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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は古紙100%は環境にやさしいのか、
品種によって違います、というお話。
管理人が会社に入った頃はエコブーム。
なんでも再生するのが良いという雰囲気。
森林破壊を許すなと言われて
製紙会社はターゲットでしたね。
実際には植林して自社原料の
確保は始まってたんですけど。
それに当時でも50%以上は
古紙回収されてたんです。
それでもさらに古紙を使えと。
技術屋としてはちょっとおかしいと
思いながらも無理やりやってました。
古紙100%の紙にしろとか
かなり無理を言われました。
そんなもの試作品ならともかく
一般品で出来るわけがない。
そもそも、古紙原料が足りない。
出来る紙はすでにやってたし。
とはいえ、当時の雰囲気は
「やってる感じ」にしておこうと。
本来の意味での環境に優しいなんて
ことよりも商売になるかどうかが問題。
再生紙といえば品種によっては
高く買ってくれてましたからね。
はっきり言ってこの風潮、製紙会社より
ユーザーとかマスコミが問題だったかなと。
今は色んな人の意識も変わったし
技術も進んでマシになったようですが。
これについては思うことがあるので
元製紙会社社員としてお話したい。
ということで。
この記事では、古紙100%は環境に
やさしいのかということについて
管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。
古紙100%は環境にやさしい品種とそうでない品種がある
管理人の考えとしては。
古紙パルプというのは使える品種が
限られているということなんですよね。
具体的には新聞紙やダンボール。
あと、漫画に使う更紙でしょうか。
比較的色の黒い系の紙は
古紙を使いやすいんです。
そして、こういう紙は無理して古紙を
使わないからコストが安くてエコ。
しかし、上質系の白い紙の場合は
古紙を使うとコストが高くなる。
上質紙とか白いコート紙とかですね。
実際のところ古紙を漂白するための
薬品が増えてしまうのがネック。
薬品費が高く付く上にエコではなくなる。
はっきりいって、上質系の紙に
古紙を使ってもいいことはない。
本当になにひとついいことはありません。
そしてそういう上質系の紙で
古紙100%なんてとんでもない。
環境にやさしくなんかありません。
正直に言うとそもそも無理なんですよね。
たとえば。
ノートのような紙に古紙パルプを使う。
ユーザーがそういうものだと納得して
高くても購入するならいいでしょう。
しかし、品質的には上質紙より劣る。
異物が入るし、色調は落ちるし。
パリッとした感じもなくなるし。
コート紙だともっと大変。
コート原紙に古紙を配合するわけですが
そこで異物が入ると塗工で欠陥がでる。
そうするとNGの紙が増えるわけです。
NGの紙、損紙と呼んでましたが
これが増えるとろくな事がない。
一番にはコストが上がる。
エネルギーだって無駄に使うことになる。
手間ひまかけて悪いものを作るようなもの。
どう考えてのロスが多くてエコじゃない。
下手に古紙なんて入れない
ほうがいい、となるんです。
印刷用紙だとこんな感じで色調が白い
上質系で古紙を入れるのはどうかなと。
そうですね、唯一古紙入りPPCとか
再生コピー用紙と呼ばれるやつは
古紙を配合してもなんとか
使えるものになりますかね。
それも現実には上質紙を使うほうが
品質的にはいいものになります。
ただ、古紙を入れて色が黒くなっても
許してもらえるから入れている感じです。
実は初期の頃はコピー機もイマイチで
古紙を5%も配合したら搬送性が悪かった。
古紙がふえると剛度が落ちるんですよね。
紙の硬さ、という方がいいでしょうか。
古紙って一回紙になってから
パルプになるので強度が落ちる。
だから配合すると紙がフニャフニャになる。
コピー機内で搬送すると紙詰まり、
ソートをかけると更に悪化という感じ。
今は改善されていますけど。
実際に古紙100%でも成立したのは
インクジェットの普通紙でしたね。
管理人、実際に製造したことがあります。
しかし、生産はちょっと大変でした。
まず古紙パルプの確保が大変。
一般的に使用している古紙パルプと違って
少し白色度を上げたものが必要になる。
当然そういう古紙パルプは費用が
かかるし生産量も減ってしまう。
余分に漂白しないといけないので
その分薬品も時間もかかるわけです。
そうすると、その紙を製造するときは
パルプが途切れないようにゆっくり
製造するとか普段は考えないような
ことまで考えないといけなくなる。
他の製造品種との兼ね合いとか
色々面倒なことが多かったですね。
技術的に難しいことはなかったですが
生産調整が面倒になってました。
それなりの古紙設備があっても
かなり面倒でしたから
そうでなけれb実質的に不可能
じゃないかと思うんですよね~
なので古紙100%は環境にやさしいか
と聞かれると品種によると答える。
考えなしになんでも一律にやればいい
というものではないわけです。
管理人のまとめ
今回は、古紙100%は環境にやさしいのか?
品種によって違います!というお話でした。
管理人の考えでは古紙100%が
環境にやさしいとは思いません。
これは品種によって扱いが違うのです。
従来から古紙パルプを使用していた
新聞紙、ダンボール、更紙などは
古紙100%が環境にやさしいと
言えるんじゃなかいと思います。
白色度が低い紙の場合は無理をして
古紙を使うというわけではないので。
しかし、上質系の白色度の高い紙は
かなり無理をして古紙を使うので
古紙を使うデメリットも大きく
コストやエネルギーも使います。
なので、古紙100%だといっても
環境にやさしいわけではない。
なんでも古紙を使えばエコというのは
やっぱりおかしいと思いますね。
それから、古紙そのものについても
紙にならないものまで使えというのは
それもやっぱりかなりおかしいわけで
使いやすいものを正しく使うべき。
いくらエコでも使えない紙を
作っては本末転倒ですから。
この記事が古紙100%が環境にやさしいか
どうかの参考になればと思います。
古紙100%が意味のある品種かどうか
コストと品質をよく見て下さいね!
(参考)
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