意味についてのお話。
コピー用紙ってA4とかB4とか色んなサイズがありますよね。
たとえば、A4は一般的なクリアファイルサイズの大きさで、B4は折込チラシに多い大きさですね。
自分が会社で使っていたのは圧倒的にA4でしたが、入社した頃はB4もまだまだ多かったと思います。
ところで、このコピー用紙のA4とかB4の「A」「B」というのは紙のサイズの何を意味しているんでしょうか?
紙の大きさを示しているのだということは知っている。
ではその意味とか規格がどんな風に決まっているのか、なぜあんなに中途半端な長さになっているのか?気になったことはありませんか。
実は紙のサイズというのは非常に明確に計算されて決まっています。
これを知れば、なるほど紙の寸法はそんな風に計算で算出できるようになっていたのか!と思うかもしれませんよ。
コピー用紙のAやBはA判、B判という意味
まずコピー用紙の「A」とか「B」とかの意味から。
紙にはA判とかB判という紙のサイズの規格があるんですね。
他にも色々規格はありますがコピー用紙ならA判かB判でしょう。
それで、A判はどんなものかというと、
A判は、19世紀末ドイツの物理学者オズワルドによって提案されたドイツの規格で、面積が1平方メートルの「ルート長方形」をA0としました。現在では国際規格サイズです。
「ルート長方形」というのは、縦横比率が「白銀比」と呼ばれる「縦:横=1:√2」となっており、どこまで半分にしても同じ形、相似形の長方形のこと。
だそうです。
ではB判はどんなものかというと、
B判は、日本の美濃紙をもとに面積が1.5平方メートルの「ルート長方形」をB0とした国内規格サイズです。
ということだそうです。
つまりコピー用紙のサイズというのは、縦:横=1:√2で半分に切ってもやっぱり縦:横=1:√2、となるような寸法になっているということです。
A0ならその面積が1㎡、B0なら面積が1.5㎡になるように決まっているということなんですね。
A0ならこの「0」が最大寸法でここから半分に切るとA1、もう半分に切るとA2、もう半分に切るとA3・・・というようになります。
面積でいうとA0=1㎡、A1=1/2㎡、A2=1/4㎡、A3=1/8㎡、A4=1/16㎡。ちょうど(1/2)の何乗㎡ということですね。
この関係はB判でも同じことになります。
このように、コピー用紙の寸法はルート長方形の相似形になっているし、A判とかB判というのは面積が基準となって決まっているのでなんだか中途半端な寸法になってしまうというわけですね。
A判、B判の寸法一覧表
(A判)
A0サイズ 841×1189mm A0は面積が1平方メートル
A1サイズ 594×841mm A0の半分のサイズ A0の1/2
A2サイズ 420×594mm A1の半分のサイズ A0の1/4
A3サイズ 297×420mm A2の半分のサイズ A0の1/8
A4サイズ 210×297mm A3の半分のサイズ A0の1/16
A5サイズ 148×210mm A4の半分のサイズ A0の1/32
(B判)
B0サイズ 1030×1456mm B0は面積が1.5平方メートル
B1サイズ 728×1030mm B0の半分のサイズ B0の1/2
B2サイズ 515×728mm B1の半分のサイズ B0の1/4
B3サイズ 364×515mm B2の半分のサイズ B0の1/8
B4サイズ 257×364mm B3の半分のサイズ B0の1/16
B5サイズ 182×257mm B4の半分のサイズ B0の1/32
ここでA0の面積を計算すると0.841m☓1.189m=0.999949㎡。(1mm=0.001mと換算して計算しています)
√2は無理数ですから、微妙に誤差が出るわけですが面積が1㎡になるように設定されていることが分かります。
また、切るたびに1辺の長さの小数点以下を切り捨てていきますから、サイズが小さくなるほど理論値からの誤差は大きくなってしまうのは仕方がないところです。
ちなみにB0の面積は1.030m☓1.456m=1.49968㎡ということでこちらも面積が1.5㎡になるように設定されていることがわかります。
(参考)
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コピー用紙のサイズは単純だから輸入紙が多い?
ここからは元製紙会社社員の本音をお話させてください。
実はコピー用紙というのは技術的にはかなり難しい紙でした。
開発当初は各コピー機メーカーのコピー機に合わせて紙の品質を決めて認定をとらなければいけないということでかなり厄介な紙だったんですよね。
自分は担当者ではありませんでしたが、担当者はまともな紙が出来るまで徹夜の連続という感じで開発をしていたことを思い出します。
何回も実機レベルで抄紙条件を変更してテストを繰り返し、製品をコピー機に何万枚とか通してみてそれが紙詰まりを起こしてはいけない、というようななかなかハードな品質テストをしていました。
A4コピー用紙の箱が散乱した部屋でコピー機がひたすらコピーをしているというシュールな風景だったですね。
こういう状態でしたから輸入紙なんて考えられなかったんですよね、当時は。
しかし時代は進み、コピー機の技術が進歩し製紙会社もどういう品質にすればトラブルを起こさないコピー用紙が出来るかを把握することが出来るようになりました。
コピー機のメーカーに認定をもらう純正紙は国内の抄紙機で製造しなければならないとしても、いわゆるサードパーティと呼ばれるコピー用紙なら世界のどこで製造してもいい。
コピー用紙を世界中に販売できるならロットも大きくなって効率が良くなるから安く製造できる。
大きなマシンでドカンと作って世界中に販売しよう!
こういう考えになってきたわけですね。
そしてコピー用紙で都合がいいのはサイズの数が少なくて単純だということ。
どういうことかというと、コピー用紙のサイズはせいぜいA3、A4、A5、B4、B5の5種類程度で規格が世界標準で決まっているので断裁して仕上げる時に特別な対応をしなくても良い。
たとえば文庫本なんかだと出版社によって大きさはまちまちですから、仕上げも各々に対応しないといけないわけで、無数の仕上げ寸法が出てきますからそれに対応するスキルが必要なんです。
しかしコピー用紙の場合は一回仕上げ方法が決まればずっと同じサイズ、たとえばA4を仕上げていればいい。
製紙産業は設備産業ですから同じものをドカンと作り続けることが出来るなら、安定するし効率が良くなります。
A4サイズのようにメジャーなサイズだけ製造するなら製品在庫が残る心配もない。
だから、スーパーやホームセンターで安売りされているコピー用紙の多くはそういう考えに基づいて、木材の安いインドネシアなどで生産されて輸入されている物が多くなっているんだそうです。
もう国内で製造してもコスト的に太刀打ちできないようですね。
もしもコピー用紙のサイズ規格がもっと細かく沢山あって複雑だったならホームセンターや家電量販店でコピー用紙安売りなんて光景はなかったのかも知れません。
こういう現象は生産する側にとっては競争が厳しくて大変だとは思いますが、ユーザーにとっては良いものが安く手に入るいい時代になってありがたいものだと思っています。
管理人のまとめ
今回はコピー用紙のA4サイズやB4サイズについてのお話でした。
A判は面積が1㎡のルート長方形、B判は面積が1.5㎡のルート長方形になっている。
このルート長方形は縦横比が白銀比と呼ばれて、1:√2になっているんですね。
しかもこれ、半分に切ってもやっぱり1:√2になるという比率。
そうやってあのややこしい寸法が決まっているということでした。
それから、A3とかA4の「3」や「4」はA0を3回切ったとか4回切ったとか、そういうことになっていました。
理由を知れば合理的な決め方だと分かりますね。
この記事がコピー用紙のA4サイズやB4サイズの参考になればと思います。
紙の大きさも理由が理解できれば面白いと思いますよ!
(参考)
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