紙の灰分の成分分析は出来るのか?蛍光X線分析で分かります!

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紙 灰分 成分分析

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、紙の灰分の成分分析は出来るのか?
蛍光X線分析で分かります!というお話。

管理人は元製紙会社社員。

紙の灰分測定、やりました。

といっても自分でやるわけではなくて
試験係にお願いしていたんですけど。

それで。

灰分率というのは測定自体は簡単で
紙を燃やしてその前後の重量比を出す。

(参考)
紙,板紙及びパルプ?灰分試験方法。525 ℃燃焼法
https://kikakurui.com/p/P8251-2003-01.html

正確には蒸し焼きですかね。

電気炉やるつぼといった専用の
装置は必要になりますけど。

水分率が問題になりますので
それは別途測定しておく。

(参考)
紙及び板紙?ロットの水分試験方法。乾燥器による方法
http://kikakurui.com/p/P8127-2010-01.html

と言う感じでやってましたね。

繰り返しになりますが灰分率測定は
簡単な試験なのでどこでもやってます。

管理人は紙パルプ業界ですけど
食品とかでもやってたと思います。

ここまでは灰分率のお話。

でですね、この灰分なんですけど
基本的に金属酸化物になってます。

なのでその金属が何かというのは
蛍光X線装置で調べると分かる。

つまりは残った灰を蛍光X線で
測定すればその成分が分かる。

紙の場合は積極的に使われる
顔料や填料は決まっています。

なのである程度、紙に使われている
灰分の種類や量が推定できます。

結局、紙のサンプルを分析すれば
その紙の構成は分かるんですね。

完全とはいいませんけど
ある程度は分かるわけです。

そうそう、蛍光X線分析は金属を測定する
装置ですから重金属の有無もわかります。

というか本来はこっちがメインか?

人体に対する有害物質を
含有していないかどうか。

特に重金属ですよね。

六価クロムとかカドミウムとか。

紙パルプ業界は公害には特に厳しいので
こういう検査はキッチリやってました。

それはそうとして。

今回は紙の分析の経験をちょっと
お話させていただこうかなと。

ということで。

この記事では、紙の灰分の成分分析は
出来るのか?蛍光X線分析で分かります!
について

管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。

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紙の灰分の成分分析で紙の構成はどこまでわかる?

そもそも紙の灰分率なんですが。

少ないのは板紙でしょうか。

板紙はほとんど古紙なんですが
灰分を添加することはありません。

コートボールは別として段ボールは
強度がメインの紙になりますから。

填料を添加するということは
パルプ分が減って強度が落ちる。

なので段ボールとかクラフト紙とか
強度メインの紙は灰分率が低い。

パルプの灰分率が1%以下なら
板紙もその程度になる感じ。

逆に多いのは塗工紙。

これは米坪や品種で違いますが
灰分率30%程度になるでしょうか。

メインは塗工層の顔料と内添填料。

塗工層の顔料は短カルとクレー。

内添填料は炭カルとタルクが多いかなと。

で、それぞれがどの程度の比率で
配合されているかは蛍光X線測定。

ちなみに。

蛍光X線とは?

蛍光X線分析:原理解説
(日立ハイテクサイエンスHPより)
https://www.hitachi-hightech.com/hhs/products/tech/ana/xrf/descriptions.html

それで。

各金属の比率がわかればある程度分かる。

クレーの組成:Al2O3・2SiO2・2H2O
炭カルの組成:CaCO3

タルクの組成:Mg3Si4O10(OH)2
二酸化チタンの組成:TiO2

と言う感じ。

クレートタルクはAl2O3、SiO2が
同じですがMgの有無で違いが分かる。

炭カルやチタンは別物ですよね。

なのでこれらの金属の比率がわかれば
ある程度計算で配合比率が分かるわけ。

あと断面写真の蛍光X線も確認すれば
内添填料の成分も限定できるはず。

断面写真の塗工層の厚みから
塗工量をある程度推定できる。

ベースペーパーの填料分布の様子から
ある程度の内添灰分率も予想できる。

あと、紙を離解して灰分を除きパルプ配合を
確認すればパルプの種類と配合比率が分かる。

こんな感じでシミュレーションすれば
その紙の構成は大体わかります。

ただし。

これが分かっても同じ品質にはなりません。

残念ながら紙はマシンによって品質は変わる。

特に地合いとか風合いと言うのは
マシンとか操業員で変わるので。

使える原料も工場で違うし
色調を合わせるのも難しい。

微量の特殊な薬品が入るなら
それは分析しきれません。

ただ、似たような紙を作ろう
というときの貴重な参考になる。

実のところ。

管理人が会社に居た頃、すでに
この程度のことは出来ていました。

今は機器分析がもっと進展しているので
精度の高いものが出来ていると思います。

より詳しく分析できるようになって
競争は大変だろうなと思いますね~

紙の灰分の影響。灰分率でどんな違いがある?

ここからは余談です。

紙の灰分が多いか少ないかは
水で離解したときでも分かる。

たとえば灰分率が低い板紙と
灰分率が高い塗工紙の比較。

塗工紙の方がドロドロになります。

そもそも灰分って泥と言うか粘土。

クレーなんて粘土の意味ですからね。

水に溶かせば泥になるのは当たり前。

にゅるにゅるした感じになります。

パルプも水で離解すればドロドロ、
ですけど触感がちょっと違います。

なんとも言い難いですが。

それから灰分が多い紙は重い。

パルプよりも比重が高いですから
体積がおなじなら1.5倍くらい重い。

パルプも元は木材なので重いですが
灰分は粘土ですからもっと重い。

これも違うところでしょうか。

灰分は紙に必要な品質、光沢や不透明度を
得るために添加しますがそれ以外でも

副次的な要因で色々と違って
来ることがあるんですね~

管理人のまとめ

今回は紙の灰分の成分分析は出来るのか?
蛍光X線分析で分かります!というお話
でした。

管理人、紙の灰分分析で他社品の
分析をした記憶があります。

同じものを作ってくれと言われて
分析しましたけど難しかったです。

正直言って分析結果は参考にしますけど
それで同じ品質になるわけじゃない。

必要な品質に合わせるには色々と
調整しないと出来なかったですね~

結局良く似たものはできましたが
それが売れたという記憶がない。

開発したもののイマイチだったのでしょう。

管理人の勉強にはなりましたけど。

この記事が、紙の灰分の成分
分析の参考になればと思います。

紙の分析、かなりのことが出来るんですね!

(参考)
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