この記事は約 9 分で読めます。
管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、紙についたカビの取り方のお話。
管理人は元製紙会社社員ですから
紙にカビが生えるのを見たことがあります。
もちろん紙は湿っています。
乾燥している紙は簡単にカビは生えません。
特に古紙で起こりやすかったかなと。
明らかにカビが生えている紙は
焼却してたように思います。
古紙にカビが生えるのは原料の問題。
しかし、クレームで製品が
カビ臭いというのもありました。
こういうのは厄介ですね。
どの工程でカビが生えたのか、
カビ臭いニオイが移ったのか。
この特定が難しいので。
この手のやつは古紙やパルプという
原料由来のものと言うよりは
表面に塗工している澱粉とか
塗料が問題だった気がします。
いずれにしても。
紙はカビの栄養ばかり。
パルプは木材なのでカビが生えるし
澱粉は栄養そのものだし、
塗料にも澱粉が含まれているので
やっぱりカビの栄養になるし。
湿気があると普通にしていても
カビが生えやすいものなんです。
だから、紙を保管するときは風通しの
良い冷暗所が良いとされています。
そんなことは分かっているでしょうけど。
それはそうとして。
押し入れなんかに本をしまっていて
カビが生えたらどうすればいいのか?
なんとかカビを取る方法はないのか?
ということで。
この記事では、紙についた
カビの取り方について
管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。
紙についたカビを取るならアルコールか逆性石鹸
まず、紙のカビを取り除くのは
そんなに簡単ではありません。
特に、黒カビは難しそうですね。
それでもなんとか、という場合に
アルコールとか逆性石鹸が使われる。
殺菌剤ですね。
アルコールは無水エタノールとか
消毒用エタノールがいいそうです。
管理人としてはあまり水分がつくと
紙がふやけるかも知れないので
無水エタノールの方がいいかなと
思うのですが必ずしもそうではない。
実は無水エタノールには殺菌力がなく、
水と混合しているから効くらしい。
ただ、紙の場合は紙自体が
水分を持っていますからね~
管理人としては乾燥しやすい
無水エタノールがいいかなと。
これはカビの種類や程度でも
違ってくるんだと思いますが。
それで、このエタノールを使って
紙を消毒するわけですよね。
やり方としては乾いたペーパータオルや布に
エタノールを含ませて拭くということですね。
実際にやっているYou Tubeがありました。
「おそうじクルーの書籍カビ取りサービス」
「株式会社資料保存器材」
この動画を見るとどちらもかなり
細かい作業をしているのが分かります。
これらは会社がやっていることなので
個人ではここまでやらないでしょうけど。
管理人的な注意は、エタノールを
使うしカビの胞子も舞うでしょうから
狭い部屋でやってはいけない、
風通しの良いところでということ。
エタノールは超強いお酒と同じですしカビを
吸い込むとアレルギーになるかも知れない。
それに揮発性がありますから
火がつくと大変です。
とにかく、作業するなら屋外とか
換気の良いところでやること。
場合によってはゴーグルとか
手袋も用意したほうがいいでしょう。
この動画ではカビを取り除くときに
掃除機を使用していましたが
家庭用の掃除機でやるのは
多分まずいと思います。
下手をするとカビが部屋中に
拡散されますので。
これは十分注意して下さい。
紙についたカビの取り方。エタノールが使えなければ逆性石鹸
ここかで紙についたカビのとり方で
エタノールを使う方法をお伝えしました。
この場合はペーパータオルに
エタノールを染み込ませてカビを拭く。
ということなんですが、ものによっては
エタノールが使えない場合もあります。
たとえば印刷物でインクの部分を
エタノールで拭くとにじむとか。
ちなみに。
プラスチックでもエタノールで
溶けるものもあります。
ちょっと拭くぐらいなら問題なくても
長期間接触するとまずいとか。
こんな感じだそうです。
- ポリエチレン(PE):○
- ポリプロピレン(PP):○
- 塩化ビニル樹脂(PVC):○
- ポリスチレン(PS):☓
- ポリエチレンテレフタレート(PET):☓
- アクリル樹脂(PMMA):☓
- ABS樹脂(ABS):☓
- AS樹脂(AS):☓
ポリスチレンとか、アクリル樹脂は
透明なプラスチックで多いです。
ABS樹脂はゲームのコントローラー
なんかに使われますかね。
手に持った感触がいいですから。
紙についたカビなのでプラスチックの
耐溶剤性は直接の関係はありません。
ただし、油性ボールペンのインクは
アルコールで溶ける場合があります。
だからボールペンで書き込みがある紙に
カビが生えているとエタノールは使いにくい。
そう言うときに次善策として逆性石鹸。
これをアルコールの代わりに
使うということです。
具体的にはオスバンSなど。
こんなやつです。
このオスバンSは、
塩化ベンザルコニウム10w/v%水溶液。
これを200~500倍に薄めて
使うと良いということだそうです。
ただ、これは無水エタノールと違って
水溶液なので揮発性はありません。
その分、紙を拭いた後の乾燥を
十分やらないといけない。
あんまりやると紙が水分を吸って
ボコボコになりますからほどほどに。
いずれにしてもカビを取る薬品は
カラダに良い物ではありません。
取扱には十分気をつけて下さいね。
管理人のまとめ
今回は、紙についたカビの
取り方についてのお話でした。
結論は、エタノールや逆性石鹸で
カビを拭き取るということでした。
エタノールは無水エタノールが
使いやすいと思います。
今回紹介した薬品の無水エタノール、
消毒用エタノール、オスバンSは
薬局で購入できますし近くに
薬局がなければ通販で買えます。
それから、特にエタノールは
揮発性で引火性もあります。
だからカビ取り作業は換気の
良いところでやって下さい。
また、薬品の取り扱いは
十分注意して下さいね。
この記事が、紙についたカビの
取り方の参考になればと思います。
本はカビが生えないように風通しの
良いところに保管して下さいね!
●こんな記事も読まれています。
文庫本のカバーの紙について。ツヤのある無しの違いはなに?
⇒https://kamiconsal.jp/bunkoboncoverpaper/
製紙工場の水質汚染の原因は?主に回収しきれなかったパルプ
⇒https://kamiconsal.jp/seisikoujousuisituosen/
紙不足の原因。基本的に供給過剰なので事故や災害以外はデマ
⇒https://kamiconsal.jp/kamibusokugennin/